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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

「和歌山県行政報告会」における知事説明

日時:平成21年9月30日(水)午後7時30分
場所:和歌山市河南コミュニティセンター
(和歌山市布施屋41)


 皆さん、雨にもかかわりませずこんなに大勢の方々にお出でいただき、本当にありがとうございます。それから、地域の皆様方にお声をかけていただきました、和歌山市自治会連絡協議会の杉山会長さんを初め、各地域の連合自治会長の皆さん本当にありがとうございます。また、県議会議員の皆さんもご出席いただきありがとうございます。

Ⅰ 県行政報告会の趣旨
 私は知事になりましてから、一生懸命やろうとしていることがたくさんあるわけですが、その中でも特に、できるだけいろいろなところに出向いて行って、多くの人に接することにしようと心がけていまして、これは、割合に実行できているつもりです。この、きっかけとなったことをお話しますと、知事になる前に新宮に行きまして、支持をいただけそうな方とお会いしました時に「仁坂さん。応援はするから、当選したら年に1回ぐらいは新宮に来てくださいよ」と言われたわけです。それを聞いて私は驚きまして「今までの知事さんは、そんなに来ていなかったんですか」と聞きましたら「来ていません」ということでした。私は「それではいかん。やっぱり、1~2か月に1度は来るぐらいでないといけない」と言ったわけで、そうやって実行しています。勘定してみると1か月に1回ぐらいは行っていると思います。しかしですね、最近、別の人からやっぱり同じことを言われました。「あれっ」と思ってよく考えてみますと、確かに行っていることは行っているんですが、何かの用務があって行っていたわけです。例えば、道路整備促進の大会や自転車レースの大会、あるいは、商工会議所の皆さんとの懇談であったり、それぞれ用務があって各地に行っているわけなんです。ところが、全般的に県行政の報告をしたり、ご意見をお聞きしたりするということについては、一番最初に公式訪問で自治体の代表者の方たちとは行ったことはありましたが「そう言えばないな」と思いました。そこで、こういう趣旨の報告会を県内で実施できないかと考えて、自治会連絡協議会の杉山会長さんなどにお願いして実現に至ったわけです。7月に紀の川市で第1回目を実施したわけですが、その後、激烈なる衆議院選挙戦がありましたので、その期間中は皆さん方もお忙しいであろうと思いまして実施を見合わせておりましたが、また、9月になって再開したところです。和歌山市は大きい市ですので10ブロックぐらいに分けて、順次、報告会を実施できたらいいなと思ってやっております。他のところは市町村単位で順次実施していけば、1年間ぐらいかければ何とか県内全市町村の皆さんに報告できると思っています。

Ⅱ 何を目指す県政であったか
 本題に入りますが、本日はお手元に縦長と横長の資料をお渡ししています。縦長の用紙には目次を書いております。また、横長の紙は資料集になっていまして、これらを適宜使いながらお話をしていきたいと思います。まず、縦長の資料ですが「何を目指す県政であったか」ということで、選挙の時に5つの目指すべきことを申し述べました。そういうことで、これらは1日も休むことなく取り組んでいるところですが、具体的には、和歌山県の新長期総合計画の中でもっと詳しく申し述べました。それは、実現可能性や財政が破綻することがないかとかについても全部チェックしながらそこに書いているわけです。そして、そういうことを目標にして毎年毎年、着々とやっていくために新政策というプロセスを作っています。目標は長期総合計画、こんなことを目指したいと具体的に長期総合計画に書いてあって、年次計画として新政策でやっていこうということです。これは何かと申しますと、予算というプロセスがありまして、予算は県議会できちんと認めてもらわないといけないわけですが、一方、国に要望するというプロセスもあります。それから、いろいろな運動もあります。私が知事になった時に、それらがてんでんばらばらにやっている感があったわけです。行革は行革でやっておったわけで、こういうふうにやっていると、それぞれが矛盾したことをやりかねないので、例えば、平成22年度の政策については平成21年度の初めから取り組もうということです。そこで、まず、現状の反省があるだろうということで、平成22年度に何をしなければならないというためには、今、何が問題かということをみんなで議論して、問題をどうやってつぶしていこうかとか、これは国の問題だから国に要望するとか、これは自分たちの問題だからもっと詰めようとか、お金は間に合うかとかそういうことを年間通してずっとやっているわけです。

