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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

近畿大学付属和歌山高等学校・中学校における知事講演

平成20年7月14日 近畿大学付属和歌山高等学校・中学校/和歌山市

 皆さんこんにちは。
 今日はたくさん来ていただいて本当にうれしいなあと思います。
 今日は若い皆さんと議論をしたりして、少し元気をもらおうかなと企んだりしているところです。

 皆さん私のことを、知事だということで、ちょっと特別な人だとか、おじさんだなあとか、うちのお父ちゃんより大きいだとか、いろんなことをお思いになると思います。
 私も諸君の年頃の時に、県庁から偉い人が来て何か講演されておられたのを覚えていますが、その偉い方が学友のちょっとかわいい女の子のお父さんだということ以外はまったく覚えておりません。当時の学友たちが、今どういうふうに思っているかはわかりませんが、おじさんの話は退屈やったなあと、自分としては思うんです。
 皆さんからすると、おじさんやおばさんはとっても偉い人、あるいは安定している人、あるいは考えがもう決まっている人、あるいは古臭い人、そういうふうに思われるかもしれないけれど、おじさんやおばさんからすると、いつも不安だし、いつもまわりと喋りたいと思っているものなのです。気持ちは、前に座っておられる中学一年生の子と同じくらいの感じなのです。だから、実はあんまり自分たちと変わらないんだと思っていただくと、皆さんも気が楽になって、何でも喋りやすくなるかなあと思っています。今日はそういうつもりで、みんな適当に、どんどん手を挙げて質問してください。

 それで、なぜおじさんの私が皆さんのような若い人たちに「和歌山県長期総合計画」を語らなければいけないかということについて、ちょっと一言お話ししたいと思います。
 長期総合計画というのは、和歌山県のこれから10年間、どうやっていったらいいかということをみんなで考えた、苦心の産物です。
 そこで第1に、皆さんは、和歌山で生活していく、あるいは、和歌山で育っていく中で、和歌山はどのようになっていったらいいのかについて思いを持っていると思うんです。だから、みんながどう考えているのかということをわかっているだけでも、この和歌山で、自分がどうやって周りとの関係を保って生活していくことになるのかが分かると思います。

 第2に、我々おじさんグループは、まだ、少し頑張りますが、だんだん歴史から退場していき、代わりにその歴史の中に出てくるのは、まさに皆さんのような若い人たちなわけです。若い人たちにとってこの和歌山は、我々おじさんたちの持っている和歌山の意味よりも、実はもっと大きい意味があるはずです。なぜならば、皆さんはおじさんグループよりももっと長く、この和歌山で暮らしていくとか、あるいは和歌山に何らかの関わりを持ち続けていくからです。例えば、よそへ行くにしてもふるさととしての和歌山を心の中に持っている、あるいは現実に仕事の上で関わりがあって、ずっと長く続いていくだろうと思うのです。
 そういう意味で、この和歌山というのはどうでもいい存在ではない。それならば、みんなに考えてもらわなくてはいけない。まあ、こういうことであります。

