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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

2008 体験・学び・感動の修学旅行セミナー 東京会場

平成20年8月22日 虎ノ門パストラル/東京都

 和歌山県知事の仁坂でございます。
 本日は、お忙しいところご参加いただき、本当にありがとうございます。
 さて、和歌山県はどちらかというと首都圏ではなじみが薄く「そんなところあっただろうか」という感じになりやすいと思っています。
 我々は、どちらかというと「来る者は拒まず、去る者は追わず」でやってまいりましたが、今の世の中「去る者は追わず」と言っていると、去る者も来る者もいなくなるということが往々にして起こりますので、できるだけ和歌山のいいところを積極的にPRして、和歌山のいいところを味わっていただいた方がいいのではないかと最近思っています。そういうわけで今日は、1番目に「和歌山はどういうところか」をご説明して、2番目に「子どもと体験」についての私のご意見を申し上げて、3番目に「和歌山でどういう観光資源、あるいは、修学旅行資源があるか」を申し上げて、4番目に「和歌山に来るとどういうことになるか」例えば、交通とか宿泊について申し上げたいと思います。
 時間が限られていまして、このあと、文部科学省の初等中等教育局視学官の宮崎様、あるいは今年和歌山にお越しいただいた東京都立国立高校の矢崎先生、また、串本で頑張っておられる和歌山東漁業協同組合組合長の吉田様から、私よりももっと立派なお話がありますので、私はイントロということで、お話をしていきたいと思います。

 まず、和歌山はどういうところかを一言でいうと、私の用語ですけども、「やさしい混沌」だと思っています。私も旅が好きで、いろいろなところに行ったわけですが、和歌山は一つひとつが物凄く際立っているというわけではありませんが、和歌山のようにいろいろなものがたくさんあって、それらが混ざりあっているところはそうはないと思っています。
 それはどういうところかというと、例えば、熱帯植物もあれば広葉樹林もあるし、本州では高山に生えている高山植物がなぜか海岸線に生えています。これは、話し出すと長いのですが、そういうようなものがいっぱいあって、植生が混ざっている山があり、山といっても1,300メートルくらいで、そんなに高くない山がいっぱいあります。その山の間に人々の宝であるきれいな川があり、それからまた、海があります。海の中には砂浜もあるけれども、リアス式海岸といった美しい海岸線もあり、そこには、太陽が燦々と降り注いでいて、それで、小さな漁港があって、たまにウインドサーフィンなんかを楽しんでいる人がいたり、スノーケリングもできるし、ラムサールの海もあります。
 それから、文化的には、世界遺産に登録された熊野三山と、それにつながる熊野古道や、高野山という天下の霊場があり、その他、村や町には国宝級のものがいっぱいあるといったところだと思ってください。
 和歌山にも、よそから来られた人に対して人見知りもせずにちゃんと話ができる方も、そうでない方もおられます。ただ、自分たちだけが孤立して、あるいは唯我独尊でやっていけるとは思っていないので、そういう意味では受け入れや、あるいは来られた方に対しての我々の善意は十分な節度をもっていると思っています。
 1つ歴史的なことでご説明いたしますと、熊野古道と熊野三山は平安時代から始まって千年くらい前は大変盛んだったのですが、熊野三山に上皇がお参りし、それだけじゃなくて、庶民もお参りにくる、貴賎を問わず、老若男女を問わず、それからちょっと親鸞の教えになりますが浄不浄を問わず、最後に信不信を問わず、これはものすごく宗教的に立派な話だと思いますが、信心していなくても熊野本宮大社にお参りしてくださいということで、どのような人でも受け入れたというおもてなしの伝統があります。それを表しているのが、今の和歌山風のこの顔、ほんまもん体験のキャラクター「ほんまもん造」さん、こういう雰囲気でいろいろな人にPRしていきたいと思っています。