Ⅲ 県行政の前進
 1 談合はなくなったか
 こういうプロセスを通して目標を実現しようとしていますが、具体的にどういうことを実現しようとしているかについて、縦長資料の「Ⅲ 県行政の前進」のところで10項目に分けて今からご説明しようと考えています。その中身なんですが、偉そうにお話すると独り相撲になって上滑りしてしまいそうなので、わざと自分で思いつく限りの意地悪質問を自分にしてみました。例えば、新公共調達制度ですが、私の前任の知事が逮捕されたということを受けて、これをきちんと作るということが私に課せられた大事な義務であったわけで、これをきちんとやりましたということなのですが、嫌らしく質問してみました。「談合はなくなったか」、「官製談合はまだやっているんじゃないか」とか「清潔な行政というけれど、口だけでないか」というふうに、意地悪質問をいっぱい自分に投げかけてみて、これに対して答えるつもりで語ったらいいかなと思って、こういう構成にしました。
 私が知事になった時、たまたま官製談合事件が多くて、官製談合という言葉自体も頻繁に使われていまして、とにかく、談合をなくすということが大変大きなテーマであったわけです。そこで、全国の各県は何をやっていたかというと、一般競争入札をどこまで導入するかということばかりに一生懸命取り組んでいました。一般競争入札をやると談合はなくなりやすいですね。指名競争入札であれば競争相手がわかっていますから、談合して「入札価格を高くしよう」という話がどうしても多くなりやすいので、一般競争入札の方がまあいいだろうということで、全国の各県では一般競争入札を何円までやるかということの競争になって、そればかりしか考えてなかったわけです。ところが考えてみたら、それによって効率的に談合がなくなって安価になるということはあるかもしれないけれど、公共事業に手抜き工事が起きて、橋が落ちましたということでは話になりませんよね。それから、建設業というのは和歌山の大事な産業ですから、建設業の方々は片っ端から悪者だとして石をぶつけるような風潮はいけないということだと思います。建設業が産業としてきちんと成り立っていくように、いろいろと考えておかないといけないわけです。そうしないと、例えば、災害が起こった時に助けてくれる人がいないわけですよ。そういうことではいけない。したがって、そういうことが全部できる制度を作ろうと思ってやりました。指名競争入札はなくても大丈夫だということで、資料集の1ページの左上にあるように、和歌山県の公共調達は4つに分類できるのですが、既に全部一般競争入札になっています。ところが、指名競争入札のいいところは、紳士の人だけが指名され、紳士でない人は指名されないというところです。格付けも全部わかって指名されているということです。それをやけくそで一般競争入札だとしてしまうと、誰が落札してどんな結果になるかわからないわけです。それで、一番初めに入学試験をして、身元の確かな人に請け負ってもらう。それから、さらに能力はこれぐらいあるはずだという能力の格付けをきちんとやりまして、そこまでやって初めて一般競争入札ができるんです。他県ではそれをやらずに一気に一般競争入札をやろうとするから無茶苦茶になってしまって、また、元に戻すというような単なるサンドバッグみたいなことをやったりしているところがけっこうありました。そういうことで、3つの目的を掲げてやったわけですけれども、ただ、細部においては「ちょっと間違ったかな」というところもありまして、その基準をちょっとこっちに変えようとかを、今やっておりまして、建設業界の皆さんの議論なども聞きながら、けっこう注意深く運用しているというのが現状です。絶対に神様のように正しいということはあり得ないんですから、業界の皆さんの意見も聞きながら、うまくやっていかなければならないと思っています。一方、和歌山県職員倫理規則というものを作って、県及び自分自身にそれを課しました。従来は心構えのような規則しかなかったので、どこまで許されるのか、どこからが許されないのかがわからなかったのですが、きちんとルールを決めたからこのルールにしたがってやってくれということです。はっきり言うと「みんな割り勘でいこう」ということです。それなら、県民の皆さんと大いに付き合うということもいいじゃないかということです。これは、知事の犯罪でしたから、特別職の私や副知事まで全部対象になるようにしました。また、監察査察監なども設置してきちんとやっていますから、和歌山県の不正が起きないための制度は完璧にできたかなと思っています。ちょっと問題なのは県庁の職員が閉じこもりになっているのではないかということです。皆さんとどんどんお付き合いして、酒の一杯でも飲みながら、もちろん割り勘で、議論していろんな情報を仕入れていい行政をせねばならないわけですが、「民間の人と付き合ったらいかんかな」というような感じが出過ぎているとすれば問題です。私はけっこうお付き合いをしています。そして、何をやったか、負担はどうしたかなど全部県庁のホームページに公表しています。これを見ると、誰と食事をしているかすぐにわかります。見ていただいたらよろしいかと思います。何も恥じることはないので、それでいいのではないかと思っています。

 2 行政改革はやっているか
 次に、行政改革であります。和歌山市も大変ですが、実は和歌山県も大変なんです。私が就任しました時にちょうど予算の査定をしていました。それでいろんなことを聞きます。就任したのが実質的には1月ですから、2月には予算議案を県議会に出さねばならないわけです。そういうタイミングで、よその県知事さんみたいに1回はガラガラポンというようにするというのもありますけれども、私の場合はよく考えたらそんなに悪い予算ではないし、これはだいたい踏襲しようと思いました。ただ、その中で3つだけやってもらいました。1つはX軸ネットワークで、後でもご説明しますが幹線道路をきちんと整備するということです。2番目は少子化対策。3番目は防災。これにたくさん予算を配分してもらい、その分他の予算を削ってくれというようなことはやりました。それで、その時に和歌山県の財政は2年半でパンクするということがわかりました。私が来ました時に150億円赤字を出すことにしました。赤字というのは現金が足りるかということで、貯金がある限りにおいては、別に破産するわけではありません。和歌山県は物凄くたくさん貯金がありました。ところがですね、三位一体改革というのが小泉首相の時にありました。その時に、日本全体で3兆円の税源をもらいました。収入が増えたわけです。その代わり補助金を4兆円削られました。補助金の額が減ったので、自前でやらなければならなくなったわけです。それに加えて、地方交付税というのがあるんですが、これは、簡単に言うとごもっともな不足分を国が埋めてくれるもので、和歌山県のような貧乏な県にはごもっともな不足が出るわけですから、この不足を地方交付税で国が埋めてくれるわけです。ところが、その埋め方がうんと少なくなってしまったんです。それで、全体として5兆円お金が減りました。そうすると全部で6兆円のお金が地方公共団体からなくなったということです。和歌山県もそうなりましたが、一方、行政需要はありますよね。福祉のお金などは削れませんから150億円の赤字が出てしまうわけです。その時、貯金が340億円あったわけで、190億円しか年度末に貯金が残らないという計算でした。実際にはもうちょっと残りましたが、190億円からもう1回150億円赤字を出してしまっても平成20年度はまだ大丈夫ですが、平成21年度になるととたんに首が絞まるわけです。それで、こういう状態を放置してはならないということで、新行財政改革推進プランというものを1年間かけて「ああでもない。こうでもない」と大騒ぎして作りました。その考え方は「和歌山県を永遠に」しようというもので、そのためには基金という貯金がマイナスにならないようにしようとしており、だんだん赤字を減らしていって、5年後にはマイナスにならないような水準で赤字がなくなるというように仕組もうとしています。そのためにどうしたらいいかというと、借金の中身も変えなければいけませんが、それと並んで、主として県庁の公務員の数をうんと減らすということです。もちろん、職員を解雇するというのはできませんから、退職する人の数よりも採用する人の数をうんと減らして、そうしてだんだんと職員数を減らしていきます。それから、年間実質的に10億円ずつ財政をカットしていきます。先ほど新政策と言いましたが、その議論の中では「こういうことが不足だからこういうことをやりたい」、「ああいうこともやりたい」と言って、職員みんなが物凄くいい意見を出してくれるんですが、全体としてマイナスにしていかなければならないわけです。和歌山県はそういう辛いところにいるわけであります。深刻度において和歌山県は全国では上から3分の1から4分の1ぐらいのところにあると思います。私は、このままだと全県、全地方公共団体が破産すると思いますが、破産するなら最後まで粘って破産してやるぞという意気込みで頑張っています。頑張ってはいますけれども、たぶんこのままでは地方公共団体はもたないと思いますので、国全体の何らかの財源手当とかということで工夫をしていかないと「お前が悪い」、「お前が悪い」という問題ではない。もはやそういう事態に来ていると思っています。そんな中で、真っ先に破産するのは和歌山県だという汚名だけは、皆さんのためにも避けなければならないと思っています。そこで、破産するとどうなるかといますと、地方公共団体というのは赤字県債を発行できないわけです。だから借金ができないんですね。そうすると、どうするかというと「先食い」するわけです。先の収入を当てにして「先食い」していくわけです。露骨に言いますと、大阪府などは基金はまだ少しあるんですが、その基金の何倍かの「先食い」による借金があるわけです。しかも、それがどんどん増えていきそうなのを、橋下知事がその増えるのを止めたんです。ついに止めたんです。これは凄く偉いことだと思いますが、実は「先食い」がガバッとあって、この「先食い」をなくしたわけではありません。和歌山県には「先食い」はありません。「先食い」の前のところで財政を健全にして、皆さんに迷惑をかけないようにしようとしています。それで、その「先食い」を続けていくと、その内どうなるかというと「先食い」もできなくなります。そうすると、夕張市のようになって、その上位組織が進駐軍のようになり「増税をしろ」、「職員の人員整理をせよ」という話になってくるわけです。県民のためにはサービスがなくなるか増税かのどちらかになります。そういうふうになるわけにはいかないので、今のところ、この路線(新行財政改革推進プラン)に沿って頑張っています。