 もう1つは、私はいつも勉強は何のためにするかということを考えるべきだと思います。
 ここは名門校ですから、受験をして大学に行きたいという人が多いと思いますし、そのために受験勉強をする。これは、大変立派なことだと思います。受験勉強を軽視するのはいけないと思います。ただ、大学へ行って何を勉強するかについて、多少考えておいた方が面白いんじゃないかと思いませんか。というのは、大学へ行ったら手取り足取りいろんなことを教えてくれません。自分で自分の勉強するものを選択して、それで先生に付いて「教えてくれ」と言って、それで吸収していかないと、なんとなく大学は卒業できるかもしれないけれども、面白い大学生活とか、あるいはその先にある面白い人生のきっかけがなかなか掴めないんじゃないかというふうに思います。
 そのために何が必要かというと、2つのことが必要だと思います。1つは刺激が必要だということです。もう1つは受容、すなわち、その刺激に対して自分がどんなふうにそれを受け入れるかということが必要だと思います。
 何が一番刺激かというと、現実的なことが一番刺激じゃないかと思うのです。勉強していると、勉強の中身というのは純化されて、ピュアライズされて皆さんのところへ届く。例えば歴史というのはちゃんと教科書に書いてある。だけど、考えてみたら、あの歴史の1コマ1コマはこの和歌山のどこかで起こったことで、それが今、遺跡となってこんなふうに残っているとか、縁のあるお寺さんが残っているとかですね、そういうことがいろいろ分かると、ますます面白くなるわけです。経済の問題なんていうと特にそうです。福祉の問題を考える時もそうだし、科学技術を考える時に、この科学技術がどう生かされているかということを考えるともっと面白いし、そういう意味で、現実の問題について刺激を受けながら勉強するというのがとっても大事だと思います。
 この現実の問題の中で一番大事なのは、郷土のこと、和歌山のことではないかと私は思います。この刺激については、本県出身で外務省の本田悦朗さんとか、こちらも本県出身で元大臣の竹中平蔵さんとか、そういうテレビの向こう側に出てくるような人と語ってみようということで、県庁では「きらめき“夢”トーク」というのを今どんどんやっています。これは私の命名じゃなくて、県庁の教育委員会の人がつけた名前で、ちょっとかっこいい名前だと思っているんですが、この催しは志願制で、この分野に興味のある人はこの指とまれということで、集まってきてもらって話を聞くという試みをやっています。
 それから、学校でも、いろんなその道の達人みたいな人の話を聞いてみようというふうな試みもしている。それに加えて、この一番大事な和歌山について、勉強する機会があってもいいんじゃないかということでそれがこの長期総合計画をその機会として位置づけており、その伝道者として私が現れて喋っていると、まあそういうわけであります。
 それから、郷土について勉強することに何の意味があるかということをお話しします。皆さんが今ここに生きているのも、お父さんお母さんが和歌山で働いておられるとかも全て和歌山に関係があるわけで、やっぱり誇りを持って郷土和歌山を語れるということは、 随分楽しいことじゃないかと思うわけです。皆さん大学に行かれて、和歌山から離れられる人もいるかもしれない。その時仲間にお前の郷土はどんな所かと問われて、ぺらぺらと喋れると、とっても面白いと思うんです。実は、悔恨の念を込めて言うと、私は知事になるまで、知事になって戻ってくるまで、和歌山について知らないことがあまりにも多すぎたと思っております。例えば、国宝級が全国で6位くらいあるとか、産業はこうなっているんだとか、こんな偉い人がいたんだとか、明治維新のモデルは和歌山だとか、そういうふうなことを知っていたらもっといろんな自慢ができたのになあと思っています。海がきれいで、山もいっぱいあって、和歌山市には紀の川が流れていて、それぐらいしか言えなかった自分が大変恥ずかしいなあという気もします。
 したがって、辛いこともいいことも、和歌山についての知識を持っているということは、とってもいいことじゃないかなということが、なぜ、皆さんに長期総合計画を語るのかという理由です。

