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ホーム > ようこそ知事室へ > 寄稿・提言・訓辞・挨拶集 > 和歌山県立医科大学の関係者の皆様へ(学長となる理事長の任命の申し出を受けて)

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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

和歌山県立医科大学の皆さんへ

平成22年2月12日

 和歌山県立医大の理事長・学長選挙が終わってから4週間が経過しました。選挙が終わってからすぐ私のお便りを皆さんに差し上げたことで、皆さんは様々な思いを持たれたことと思います。大学の自治に対する干渉だと当初反発された方もいらっしゃると思いますが、お便りを読んでいただくことによって、あくまでも大学の自治を尊重する立場から、強権発動ではなく大学の皆さん自身に熟考再慮を要請しているのだという私の考えを理解していただいたことと思います。また当初、どうして選挙の結果が分かってから表明するのだと当惑された方も、選挙に干渉しないようにするためにはこのタイミングしかなかったのだ、という説明を理解していただいたことと存じます。その後、学内からは、知事のお便りの趣旨はもっともで、自分達はまことに恥ずかしい、学内でよく考え、行動を起こしてみるので、時間を欲しいというご意見を何人かの教授からいただきました。それの何十倍もの学外からの意見は、私のお便りの意図と趣旨に賛同を示すとともに、新聞報道にあったように、学内で決めたことは学外者が口を出すなとの考えは、県民の大学である県立医科大学を私物化するものであり、断固とした処置をとるべしという内容のものでありました。
 しかしながら、私は直後の記者会見でも述べたように、和医大と和歌山県の名誉を守りたいと思うとともに、大学の自治を尊重するという立場も堅持したいと一貫して考えています。この立場からすれば、選挙後、と申し上げるよりも、私がお便りを差し上げ熟慮再考を求めた後、4週間を経た今日においても、学内でもう一度考え直そうという全体の意思決定が行われる兆しがないということも重く受け止めざるを得ません。理事長選考委員会の委員の方々も私が直接お聞きした限りでは、学外の委員も含め、もうこの選考結果を変えることはできないということでした。その後、教授会等で善後策の協議が行われているようですが、選挙で1位となり選考委員会の推薦対象となった板倉教授が辞退をするというようなことも起きず、また、全学的にもう一度選挙からやり直したらどうかという意見が多数になったという兆候は見えません。教授会においても、様々な議論はあったものの、選挙のやり直しは望まないという結論に達したと聞いています。私としては、明らかに大学の総意は、今回の選挙結果は再考したくないと言っていると思わざるを得ません。とすれば、私としては、大学の自治を尊重する立場をあらためて想起せざるを得ません。
 一方、今回の事件は、名声赫々たる和医大に対して、第一に今後不適正経理問題から来たる不名誉を最小限とし、第二に大学関係者による大学の私物化という懸念に応え、さらには、第三に選挙による対立を引きずることなく大学内の融和と協力を図るという課題を残しています。大学の設置者としての私の立場からすれば、大学の意向、自治を尊重することはもちろんでありますが、同時にこれらの課題に的確に答える解を見出さなければなりません。
 そこで、この度、板倉教授をお呼びして、上記の点についてどのような考え方で臨もうとしておられるのかについて、じっくりと話し合いを行いました。
 その結果、板倉教授からは、
 ①今回の不適正経理問題については、すべての情報の公開に努め、厳正な対処をする。
 ②大学の自治は尊重されなければならないが、同時に大学は現在の構成員のものではなく県民のものであり、県民に奉仕するためにあるという原点に立ち戻る。
 ③地域医療の充実に引き続き全大学を挙げて取り組む。
 ④上記②と③を確保するため、また不適正経理問題のような事件の再発を防止するため、新体制の発足後早速、大学の自治を守りつつ県民の声が反映されるような意思決定システムの構築等の改革に県と協力して取り組む。
 ⑤大学内の融和と結束に率先垂範して取り組む。
 という所信の表明を得ました。
 もとより、不適正経理の責任は免れるものではないし、その発覚直後の理事長・学長就任という事実からもたらされる世間からの批判については、決して看過できるものでありませんが、このように所信を表明し、あえて困難な道に乗り出そうとしておられる板倉教授と同教授を選ばれた和医大の大方の皆さんの意見を、私は尊重せざるを得ません。
 このような意思決定を下すことによって、多分私自身が、何故同教授の理事長・学長就任を阻止しなかったとの世間の批判にさらされることでしょう。これに対しては、私自身が、そして県を挙げて、板倉教授が言明された所信の実行と和医大の改革の遂行を厳しく見守り、また適切に指導していくことによってお答えしていくしかありません。和医大の関係者すべての未来に向けての一層の奮起と改革への協力を願う次第です。
 また、同時に南條現理事長・学長とお会いして、以上のことをお話しし、また、これまでの大学の発展と和歌山県の地域医療に対する同氏の絶大な貢献を讃えるとともに、3月末までの移行期間の間、来るべき新体制への円滑な移行と学内融和への協力をお願いし、快諾を得たところであります。
 不適正経理の問題に厳正に対処するとともに、これまでがそうであったように、和医大が、真に県民の医療の充実、とりわけ全国いたる所で危殆に瀕している地域医療の充実に、最大限に貢献し続けられるように、全員一丸となって努力されんことを願います。
 それが今回の一連の出来事によって一瞬ゆらぎかけた和医大の名声を守る力となるものと信じています。

                                      平成22年2月12日
和歌山県知事  仁 坂  吉 伸
  

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