 3 働く場は増えているか
 次に3番目。これは経済問題です。よく行革をやるのに熱心な人は、行革ばかりやって血も涙もなく切ってしまうから、経済がカスカスになるという危険性があるんですね。私もそうならないように努力をしています。実は、現在、補正予算などをどんどん組んで、予算規模からすると大きな補正予算を組みました。国は赤字国債を何度も出せますから、麻生内閣がやられたように物凄い不況対策ができます。県はそれができないので、不況対策の責任を国が県に押しつけるのはおかしくて、それは国がやるべきであるというのが経済学が教えるところであるんですが、県は足を引っ張ってはいけないですよね。例えば、国からお金がもらえます。自由にできるお金ができました。それでは「借金を減らすために基金に積み増して、県民に配るのをやめましょう」と言った時、国がお金を回して景気をよくしようとしているにもかかわらず、県が吸い取ってしまったら景気は良くなりませんよね。そんなことになってはいけないので、行財政改革で一定程度やらなければならないけれど、残りは民間にドーンと返すのが一番いいわけです。そう考えてやった予算が資料の5ページ、6ページぐらいにあるんですが、それまでずーっとマイナス基調で予算を組んでいたのですが、平成21年度当初予算でも積極的な予算を作りました。もちろん、その裏では先ほども言いましたように行財政改革をやっていますから、別に破産路線に行ったわけではありません。特に、公共投資についてはそれまでずーっとマイナスできていました。だけど、この年にその分だけお金がもらえたというのもあるし、この際、それならば県として、どうしてもやらなければならないこととわかっているものがありますので、それを先にやろうとしています。例えば、国体がありますので、そのための施設は県の施設として必ず作らなければならないわけですので、国体開催時期のぎりぎりに作らずに今から作ってしまえと言ってやっています。そういう予算がけっこうあります。それから、そういうものを併せて当初予算では7%増にしました。実は、その後、麻生内閣は物凄く熱心に不況対策をしてくれました。その分だけは評価すべきだと私は思いますが、その結果6ページの下の方にありますが、平成20年度の当初予算に比べて平成21年度当初予算の投資的経費が46%増に今のところなっています。だからといって無駄なものをいっぱい作って、その後の管理が大変だとかそんなになったら困るのにというものではなく、どのみち絶対に作らなければならないものなんですからね。国体のためのプールとか、既に計画ができあがっていてなかなか進まない道路であるとか、そういうものはできるだけ早くやろうというようなことで、今、努力しているところであります。そして、これで経済をちょっと浮揚させようと思っているんです。それから、緊急対策としてはつなぎ融資なんかでですね、県の政策金融などがかなり活動しました。お金をお借りになった方もいらっしゃると思いますが、国のやってくれた信用保証に加えて、県の政策融資の枠を少し拡げましたので、大分、助かったところもあるかなと実績から見て思っています。ただ、こういう財政だけで経済を引っ張れるわけではありません。どうやって経済を引っ張るかというと、これはやはり働く場を増やさなければいけない。和歌山県の人口が減るのを何とか止めろと人は言うのですが、これは、どうやったら止まるかというと、方法は2つしかない。1つはたくさん産んでいただくことです。もう1つは働く場所を作って、人が働けるように、定着できるように、他所からも来られるようにするということで、この2つしかありません。そうしたら、どうやったら働く場が増えるかというと、これまた2つしかありません。まず、一番いいのは企業に育ってもらうということです。今日、ここにいらっしゃる皆さんのようなところの方で、それぞれのお立場の方が、例えば、企業をやっておられる方がおられたら、その企業がグッと伸びるというきっかけをつかんで伸ばしてもらうことが一番よろしいと思います。なぜならば、何と言っても社長さんがここにいるということなんです。しかし、そればかりに頼っているわけにはいきません。雇用が増える、働く場所が増えるのであれば、他所からでも企業を連れて来なければいかんじゃないかと思っています。和歌山県は昭和50年ぐらいから成長率は全国でビリです。その30年前の和歌山県の産業構造と今の産業構造を比べると、ほとんど変わっていません。製造業でいうと鉄鋼と石油と化学で60%を占めています。他所はどうかというと、圧倒的に変わっているわけです。この30年間、日本の経済のどこが伸びたかというと、自動車とか電機、電子、精密というところがめざましく伸びているんです。例えば、私の子どもの頃、東北地方でいうと冬は出稼ぎに来なければいかんし大変だと思っていました。我々は、出稼ぎに行かなくてもいいし、地元には雇用はほどほどにあるしと思っていました。しかし、東北自動車道がドーンとできて、岩手県の水沢とかのインターチェンジの周りに、何百人とか千人ぐらい雇ってくれるような半導体の工場がどんどんできていくわけです。それで、産業構造もコロっと変わってしまいました。さっき言いました流行りの4業種で50%ぐらいを占めています。そうなったところと相変わらず同じ業種で戦っている和歌山とでは、やっぱり勝負がついてしまったというところがあります。だから、他所から企業を来させないかんわけです。しかし、お金(公費助成)で来てもらうということはほとんど不可能なので、いろんなことをしていかなければいけません。人脈を辿りながら頼みに行ったり、県庁など役所の手続きを速くするなど、いろんな便宜を図ることでやっていかないといけないと思います。その結果、3ページにあるようにけっこう来てくれました。これには、それまでに県内にいた企業の大増設も含まれていますけれども、70社、70プロジェクトぐらいあります。それから、最近、けっこう皆さん元気になられて「よし。頑張るぞ」と思っておられる中小企業の方もけっこういらっしゃいます。実は、和歌山はちょっとデータが良くなってきました。有効求人倍率という、時々新聞に出てくる概念があります。これは、職業安定所に登録されている有効求職者に対する有効求人数の割合のことで、有効求人倍率が高くなるということは、雇われたいと思う人数に対して、企業が雇いたいと思う人数が増えているということです。今、日本全体この数字が下がっていて、和歌山も例外ではないんですが、近畿で相対的にはトップになりました。3年前は近畿でビリだったんですが、今はトップになっているわけです。全国でも6位から8位ぐらいを行き来するぐらいのところになりました。だけども、全然嬉しくないわけです。なぜならば、この数値が1になって初めて需給がバランスするわけですが、今は0.5ぐらいですからね。まあ、近畿でトップになったということは、中小企業の努力とか、あるいは、3ページにあるような何十人から何人までの雇用予定人数を足して、何とかもがきながらいっぱいやっているというところが、少しは効いたかなと思っています。それから、工業統計。これがですね3−2ページにありますが、実は、今日、私はこれを見たんです。それで、敢えて資料の3−2ページという枝番にして持ってきました。これを見るとですね、和歌山は惨憺たる有り様だなと思いました。平成10年には事業所数が3,363もあったのに、ずっとマイナスが続いて、平成20年には2,229になってしまっている。従業者でいうと平成10年には64,825人もいたのに、平成20年には52,560人になっている。この数字には、本当の零細企業は除いて、従業者4人以上の事業所の数字です。それで「何ということか」と思うわけですが、ここ2年ぐらいはこれがプラスになって、ようやく事業所も増えてきてくれました。ということは「よし。頑張るぞ」という人たちが少しは出てきたということではないかと思います。それで、現在、平成21年なんですが、従業者数はずーっと対前年比がプラスで推移しています。従業者数が対前年比プラスで推移している県はあまりないんです。5~8県ぐらいしかなかったと思いますが、その中に入っているということです。ただ、これも「じゃあ、これで良いのか」と言われると、そうではないんです。仕事は少しはある。少しは雇ってくれる。だけど「その人数は十分か」というとそうではないということです。それに、仕事はやはりパートで、昔みたいに高給じゃないということで「これで幸せか」と問われれば「幸せではないです」というのが多いんです。だけど「パートじゃないか。何の意味もない」というのは間違いだと思います。パートでもそれが増えてきたら、今度はパートの人をつなぎ止めておくことが難しくなってくるんです。なぜならば、雇われる人も有利な条件のところに行き始めるようになるからです。したがって、求人が多い状態を作り出さなければいけないということになります。全然、嬉しくはないけれども、こういうふうに少しずつよくしていくということは大事なことだと思うんです。企業誘致を一生懸命やって、70プロジェクトを増やしました。その前の20年で80プロジェクトぐらいだったんです。ということで、20年分を約2年半で取り戻したとも言えるわけですが、中には負けたケースもあります。負けたケースを1つ紹介しますと、県南部の方でまとまった土地を買って設備投資してくれそうな企業がありました。それで、その企業を誘致しようと私も会社に行きました。私は社長さんにお会いしなかったんですが、電話をしました。その企業自身はそこに行ってもいいんだけれど、水が必要な企業でしたので、水、工業用水がないということが問題でした。そこには農業用水が余っていました。足りなければ農業用水を使ってしまうことはできませんが、余っているんだったらいいじゃないかということで県庁の中で議論をしました。農林水産省の補助金をもらって作った施設により取水した水を、工業用水に一部流用していいかということについて「物凄く大変なんです」という県庁の職員を説き伏せて、自分がやるからと言って工業用水に流用するとして企業と約束をしました。社長さんに電話をして「工業用水はあなたの会社が来る1年前にちゃんとできますから、ぜひ来てください」と言ってお話をいたしました。声を聞いていると、何となく来てくれそうだったんですが、負けてしまいました。それで「どうしてかな」ということで、和歌山派の担当者の人に聞いてみると、設備投資の資金融資を受けようとする際に「和歌山に行く」と言ったら、銀行からストップがかかったとうことを聞きました。なぜかと聞くと「和歌山は県庁はアホだし、市役所は何もしないし、住民は石をぶつけに来るし、それから、政治家はたかりに来るし、絶対にやめろ」というようなことを言われたそうです。それで、こうした汚名は、この70のプロジェクトについて成功させて、一個一個の事例を出して「和歌山で、ちゃんとこれだけ儲けたじゃないですか」と言って説明できるようにしないと消えないんです。汚名が消えない状態でやっていくと、どんどん、どんどん悪くなるわけで、それをよくするためには歯を食いしばって頑張って、その結果「意外といいぞ」という話が流れ始めると、だんだんと放っておいても来てくれるようになってくるということではないかなと思います。マイナスからの出発ですけれど、これは皆さんと一緒に頑張らないとしょうがないわけです。