 それから、その次に、皆さんに1つだけ、ちょっと長期総合計画を離れて、お説教風のことを申し上げたいと思います。お説教風というのは、別にお説教をしたいわけではないんだけど、若いときに何が一番大事だと私が思っているかということを申し上げたいと思います。
 大事なことは、4つあります。よく聞いて、よく考えて、よく言って、よく実行する。この4つではないかと思います。まず、人の言うことを聞かないと、随分損をするところがあると思います。自分がいくら賢くても、他人から刺激が入らないと全然進歩がない。そういう意味で、例えば「きらめき“夢”トーク」の先生たちも、やっぱり県外で活躍している人に来てもらおうと思っています。その方が、和歌山県にとって付加価値が上がるといつも考えているわけです。
 その時に、聞くだけで「ああそうか」というのは面白からず。たぶん皆さんはとっても賢いから、よく考えるということが得意じゃないかと思います。その、よく考える中で、私は3つのことを言いたいと思うんです。1つは「なぜ、どうして」と考えよう。「なぜ、どうして」ということを考えると、最後は論理に行き着きます。論理というのは理屈、筋書き、筋が通っているかどうかということだと思います。そういうことで「何でやろなあ、先生はああ言うけどなあ」というようなことをいつも考えるというのは、頭の体操としてもの凄く立派なことじゃないかと思います。
 2つ目に、「なぜ、どうして」というのは自分の頭で考えないといけないということです。ステレオタイプというか、世の中でよく言われていることに合わせて考えていると楽なんです。例えば世の中で「平和は大事だ」と言われると、「平和は大事だ」と言う。そこで止まってしまうと自分の頭も疲れないし、そう言うと「お前は非平和論者」とか「戦争賛美者だ」とか言われないから楽だ。だけど、じゃあどうやったらその平和を達成できるのかをいろいろ考えていくと「平和は大事だ」と言った時に、平和を大事にするためにどういうことをしなければいけないのかというようなことを、耳が痛いような言葉も使いながら考えなきゃいけないかもしれないわけです。そうすると、いろんな人に誤解されたり、いろんなことを言われます。なかなか疲れるわけです。だけど、勇気を持たないと、きっと自分の頭もよくならないし、それから、世の中のためにもならないと私は思います。
 3つ目に、縦割思考というのはやめよう。どういうことかというと、1つのことを考える時に、その1つのことの場所だけで考えるとこれまた楽なんです。ところが、その時に「待てよ。別の方向から考えるとどういうふうなのかなあ」と考えると、これはなかなか辛くなってくる。だけど、現実というのは辛いものなんだから、こっちから考え、あっちから考え、そうなるとああなる、ああすればこうなる、こういうことをいろいろ考えてみる必要が出てきます。そういう意味で、縦割りじゃなくて、横割で考えるということが、とっても大事じゃないかと思います。
 3つ目に、言わなきゃいかん。言わなきゃ損損、ということです。私はイタリアに行った時、「日本の教育はすばらしい。しかしながら、雄弁術をもっと教えたらいいんじゃないか」と、日本人の持っている欠点として、そんなふうに言われたことがありました。要するに、自分がプレゼンできないと、自分が思っていることを表現できないわけで、やっぱりそれは思っていないことと同じ、知らないことと同じだということになってしまうわけであります。したがってどんどん言おう、堂々と恥ずかしがらずに言おう、そして、言うとまた何か反論が来ますね。その時に、腹立てないで、これまたよく聞こうということで一番元に戻るわけです。
 それから最後に、それがもし行動を伴う必要があるときは、躊躇なく実行しようということではないかと思います。言うだけ言って「俺は正しいんだ、はいさよなら」というような、そんな人ばっかりだと社会自体が回らなくなります。批判をすることは簡単なんだけれど、じゃあその批判を元にして、新しい考え方を総合的に考えて実行するのは結構難しい。だけど、諸君はその勇気を持って、将来、そういうことのできる人間になってもらいたいと思います。
 今申し上げました、聞いて、考えて、言って、実行するということの一番簡単なやり方を、1つ教えて差し上げます。先生にチャレンジすることです。態度が悪いといけませんよ。だけど、先生にチャレンジすることです。先生に「それ、なんで」、「私はこう思うんだけどどうかしら」と言って訊く。その訊くということは言うということでもありますね。それから先生に教えてもらったら、なるほどと思って勉強する。こういうふうにして先生にチャレンジしようということです。先生方、明日から生徒さんがいらっしゃると思いますが、生徒さんが今までよりももっとチャレンジされるようになると、私の話の結果がよかったということだと思います。

 次にクイズを差し上げます。答えはお手元の資料3(S50-H17の経済成長率)に書いてありますが、まだ見ないでください。お願いします。
 では第1問。昭和50年ぐらいからここ30年ぐらいの間の、和歌山県の経済成長率(都道府県別の経済成長率)は何位であったかというのが、第1のクイズです。誰かわかる人。わからないでもいいんだ。適当に言ってしまえ。手を挙げてください。誰も手を挙げないなあ。勇気がないではないか。さっき言ったよね。言ってみようって。ああOK。どうぞ。