 それから、2番目に、子どもと体験についてお話しします。私の個人的な趣味は、蝶々の研究です。当時は昆虫少年、今でも昆虫中年です。そういう意味では、何となく分かるのですが、都会の子どもたちは、蟻が出ると怯えます。ゴキブリを物凄く汚いものだと思っている子どもたちもたくさんいます。だけど実際はそれほど汚いものではなく、ゴキブリが歩いたものを食べても病気になることはありません。たとえ、ハエがたかったものを食べたとしても、胃の消化液で十分殺菌できる程度だと思います。何もそんなものを食べろと言っているわけではありませんが、そういう物の見方が必要でありまして、現代の子どもたちはバーチャルな世界で生きていますが、本当は世の中にはいろんな生物がいて、そういう自然の中で人間は生きている、だから、少し汚いくらいで、踏みにじるのはよくないということを分からせて育てないと、子どもたちの将来が物凄く不安に感じられます。
 そして、これらを学ぶには、頭だけでなくて、実体験が必要になります。だから都会に住んでいる子どもたちには、自分たちの世界にあるものに触れさせて育てなければならないと思います。それによって子どもたちに何が起こるかというと、物事を相対的に見られるようになると思います。ステレオタイプの考え方の人は難しいのですが、実体験に裏打ちされていると、「なぜ」、「どうして」と考えるようになると思います。疑問に思われる人もおられるでしょうから、実例をあげてみたいと思います。オオムラサキという蝶々がいます。以前は東京の近郊の河川敷に結構たくさんいましたが、絶滅してしまいました。なぜ絶滅したかについて、皆さんは採集人がたくさん獲ったからだと思っていらっしゃるでしょうが、実は違います。オオムラサキはエノキという木におり、冬になると葉っぱとともに地面に落ち、地面の葉っぱの裏で過ごします。そして春になると木の上にあがって葉っぱを食べて、初夏の頃に孵化をします。そこで、ボランティアの方が河川敷公園を掃除しておりますと必ず絶滅してしまいます。なぜならば、オオムラサキの餌となるエノキの葉っぱが地面に転がっていないからです。ボランティアの方々は、たぶん公園をきれいにし、整備をされた公園を作っていけば、オオムラサキも必ず飛んでくれるだろうと考えておられたと思いますが、実はそうではないということを相対的に考えていくことが必要であり、環境問題においても、たいへん重要だと思っています。
 それがすべてこのような修学旅行でかなえられるわけではありませんが、いろいろな体験をさせショックを与えることが、今後いろんなことをするときに役立つと考えます。