 4 農林水産業を忘れてはいないか
 それから「農林水産業を忘れていませんか」、特に「後継者問題、耕作放棄地をどうするんですか」というような話があります。農林水産業のことはもちろん忘れていません。農林水産業だけで県を人口減から立て直せるかというと、たぶん、それは難しいと思います。なぜならば、就業者の割合がとっても小さいからです。県の中で働いている人が一番多いのは第3次産業です。公務員なども含めて、サービス業とか商店とかで働いている人が一番多いんです。その次は製造業です。それから、うんと少なくなるのは農林水産業であるんですが、実は、その業種の中で引っ張っていく力のある業種とついて行っている業種とがありますね。例えば、製造業などは他所にも売れるわけですから、引っ張っています。ところが、公務員などは県民の皆さんに雇われているわけですから、それが引っ張っていける業種ではありません。農林水産業は引っ張っていけるんです。ただ、引っ張っていけるんだけれど、ウェートが小さいんです。だから、引っ張っていけるようなものをたくさん作らないといけないから、農林水産業だけではたぶんウェートが小さすぎて、人口を養えないのです。だけど、引っ張っていけるんですから、これは頑張らないといけないと思っています。そこで、まず、和歌山の農林水産業を見てみると、農業はちょっと惨憺で、林業と水産業はもう惨憺、惨憺、無茶苦茶であります。それで、それぞれアクションプログラムを作りまして、今、頑張っているところです。農業について言いますと、果物の生産額は和歌山は今全国で2位です。1位だったんですが青森のりんごに抜かれまして、今は2位です。2位ですが、たくさんの種類の果物があって、なかなか潜在力からすると青森以上のものがあると私は思っています。おいしいものがたくさんあるんですが、少し生産の方に皆さんの気持ちが偏していて、農協に持って行ったら終わりというのがけっこうあります。農協の方も一生懸命やってくださっているんですが、従来の市場に持って行ったら終わりというところもあります。そこはもちろん馬鹿にしてはいけない大事な中心軸なんですが、その他にも儲けの種をたくさんまいておかなければいけないんです。それならば、販売促進戦略です。一部は輸出もできるかもしれないし、未開拓の地方もあるではないか。それで、関東圏などでももっと売れるかもしれない。そういうことになると値段も上がって、農家の所得も上がって、農家の所得が上がったら、子どもに継いでもらってもいいかもしれないなと親御さんも考えるかもしれません。そこで、販売促進の話から始めます。これは、和歌山県はけっこう引っ込み思案で、農林水産物、加工食品を含めて外に売りに行ったのは平成19年2月が初めてです。これは、正直に申し上げると私が企画したのではなくて、私が知事になった時には既に企画されていました。それで、知事として一番初めにこれを発表して「頑張るぞ」と言ってやっただけです。だけど、その時が初めてのことだったんです。それで、もっと関東圏にまで行こう、世界中に行こうということで、今、この勢いをもっと強くしています。特に、この中で一番大切なのは、バイヤー(買い手)を呼んでくるということです。サプライヤー(売り手)は県民ですから「行こう。行こう」と言ったら行ってくれる人もいるんですが、バイヤーをサプライヤーに合わせるためにどうやって連れてくるかについては、和歌山県の力がそんなに及ぶところではありません。大阪では自前で商談会をやっていますから、一生懸命バイヤーを集めていて、だんだん増えて定着してきています。ところが、東京ではもっと難しいんです。そこで、どうしたかというと、10万人のバイヤーが来るという見本市があるんです。そこにですね、和歌山が一番大きなブースを作って、やる気のある人に自己負担でけっこう入ってもらったわけです。県庁もかなり負担をしています。そこで、勝負しましたらけっこう当たりまして、大いに儲かった企業も出てきました。そういうことを、これからもどんどん進めていかないといけないわけです。海外でも同じことをやりつつあって、この月末にかけてフランスとイタリアに売りに行こうとしておりまして、これはちょっと疲れるんですが、死にものぐるいでやってこようと思っています。今度は「売るばっかりではいけないな」と思い始めました。なぜならば、商品を開発するとか商品力を高めるとか加工食品を作っていくとか、それから、流通ルートを工夫するとか生産者の方のいろんな条件を整えるとか、そういうこともやっていかなければならないからです。それで、実は「わがまち元気プロジェクト」と「新農林水産業戦略プロジェクト」というものを作りました。資料集の10ページ、11ページに一覧で載せてあります。今日も2つ記者会見で発表しましたので、今、続々と各地でこれが増えているところであります。こういうのをどんどん増やして、生産から販売までを「一気通貫」で高めていくと、それは、とりもなおさず地域興しになるわけです。その地域を元気にしていこうじゃないかというようなことを、今、一生懸命構想して、仲間を募って頑張っていっているわけです。