 (生徒)ビリだと思います。

 正しい。知ってるんだね。ビリです。この30年くらいビリだったんです。でも、決して笑っちゃいかん。これはいろんな理由がありましてね、もっと言うと、救いの言葉を発すると、一番直近の平成17年、これが一番新しい県民所得を出せる時期なんですが、これはトップなんですよ。だからいつもビリばかりじゃないんですね。だけど、この30年間何があったかというと、和歌山は産業構造の変化に乗り遅れたんじゃないかなと思います。産業構造というのはどんどん変わっていくわけで。国際競争にしたがって、変容を遂げてしまうというものです。その結果、成長する分野をたくさん持っていない県というのはどんどんと置いていかれる。昨日調子よかった分野だって、今日調子いいかどうかわからない。調子のいい分野を新しく作っていかないと、和歌山としても成長できない。そういうことだったんじゃないかと思います。
 ちょっと面白い資料を出すと、資料3(産業(製造業)構造の変化)の3枚目を開けてください。ちょっとわかりにくいんだけど、昭和50年の全国の製造業の産業構造の構成ですが、輸送用機械、電気機械、一般機械と並んでいて、鉄鋼とか石油石炭、化学繊維とかあります。その右のところを見ると、平成18年というのがあって、輸送用機械とか電気機械とか一般機械とか膨れているよね。一方、繊維とか、鉄鋼とかは、ちょっと小さくなっているね。次に、右側の和歌山を見ていただけますか。昭和50年、鉄鋼31%、石油石炭32%、化学6.2%、繊維11.4%、こういう和歌山だったんですね。全国に比べると、こういう部分が大きかった。それで今どうなっているかというと、やっぱり鉄鋼、石油石炭で、繊維だけは減ったけれども、この鉄鋼と石油石炭、化学で60%という構成は、30年前も今も変わってないわけです。ところが、全国を見ると、この割合が変わっています。増えた分野が和歌山はあんまりないんですが、一般機械だけは増えています。これは例えば島精機とかノーリツ鋼機とか、そういう所が分類されるんですが、和歌山にはそういう所があんまりない。
 一方、よそはどうだったかというと、その次のページに岩手県があります。岩手県は、和歌山と比較すると所得の低い所だと思っていたわけです。ところが、左と右とを岩手県同士で比べてみると、電気機械なんて強烈に増えている。輸送用機械なんて強烈に増えている。一般機械なんて強烈に増えている。そういう新しい分野を増やした所は、成長率が大変高いわけであります。
 それで、さっきの資料3(4 製造業の状況)の1枚目の右の方の下から3つ目、上から5つ目を見ていただきますとね、岩手県、9位。山形県、2位。熊本県、5位。和歌山県はね、鉱工業生産で言うと44位なんです。ビリはどこかというと、きっとこれは皆さんも答えられなかったと思うんですが東京都なんです。東京都はあんなに頑張っているのにと思うでしょう。ところが、東京都は昔も頑張ってたんですね。昔も頑張っていて、それで、政策的に東京ばかりに集中してはいけない、大阪ばかりに集中してはいけないということで、分散させたんです。東京や大阪に集中しないようにマイナスの条件を課して分散させたんです。その結果、東京と大阪がビリの2つで、その次が沖縄です。沖縄はちょっと成長余力が低いんですが、その次が和歌山ということで、やっぱり和歌山がいかに新しい分野に乗り遅れたかということが言えていると思うんです。
 そこで、私が一般的な問題として申し上げたいことは、世の中の状況を正しく認識するということは大事だと思うんです。その時に、構成で見るというのが大事ではないかと思います。構成というのは、何%の割合でなっているかということですが、構成割合の大きいところというのは、ちょっと変わると大きく変わるんです。したがって、構成で見ていくという物の見方は大事なんじゃないかということです。
 その次に、位置観で見る。さきほど「ビリ」ってピシッと正解してくれましたよね。そういうふうに位置観で見る。よそと比べながら見ていくというのは、冷静なものの見方として大変大事なんじゃないかなと思います。
 それから、最後に、世の中のトレンドみたいなものをその中から割り出していくということが大事じゃないかと思います。

