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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

和歌山県立医科大学の関係者の皆様へ(理事長・学長選挙が終了して)

平成22年1月12日

 新年明けましておめでとうございます。
 医療危機がますます厳しさを増す中、和歌山にあって、名声赫々たる教育学問水準を高めるとともに、この和歌山の地域医療を支えてくれた和歌山県立医科大学の皆様には感謝に堪えません。これも一重にそれこそ命を削るような皆様の献身に因っているものと思っております。友を討ち死にさせてはならじと私も就任以来、医大の業容拡充のため最大限の尽力をしてきたつもりであります。

 さて、その中で和医大も理事長・学長の改選期を迎え、理事長・学長選挙が終了したところであります。この結果をもとに、県知事である私は医大の理事長を任命しなければなりません。色々と強い批判もありますが、私は和医大の理事長は、大学の自治の精神で選ばれた学長が理事長を兼ねるということが望ましいと考えています。その意味で、今回の理事長・学長選挙は大変重要なものと思っていましたが、正直に申しまして、その成行きに大変憂慮しておりました。とは言え、その内容を公にすることは、選挙に影響を与えかねず、取りようによっては、選挙干渉と思われてはまことに問題でありますので、固く自制しておりました。が、選挙が終了いたしましたので、その問題もなくなりました。そこでこの際、私の考えを大学の皆様に申し上げ、皆様がそれをどうお考えになるかをお聞きしてみたいと思います。

 私は、今回の理事長・学長選挙に出られた3人の教授は、いずれも和医大を代表するような、学問的業績も教育者としての実績も、さらには人物識見でも申し分ない立派な方々であると考えています。しかしながら、不幸なことに、会計検査院の調査により、科学技術研究費補助金と受託研究費の不適正経理が発覚し、この問題をどう処理し、結末をつけるかに、世の中の耳目が集まってしまいました。

 今回の選挙の結果、多くの得票を集められた板倉徹教授は、その不適正経理問題につき、一番金額が大きい責任者のお一人であって、かつ、会計検査院が第一陣として昨年発表した検査結果でも対象となった方であります。さらに、今年発表される本件の全容でも再び指弾される予定になっている方であります。私は、この不適正経理が私達が持っている道徳観に反するような破廉恥なものではないと固く信じていますし、これをもって同教授への尊敬の念を失うものでもありません。しかし、まだ処分はなされてはいませんが、御本人の御意見でも停職処分相当という責任があり、かつ他大学の同様事例では、給付金の全額本人賠償返還という責任を負わせられるおそれのある方が、まさにその処理の中で大学の最高責任者の地位にあることが望ましいことでしょうか。就任されたばかりの理事長が自らに処分を課し、しかもその直後に会計検査院の第二陣の発表で再び指弾を受けるという事態が名誉ある和医大、そして正しく身を処していくことを誓った和歌山県にとって、望ましいことでしょうか。事の本質は違うと私自身は考えていますが、過去において和歌山県とはそういう点でルーズな所だと日本中に思われた禍根を私達は忘れてはいけないと思います。選挙結果で示された学内における人望を、時期を選んで形にしていただくという途はなかったのでしょうか。

 板倉教授と全く同様な事を畑埜教授についても申し上げなければなりません。会計検査院の第一陣の発表では公表されていませんが、畑埜教授も板倉教授に匹敵するような金額の不適正経理の科を負っており、第二陣の発表でこれが公表されるはずであります。従って、事情は板倉教授と全く同じであります。畑埜教授も、これまでの学問教育上の実績は十分賞賛されるべき方であり、理事長・学長選挙への立候補は時期を選ばれるべきではなかったかとの思いがいたします。

 南條現学長に関しては、御本人に関してはこれまでの学内調査によれば、会計検査院の指摘するような不適正経理とは無縁であります。また、医師、学者としての実績も名だたるものがある一方、ここ5年間理事長・学長として、とりわけ地域医療の崩壊を身をもって食い止めてくれた事や、和医大の活動領域を広げられ、全国にその名を轟かせた功績は大きいと思います。しかしながら、板倉・畑埜両教授をはじめ少なくとも52名・146件にのぼる学内の不適正経理を許した管理責任についてはその責任を免れませんし、残念ながら、そのような不適正経理の張本人という弱点を有する他の候補者にも投票で敗れるという結果になったことは理事長・学長への信認という点で厳粛に受け止める必要があると思います。この際、身を引かれたらいかがでしょうか。

 以上、和医大を監督する知事としての立場から、また和歌山県と和医大の名誉をあくまでも重んじる和歌山人としての思いから、尊敬措く能わざる和医大の関係者の皆さんに、大変申し上げにくいことを申し上げました。

 3人の候補者をはじめ、全ての関係者の皆様が一度原点に立ち戻り、現時点で望ましい理事長・学長とはという問題を熟慮再考されるように要請申し上げたいと思います。 誤解の無いように最後に申し添えますが、不適正経理の責任は重大ですが、道徳観を疑われるような犯罪では決してありません。3教授とも素晴らしい方々であり、教授として引き続き和医大を背負っていただきたいことには全く変わりはありません。時期さえ選べば全員が十分理事長・学長としてふさわしい方々と考えています。 和医大と和歌山県の百年の計を考えて、和医大が名誉を傷つけられることなく、かつ対立をいつまでも引きずることなく、学内の融和が図られ、全関係者が一致団結をできるような途がないものでしょうか。 皆様に是非考えていただきたいと思います。

                                      平成22年1月12日
和歌山県知事  仁 坂  吉 伸
  

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