 5 行革の名目で弱者の切り捨てをしようとしていないか
 それから「行革の名目で弱者の切り捨てをしようとしていないか」、「少子高齢化にどう対処するか」ということです。これらは、もっとも切実な問題で、実は私も随分悩みました。というのは、一方で行革をやらないといけない。行革をやるためには「この県の予算は削らなければならないのではないですか」ということを、行革担当部局が進言してくれます。この中には、例えば、県の単独事業で医療費の助成をする予算があります。これは、県の予算の中では一番大きいぐらいで、政策経費として何十億円という金額がここに投入されています。こういう予算を野放しにしておいて、行革はできないのではないですかという議論が行革担当部局との間で出ます。その意見の透明性を高めるために、行財政改革推進本部の事務局案を全部公表して県民の皆さんからのご意見を伺いました。すると、直ちに県民の皆さんから反対の意見を頂戴しました。それから、同じくNPOサポートセンターについても廃止したらどうか、青少年活動センターについても廃止したらどうか、それから、合併浄化槽の設置整備事業補助金というのも廃止しなければというような議論がたくさん出ました。だけど、その中でも私が一番削りたくなかったのは、やはり、県単独の医療費助成でした。「こんな大切な予算まで削らなければ、県の財政が維持できないのか。それはおかしい」と思いました。本当に困っている人に「医療費の個人負担分を支払ってくれ」と言わなければならないわけですから。医療費の自己負担額は、今、けっこう高くなっていますからね。支払い能力のある人はいいですけれど、支払い能力のない人にとってはお医者さんにもかかれないということになったら大変ですからね。結論を言いますと、何とかなりました。今、申し上げましたように財源の手当ができましたので、守ることができたわけです。守ることはできましたが、たぶん、今の和歌山県の財政状況では、これを抜本的に拡充するということはできないと思います。だけど、安心・安全というのは、やはり踏み止まるということが一番大事なことだと思いますので、これは、しばらく必死になって守ろうと思います。それから、少子化対策として「紀州3人っこ施策」というのをやっています。一番の眼目は、3人目のお子さんから保育料を無料にするという施策を、市町村と一緒になってやっています。別に悪口を言ってるわけではないのですが、財政が大変な和歌山市と有田市では、残念ながら取り組めていません。今のところ、何とか取り組んでいただけませんかと県からお願いをしているという状態です。この「紀州3人っこ施策」の効果だと胸を張る勇気はちょっと私にはないのですが、ひょっとしたら効いたのかもしれないというのは、直近で和歌山県の出生率の伸びが日本一になったということです。出生率が日本一ではありません。出生率の日本一は相変わらず沖縄で、一番最低が東京です。和歌山は下位の方にいたんですが、上から数えた方が速いところまで急激に上がってきて、伸び率が日本一になったわけです。これは、物凄く嬉しいニュースなんですが、「紀州3人っこ施策」が効いたかというところまではわかりません。だけど、こういう施策を続けていって、お母さん方、お父さん方に勇気を持ってもらって育ててもらうということをメッセージとして出していくということは絶対に必要だと思いますので、続けていきたいと思っています。それから、高齢者対策を今年になってから手がけつつあります。例えば、体をこわして人知れず亡くなっているような人がいたらとても悲劇ですので、見回りをちゃんとしなければいけません。あるいは、これは有料になるかもしれませんが、今、ちょっと腰が痛くなったから、誰かに仕事を代わってくれないかというような時に、お互いに融通しあって代わってあげられるような制度を、和歌山県の中でちゃんと作ておくことが大事ではないかと思います。まだ、全部というわけにはいきませんが、若干のお金もつけながらそういう施策もやっています。それから、大地震が発生しますとですね、和歌山市内のこの辺は大丈夫ですが、山間部に行きますと孤立集落というのができます。岩手・宮城地震の時などを見ますと、道路が途絶して通信ができなくなって、集落の中がどうなっているかがわからない場合があるようです。あそこは局地的に被害が出たから迅速に救助に行けたのですが、和歌山の場合、例えば、東南海・南海地震が発生したら、道路は全部途絶してしまうわけです。どこが一番困っているかという情報を早く得る必要があるわけで、つまり、瀕死の重症者が多数発生しているところ、水や食料が不足はしているけれど、何とか助け合って生きているが、早く物資が必要だというところなどをまず区別して、最初に瀕死の重症者がいるところにヘリコプターを飛ばさなければならないわけです。ところが、通信が全くとれない状態になることが予想されますので、そういうところには必ず防災無線機を配置するようにしています。無線というのは災害時にも割合通じますので、これはもう市町村と半分ずつ負担してとか言ってると、財政の弱い市町村では設置できませんので、防災無線のないところには今年度中に県が全部負担して、無線機を配置してしまうように考えています。それから、コミュニティバスとか、ちょっとハンディキャップを負っているお年寄りの皆さんに向けた施策を、頑張ってやろうと今考えているところです。