 そこで、そういう和歌山を元気にするためにはどうしたらいいかということを考える時の方法論として、私たちはこの長期総合計画で3つの方法を考えたわけです。
 1つは、世の中のトレンドがどうなっているかということを考えてみようということです。世の中、日本全体あるいは世界全体がどう動いているかを考えよう。これは、資料1の3ページの下の方に時代潮流って書いてありますが、こういう所にいろいろ書いてあることを踏まえることです。
 2つ目は、和歌山県が持っている問題を的確に捉えないといけないということです。問題はたくさんあって、細かく分けて6つの目標、6つの政策ジャンルがあり、それぞれの章に1個1個、こういう問題があるんだということを書いてあります。
 3つ目は、これらの問題を解決しなくてはいけない。その時にこの長期総合計画を利用できるのが、我々の強みですね。そうすると、和歌山の優れた特性ということで、資料の3ページの右下に書いてありますが、我々はこういう強みを持っているんだから、これを生かして頑張っていくぞということを、我々は考えていかなくてはいけないということです。
 そうすると、状況を正しく認識しながら、世のトレンドを踏まえて、我々の強みを認識しながら、我々はどういう和歌山を作りたいか。そこで、6つのジャンル毎にどういう和歌山にしようかということを具体的に考えたというのが、この長期総合計画なのであります。
 そこで、6つのジャンル。これは資料1の4ページの右の所に、時計みたいに書いてありますね。第1の『未来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山』。これは教育の問題です。人づくり、これは一番大事だということで一番初めに書いてあります。
 2番目は『生涯現役で誰もが活躍できる和歌山』。病気にならないように、年をとっても元気がなくなることがないように、福祉とか環境とか、そういう問題をここに書いてあります。3番目は産業です。我々の飯の種、仕事の種をどうやって確立するかというのが3番目。4番目は『癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山』ということで、観光とか地域づくりとかについて書いてあります。
 それから『県民の命と暮らしを守る安全安心和歌山』ということで、治安とか、あるいは防災とかについて書いてあります。
 最後に、それらを支えるものとして、インフラストラクチャー、すなわち、皆さんの身近なもので言えば、道路とか、鉄道とか、通信網とか、あるいは上下水道とか、そういう問題を扱っているわけです。
 それぞれについて、問題は何で、我々は強みがこうあるんだからこういうふうにしていこうと、できるだけ短く具体的に書くということが今回の長期総合計画策定時のルールでした。私は中身を知っているから、要約もわかるんだけど、この要約だけ見ても「なんのことかわからない」ということがあると思うので、皆さんに分担をしてもらって、本文を読んでもらいました。ここからはその本文を読んでもらったということを前提にして、質問をしながら話を進めたいと思います。

 まず第1の分野、教育の分野あるいは人づくりの分野です。この分野(資料1 5ぺージ6ページ)についてそれぞれどんなことが書いてあるかというと、ちょっと開いてもらいますと、その分野を読んでない人もいるかもしれないので言いますと、1つは教育の問題です。教育の問題は、例えば『確かな学力の向上と健やかな体づくり』、これはまあ基本的なことです。それから、市民性、道徳性を高めよう。郷土への愛、郷土の知識をもっと高めよう。国際的な力とかITとかそういうことについても頑張ろう、それを地域ぐるみでやっていこうということを書いています。
 それから、明るく元気な社会づくりということで、皆さん学校を出られても、生涯学習をずっと続けてやろう。それから、元々、和歌山は文化のレベルが非常に高いところだったわけで、今でもレベルは高いと思うんですが、それを是非もっともっと高めよう。国体を目指してスポーツの振興もしよう。男女共同参画社会を実現しよう。あるいは、若者を応援しよう。そういうふうなことが、この第1の所に書いてあるわけです。

 さて、質問です。この第1章をお読みになられた方、皆さん教育を受ける立場に今あるわけですが、その教育の目標について、どういうふうに思ったか、今勉強する立場からすると何を思うか、これが第1の質問です。
 どうぞ、手を挙げてください。