 3番目に、和歌山にどのような観光資源があるかについてですが、和歌山の「ほんまもん体験」を我々はこういうパンフレットにしています。プログラム提供者の意向を踏まえ、このように写真をつけて、「こんな体験を和歌山でしませんか」と県がまとめてPRし、そしてそれぞれ申し込んでいただいて、体験してもらっています。
 これは主として、大人の方々に使ってもらっていたわけで、我々は「ほんまもん体験」でこれまで多く人を招いてきた自信がありますが、最近は各地で同様の体験観光に対する取組がなされるようになりました。それならばと、今度は子どもたちを対象に組織的に和歌山を売り出すことを考えました。先ほどご説明しましたように、和歌山はそんなに県外に出て行ってアピールすることに熱心な県ではなかったわけですが、せっかく「ほんまもん体験」を提供して、そこで喜んでくれる大人がいるのであれば、和歌山にもっと多くの子どもたちに来てもらおうと考え、「ほんまもん体験」をベースにした修学旅行の誘致を行い、皆さんにご案内をしているわけです。
 この取組に対する歴史は非常に新しく、平成17年くらいから高等学校の修学旅行に来ていただくようになりました。関西地方からの学校は少ないですが、平成20年度は13校と、特に関東地方の高等学校がずいぶん増えています。けれど、
 我々はもっともっと誘致に努めていきたいと思っています。
 和歌山の「ほんまもん体験」にはいくつかの売りがありまして、第1は体験そのものであります。先ほどご説明しましたように、和歌山の特徴は「やさしい混沌」です。海があって、山があって、川があって、加えて、農業があって、果樹園があって、漁業があるなど、なんでもあるわけです。そこで1つのことしか体験をしないということは少しもったいないと思われますので、それをうまく組み合わせていくと、いくつかの楽しい体験を一度にできるわけです。
  第2の売りは、民泊ですが、この取組はまだ始まったばかりです。今までは自分の家に他人を泊めていいのだろうかという思いがありましたが、勇気を持って泊めてみれば、我々も楽しいし、子どもたちとの交流ができ、また、我々のよさを子どもたちに知ってもらえるということで、串本町を中心として民泊の取組が広がっています。それから、もう1つ白浜町の日置川地域がありますが、ここでも民泊が体験できます。
  これまで(県の)南の方のことを中心にして申し上げましたが、北の方にも、例えば高野山というところがあります。こういったパンフレットがございますが、ここは空海が開いた霊場でありまして、京都や奈良に匹敵するような史跡が一か所に集中しています。京都や奈良との違いは2つありまして、1つめは、京都と奈良はたくさんの史跡と普通の家が混在し、逆に言うと街の中に史跡が点在しているわけですが、高野山は全山霊場で構成されており、非常にピュアなところであることです。2つめは、宿坊があるということです。全山霊場というピュアなところで、世間から隔離されたところですので、人をお泊めするのも寺となっています。寺に宿泊するとどうなるかというと、朝のお勤めなどお坊さんの生活が体験できます。周囲は全部お墓です。そのお墓がまた混沌としていまして、そこを歩きながら歴史的な勉強をするのも、またよろしいかと思います。その周辺には、また体験観光の基地もたくさんあり、そういうのが和歌山の観光の売りかと思います。

 4番目に交通と宿泊についてでありますが、交通としては3つのルートがあります。まず、白浜に空港があります。ただ、これは小さい空港で、東京からは小さい飛行機しか飛んで来られないので、ちょっと人数が多くなると難しいと思います。
 次に、電車があります。電車は関空にも名古屋にもつながっており、紀勢線が紀伊半島を一周していまして、名古屋方面からも大阪方面からも来ることができます。また、新幹線にもつながっていますので、そんなに時間を急がなければ、簡単に来られると思います。
 それから、自動車。これは現在の和歌山最大の弱点です。南の方も高速道路が整備されていますが、それも田辺までで、それ以南に行くには、海岸沿いの国道42号線を通って行かなくてはなりません。ただ、考えようによっては、この42号線は物凄く景色が良く、和歌山の海というのはいろんな景色の良いところはたくさんあり、特にリアス式の海岸は格別です。三陸や北陸と違って和歌山がいいのは、そこに太陽があるからで、明るくしかもきれいな海岸線を見ながら、子どもさんは移動時間を過ごすことができます。
  それから、宿泊についてですが、民泊がある他に、実は和歌山は古い観光地でありますので、海岸沿いにホテルが点在しています。それから、仮に値段的な問題がありましたら、潮岬青少年の家、白崎青少年の家といった公立の青少年施設を使っていただければと思います。
 また、修学旅行の受入対策として、本県では皆さんの現地下見等のお世話をさせていただくこととしておりまして、和歌山に先生方が下見にいらっしゃった際に我々のスタッフが現地をご案内し、どのような体験ができるかをご説明いたします。

 最後に、我々が大阪でも同じ催しを行った際に、広島県福山市の新市中学校の先生が話されていたことですが、新市中学校が和歌山南部でいろんな体験をした帰りにUSJに寄って帰るというプランを立てていて、当初、子どもたちはUSJを最も楽しみにしていましたが、帰って話を聞いてみると、USJももちろん楽しかったけれど、本当に楽しかったのは和歌山の「ほんまもん体験」だったと、口々に言っていたそうです。
 ぜひ、子どもたちには立派な大人になってほしい、そのため、一度和歌山の「ほんまもん体験」を経験してほしいというのが、私の切なる願いです。ご清聴ありがとうございました。

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