 6 若者の教育は大丈夫か
 次に教育です。教育は大変大事な話であります。「学力も体力も低位だというけど大丈夫か」とか「非行とかいじめとか胸のふさがるような話もたくさんまだ聞こえます」したがって、教育というのは一刻もないがしろにできない話だと思っています。そこで、長期総合計画の策定時から「こうするんだ」と既に考えは決めています。道徳教育をきちんとする。それから、学力はつける。それから、郷土教育をきちんとする。和歌山というのはこんなに素晴らしいんだということを、子どもの頃からきちんと教えるんです。それから、就職の指導を徹底的にやる。それから、専門的な知識あるいはスポーツ、こういうものについてきちんとやる。それから、いろんな経験をさせる。今、そういうことをやり始めているところです。一例をあげますと、ネットパトロール。これは、道徳の関係なんですが、インターネットの世界でいじめるということがあるんです。これは、今、物凄く危険な状況にあります。それから、無防備にインターネットにさらけ出すと、悪い大人に悪いことをされるという可能性もあるわけです。ネットパトロールということをやっておりまして、公開されているウェブサイトを巡回して見て、危なそうなウェブサイトを県庁と県警と教育委員会で継続して観察しています。それで「危険だな」とか「いじめが始まっているぞ」という時には、すぐに学校に行って止めさせるというようなことを、今、頑張っております。アナウンス効果もあったかもしれませんが、幸いにして今のところ大きな事件は起きていません。だけど、話すのも嫌なくらいの汚らしい言葉で悪口を言っていたようなウェブサイトがあったんで、そういうのはやめてもらったりというようなことをしました。そうやって、きちんと見張っていてあげないと子どもは守れないわけです。それから、郷土教育なんかもそうだと思います。私は、まあまあ、まじめな高校生でしたから、郷土教育について教えてもらったのは少し覚えているんですが、私らの時代は全くといっていいほど和歌山のことについては教えてくれませんでした。今は、そんなことはないんですよ。今は随分教えてくれているんですが、それでも足りないと思います。私の場合は、 申し訳ありませんけれども、もっと和歌山のいいところをと知事になって初めて勉強しました。皆さんもそういうところがあると思います。そういうところは子どもにちゃんと教えて「和歌山をいつまでも誇りに持ち続ける子どもを育てるんだ」そんなふうに思っている次第です。学力をつけるというのには秘策がありまして、これはまだ着手したところですが、頑張ってやっていきたいと思っています。