 (生徒)いい目標だと思いました。

 ありがとうございました。まあ、勉強するのも非常に大事なんです。学力を高めるというのも大事だと思います。だけど、そのためにはやる気を出させねばいかん。そのためには、さっき言ったみたいに、郷土についての意識とか、あるいは刺激とか、そういうのを続々と投入することによって「よっしゃ、皆頑張るぞ」と皆さんに思ってもらわなくてはいけないわけです。
 それからやっぱり心の問題って大事です。今、世の中ではとんでもない事件が起こっています。例えば「友を裏切って何がうれしいか」。皆さん、そんなふうに思いませんか。そんなことについて、しらけているようじゃ、やっぱりいい人生を送れないんじゃないかというふうに思いませんか。高校3年生ぐらいになると、そういうふうなことについての思いがもの凄く強くなると思うんですが。心の問題についてどう思いますか。市民性教育などについて書いてあるけれども。

 (生徒)大切だと思います。

 ありがとうございました。例えばテレビを見て感動することとかありますね。だけど、それを自分のものとしているかどうかが一番大事だと思うんです。自分のことにしたとたんに、いろんなことがみんな重くなると思います。テレビを見て「ヤンクミ先生頑張っているなあ」で終わりになると楽だけれども、あの局面に置かれた時に、自分がどういうふうにきちんと行動できるかということまで、やっぱり若いうちからきちんと訓練していかなければいけないんじゃないか、友を裏切っちゃいかんとか、正義を忘れちゃいかんとかいうのは、やっぱり大事なことじゃないかなあというふうに、我が長期総合計画は提案をしております。

 それから、2番目に行きます。資料1の7ページ8ページを開けてください。『生涯現役で誰もが活躍できる和歌山』、大きく分けると3つあります。「少子・高齢化への対策」、「福祉の充実」、「健康わかやまの実現」という3つです。
 「少子・高齢化への対策」の1つは少子化対策で、もっと和歌山に子どもたちがたくさんいる状態にしたいなあということです。人口増減には、社会増減と自然増減というのがあります。社会増減というのは、皆さんのお父さんやお母さん、あるいは皆さん自身が、他府県に働きに和歌山を出て行くことなどによって生じる増減です。自然増というのは、ここにいらっしゃる人がどれだけ和歌山で赤ちゃんをお産みになってお育てになるかということによる増減です。少子化対策のためにはその両方、社会増、自然増というのを達成しないといけません。社会増のためには、働く所を和歌山の中にもっと作らないといけません。それから、自然増のためには赤ちゃんが育てられる環境を整えて差し上げないといけない。そのためには、保育環境とか、産婦人科にかかる時の助成とか、赤ちゃんを預けられるかどうかとか、そういうことも配慮していかなくてはいけない。そういう問題を、少子化対策の所ではいろいろ書いてあります。
 高齢化対策の所では、病気でも長く生きるというのはもちろん大事だけれども、元気で長く生きる、そのためには、お年よりも生きがいを持って生きられるような社会でないといけない。そのためにはどうしたらいいかということをいろいろ書いてあります。
 それから、「福祉の充実」では、障害者の方に冷たい社会であってはいけないとか、その他、障害者福祉だけではなくて、さまざまな福祉について書いてあります。
 それから「健康わかやまの実現」では、医療を崩壊させてはいけないということ、それから健康づくりの面では、メタボになって、よれよれになってはいけないということを書いてあります。

 そこで、質問です。第2章をお読みになった方。手を挙げてください。

 (生徒)僕は、医療に興味があるので、ドクターヘリのことで興味を持ちました。
 病院が一部に集まっていたり、少ない所ができたりしているので、こういうドクターヘリというのは大事だと思います。

 ありがとうございました。今、お答えになった方はもの凄く立派な方だと思うんですね。ドクターヘリは大事だ。自分は医療に興味がある。両方とも大事ですね。なぜ立派かというと、理由を言ったからです。どういう理由を言ったかというと、病院が偏在しているという理由を言いました。病院があんまりない地域が和歌山にはたくさんあるんじゃないかということを、彼は言っていると思うんです。日赤とか、和医大とかあるとすると、そこには立派な設備とお医者さんがいっぱいいる。山の中ではなかなか同じような医療のレベルを達成できない。しかし、病人はどこの病院でも救わなければいけない。それならば、手っ取り早くピューと連れてくるという方法を考えとかなくてはいけないというので、ドクターヘリは大事だと彼は考えたと思うのです。そういうふうに状況を見る。つまり、病院の偏在があるなあ、それから自分の興味のあることだ。お医者さんが必要だ。ドクターヘリはいいことだ。そういうふうに考える。これは、非常にいい考え方をしたケーススタディーだと私は思います。