 7 インフラがさっぱりよくならないではないか
 それから、インフラです。「インフラがさっぱりよくならないではないか」という話があります。一方では「道路が大事というが、建設業者の仕事のために無駄な道路ばかり作っているのではないか」というような意地悪な議論もあるわけです。それについては、基本的には道路はつながって初めというものだと私は思っています。現状はどうなっているかというと、7ページ以下の資料があります。和歌山は、何も昔からずっと調子の悪いところではなかったわけです。鉄道の時代までは、ちゃんと紀伊半島一周の鉄道も和歌山線も国が整備してくれたんです。高速道路の時代になって初めて、和歌山は取り残されています。全国にはそういうところはいくつかあります。これらのいくつかあるところに限って人口が激減しています。そういう、ハンディキャップというかマイナスを背負わされているにもかかわらず「和歌山はあかんたれやな」と言われるのは辛いですよね。それで、そこだけは何とかしてもらって、後は何とか自分たちでやろうじゃないかというのが私たちの考えです。いろいろ問題になりましたけれど、実は、我々はガソリン税を一世帯当たりで東京都の3.6倍も支払っているんです。一部には3.6倍もあるんだから、それを全部あげるから自分たちだけで道路を整備したらいいじゃないかと言われる可能性もあります。ところが、資料の7ページ右上を見ていただきますと、数字に多少のでこぼこはありますけれど、ずっと東京都にたくさん道路投資をしてきたというような状態が継続していました。東京オリンピックの翌年の1965年、昭和40年以降からしかデータがないものですからこうなっていますが、これを見ると東京にどれだけ集中して財源が充当されていたかということが明らかです。東京オリンピックの前の方がもっと凄いんですけれども。道路は東京から造り始めたわけです。その次に大阪、次に名古屋、それから昔の街道といわれるところに重点的に充当されたわけです。中山道、東北道とかそういうところに配分されて、最後に取り残されたところが紀伊半島とかそういうところなんです。それで、ようやくこれから順番が回ってくるじゃないかという時に「これからは自分たちだけで整備したら」と言われたら「前からずっと支払い続けてきたガソリン税は何だったのか」と、自分としては思う気持ちもあるわけです。したがって「骨格を形成する道路については、最後まで面倒を見てくださいよ」と言っていますが、それ以外の細かい部分の道路は自分たちでやらないといけないと思っているところです。それから、おもしろいデータを発見しました。資料の8ページの左下です。和歌山には、もう一つ全国ワースト1がありました。それは、改良完成区間延長率が全国ワースト1で、これはどういうことかといいますと、道路は一部改良されているんだけれどそうでないところがあって、それがあっちでもこっちでもあるというのが日本一という意味です。ちょっと手を着けて放っておく。また、ちょっとこっちに手を着けて放っておく。そういうことばかりやっているわけです。やはり、道路というのは最後まで完成して、初めて改良の意味が出てくるんです。紀北と紀南を結ぶ道路がぐにゃぐにゃした国道42号だけだったら、車で速く走ったら車酔いしてしまいます。しかし、高速道路はどんなに頑張っても整備に時間がかかるわけですから、X軸といいまして、かなりできあがっている有田から本宮を通って新宮に行く道路、田辺から高野龍神を通って橋本に行く道路などがスムーズに走れたら、随分違うじゃないかということなんです。ところが、他所にいったらそんなことはないと思いますが、こんな幹線中の幹線にもすれ違いのできない道路が和歌山にはまだ残っているんです。それで、そういう箇所の整備を速くやってしまおうということで、「選択と集中」をせねばならないので、資料の8ページの右の上のような基準を作って頑張ってやっているところです。だから、要望の全部について「わかった。わかった」と言ってやっていると、みんなには良い顔ができるけれども、そうすると和歌山は血が通わなくて死んでしまう可能性があります。それは、私にとっては物凄く辛いことです。なぜならば要望をする人に「あなた、ちょっと待ってください」と言ったら、その人はきっと怒ると思います。辛いんですけれども、それをやらないと和歌山は無茶苦茶になるかもしれないと思って、泣く泣く謝りながらそういうこともたまには言います。

 8 防災への備えはどうか
 それから、防災です。先ほど申し上げた防災無線であるとか、あるいは、学校の耐震化などを頑張ってやっておりまして、県立学校などの耐震化はもうほとんど終わってきております。それで、残されたのは住宅だと私は思っているんです。私が知事になった時に、住宅の耐震診断については補助金がありました。それから、耐震改良もそうでした。ただ、改良については適正に耐震強度を満たさない改良は補助対象外だということでしたので、自己負担額が物凄く多くなるわけです。つまり贅沢な改良になるわけです。それだと補助金の意味があまりなくなるので、例えば、筋交いを補強した程度の改良でも補助対象にしようじゃないかということでやっています。それだけの改良でも、ぺちゃんこにはならないでしょうからね。ちょっと片肘を立てた形ででも残っていると、中から這い出して来れるし、そうすると必ず救助に来てくれるんです。ぺちゃんこにつぶれてしまったら、津波が来る前にやられてしまうので、それだけは防ぎたいと思っているんです。実は、これを今、一生懸命進めています。簡単な補強でもけっこうですから、定額の補助金が使えますから、ぜひ皆さん命を大事に考えて住宅を直してください。昭和55年以降に設計されたものは耐震基準を満たしていますから大丈夫なんですが、それより前のものはいろいろあります。大丈夫なものもありますが危ないものもありますので、お願いでございます。

 9 和歌山は世界遺産を初め、いい観光資源があるのに、よその人はちっともきてくれないではないか
 それから、観光であります。和歌山には物凄くいい観光資源があるのに、ちょっと外向きにはPRが足りないのではないかということがたくさんあります。例えば、白浜アドベンチャーワールドにパンダが7頭もいるということを、東京の人はほとんど知らないですよね。したがって、外へ打って出るということを大いに頑張りたいと思っております。最近は、みんなで必死になって頑張っておりまして、業者の人にもちょっと儲けたら、それを全部はき出して和歌山をPRしてくださいと頼んだりするようなこともやっております。JAL(日本航空)さんにもPRをお願いしたり、南海電鉄さんにもお願いするとかそういうことをやっています。県の職員も必死になってテレビ局をかけずり回っています。最近ですね、ちょっと和歌山の話題がテレビに出始めたと思いませんか。ちょっとだけですが。まだまだ、不足ですが。こういう勢いをどんどんつけていって、頑張らないといかんなと思っています。それから、観光の名目で資源をつぶしてしまったりしてはいけませんよね。そういう意味では、県は景観条例を制定しました。中核市である和歌山市は区域外になっていますが、この条例に基づき景観計画を策定しています。それで、普通の区域では一定規模以上の大きな建物については、周囲と合わないようなものであれば、少し工夫してもらいます。それから、熊野古道沿いを中心に特定景観形成地域に指定しています。ここでは、普通の住宅とかについても色などを周囲に合わせてもらうようにしており、奇妙きてれつなものはやめてもらうというようにしました。それによって、雰囲気を守って「ああ。ここが昔の熊野街道なんだな」という気持ちをずっと持ち続けてもらったら、何度も何度も来てくれて、また、お金も使ってもらえるわけです。したがって、保全はやはり観光には不可欠だと思っています。自然公園も同じでそんなことをやっています。それから、保全ということでは紀の国森づくり税といいまして、皆さんにも年間500円納めていただいており、企業の方でもけっこう納めていただいているお金があります。全体でなんと2億7千万円もあるんです。これは、私が知事なる前にいろんな議論があったようで、いわゆる議員提案によって県議会で賛成多数で可決されてできました。これについてはいろんな経緯がありますので、従来から県が行ってきた施策には使ってはいけないことになっています。例えば、林業の振興などにはなかなか使いにくいんです。そこで、どういうふうに使っているかというと、市町村の事業、それから、皆さんのような市民の方が森とどう付き合っていくかというような文化的な事業をする時に補助金としてお渡ししています。県議会の方も、これについては熱心に見ていただいております。ただ、私は、そろそろトラストみたいに本当に保全しなければならないところを残すというようなことも、このお金を使ってやったらいいのではないかと、ちょっと個人的には思っているところでもあります。何人かの県議会の議員さん方にはそういう議論をしたりしています。といいますのは、自然公園法で和歌山の残された原生林を保全したい。もう残りちょっとしか無いんですから、そこは残すことにしようとしても、そこは、和歌山の多くの場合は民有地なんです。民有地ですから、所有者は自分の財産である木を切って売ったらお金になるんです。保全がなかなかやりにくいというのは私有財産であるからで、それが物凄く危険なんです。それならば買い上げて、県のものにしてしまおうじゃないかということがあってもいいのではないかなと思っています。それから、間伐をもっとやってもらうとか、本来の森林の保全のためにもう少し使ってもいいのではないかと私はちょっと思うんですけれども、そこはまた、議会の方々とよく議論をしていきたいと思います。

 10 県の行政を進めていく上で何が大事か
 それから「県の行政を進めていく上で何が大事か」とありますが、偉そうなことを書いておりますが、私が一番大事なのは愛情だと思っています。やはり、対象であるところの仕事に愛情を感じられなくなったら、やっぱりやる気はなくなりますし、いい加減になります。県の行政にいる者、県知事はもちろんのこと県の職員が和歌山県を愛していなければ、仕事にならないと思います。ただ、愛情だけあって「頑張るぞ」とかけ声だけかけても、うまくいかない時もあります。その時は、今、何が問題だということを見抜けないといけないわけです。そして、これが問題ならばどうしたら直せるという構想力がなくてはいけない。それがなくて、かけ声だけかけて「頑張るぞ」と言っていても、やはり頑張れないわけです。それから、飽きてはいけないということで、持続する意思というか、粘り強く、しつこくやらないと、少しよくなってきたらもういいと言ってしまったら、あっという間に元に戻ってしまうということかもしれません。そういうことが思うところであります。

Ⅳ どんな県の姿を実現したいか。長期総合計画と夢
 どんな県の姿を実現したいかということですが、県のあり方、これは、県の長期総合計画に書いております。私は、あの計画はけっこういい計画だと思うんです。市町村の方々ともガンガン議論しましたし、県議会でも議決をいただきました。説明会も行いました。いろんな意見を入れて策定したし、具体的に書いているし、割合にコンパクトだし、まあまあやないかと思うんで、ご関心があればもう一度見ていただきたいと思います。それで、これを別の角度から3つ申し上げると、1つ目は、今よりも良い生活の明日が実感されるということが物凄く大事じゃないかなと思います。和歌山に元気があった頃、明治以来2回ぐらいはあったと思いますが、私の子どもの頃はそうであったと思います。その頃は、私たちはみんな、日本全国みんなそうであったかもしれませんが「明日はもうちょっと良い生活ができるんじゃないか」と思っていました。ところが、先ほど惨憺たる有り様ということを言いましたような意識があれば、なかなか、みんな自信を持てない。そうすると、いかに心の正しい人でも、奉仕活動を同じようにしようとか、弱い人を守ろうとか、若者を育てようとか、この地域で頑張ろうとかいう気持ちに、なかなかなれないかもしれないですね。だから、やはり今よりもより良い生活というのをちゃんと実感できるような姿を作っていきたいわけです。それで、今までずるずるずると下がってきて、相対的にはちょっと今は上がっていますが、こんなものでは足りないので、もっとどんどん上がって、これをずっと続けていって「おっ。意外といけるやないか」とみんなに思ってもらえるといいかなと思っています。2つ目は、笑顔のあふれる、誇りの持てるというところにしていきたい。3つ目は、お年寄りと弱い人にやさしく、若者に希望が持てるような県を造りたいなと思っています。最近、この希望という言葉を県の中でも議論をしていまして、新しい政策の方向性というのは、やっぱり希望じゃないかと思います。安心・安全という言葉もありますが、これは守りに回っているように思います。やはり、希望を持てるようなことを考えていかなければならないと思います。ご説明しましたように、かなりチェンジをやりました。私はせっかちなものですから、急ぐあまりに職員に対して「もっとやれ」とかも言いまして「知事はきつい」とか「職員がかわいそうだ」とかいう議論もあります。逆にですね、私が知事なりました時に「職員の人数を半分にしたらいい」とか「給料を大いにカットしろ」とか「職員はサボっている」というような話を、私のよく知っている人からも含めていっぱい聞かされました。ちょっと敵意に満ちた意見があったんです。ところが、最近「かわいそうやないか」という意見はありますが、敵意のある意見というのはあまりなくなったと思います。私は、寄せられる投書は全部読ませてもらっていますが、最近は「県の職員はけしからん。遊んでばっかりで」というのはあまりありません。よくやってくれていると私は思っています。それで、このチェンジの火を消さないということが、明日への希望につながるのではないかなと思う次第であります。

資料

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