 次は、商工業。産業の所にいきます。産業の所は、資料1の9ページ10ページ。『国際競争力のあるたくましい産業を育む和歌山』ということです。皆さん、お家が商売しておられる所もあるかもしれない。大企業にお父さんやお母さんが行っておられる所があるかもしれません。大企業に行ってたら、確かにうちの会社の一部は国際的にも展開しているし輸出もしているから「国際競争力のある」という部分が、「まあそうかなあ」、「わかるわかる」とおっしゃるかもしれません。だけど一方で「うち関係ないんちゃうか」、「中小企業で相手は国内の企業や」という人もいるかもしれません。
 だけどそれは、その地域を局限的にしか見てないと私は思います。皆さんのお父さんの会社が中小企業で、どこかの企業の下請けで、その企業がどこかの国へ輸出しているとします。ところが輸出しているということは、その取引先の企業が、ちゃんと国際的に通用しているから初めてできているんですね。それからお父さんの会社が、よその国の製品よりも良質で安価なものを、相対的に、あるいは便利に、あるいは品質をきちんと確保しながら供給しているから、商売というのは成り立っているんです。究極的にはこの地球は1つなんです。1つの中で、どうやって自分の位置観をきちんと確立するかです。それは自分ひとりでは、自分の会社だけではだめかもしれないけれども、全部つながって、それで位置観がきれいに確立されていれば、それはお父さんの会社は安心で、そうでなければ多少危ない。そしたら、どうやってその位置観を確立していくかということを考えていかないと、次の時代の波になかなか立ち向かえない。そんなふうに思います。
 和歌山で国際競争力のある、そういうゾーンを4つぐらい作って、それぞれ特色のある産業を育てて行こうじゃないかと考えております。それから、産業といっても、商工業だけではありません。農業の振興、和歌山は果樹王国。果樹生産高は総額で日本2位です。僅差で青森に負けますけれども、青森がりんごだけであるのに対して、我々はみかん1位、柿1位、それから梅1位、桃4位、そんなふうにいろいろ連合を組んで立ち向かっています。連合軍というのはいいことなんです。モノカルチャー、つまり1つだけしかなかったら、それがバキッと壊れたら全体がこけます。だけど、我々はたくさんの品物がある。地域によってお互いに支え合いながらやっていくこともできます。だけど、油断してると駄目で、皆がそれぞれ油断しないようにやらなければなりません。その油断しないというのは、今日の皆さんみたいにぱっと手を挙げる積極性がちょっと欠けてるようだと、駄目だと私は思うんです。県内にせっかくいい物を持ってても、それをアピールできなきゃいけない。県外にどんどん攻めて行って、たくさんの物を、より高く売る。そういうことができて初めて、農産物の収入なども得られるわけです。それで、皆さんのような方が、跡継ぎができるような環境ができているわけですから、引っ込み思案じゃいけない。おいしいものは勝手に売れるはずだという考えは甘いということではないかと思います。

 それから、林業の振興、水産業の振興も、森の国、海に囲まれたこの和歌山、せっかくの資源だから大いに活かして、これから頑張っていこうじゃないか。若干、元気がないんですが、これからいろんな戦略を立てて頑張るぞということを書いてあります。
 さて、その第3章(資料1 9ページ10ページ)をお読みになった方、勇気をもって手を挙げてください。その中で、興味を持ったことを1つ、その興味を持った理由とともに言ってください。

 (生徒)『安全、安心で高品質な農産物の安定供給』が大事だと思いました。理由は、みん
 なが安心して商品を食べられるようにしたいからです。

 ありがとうございました。非常に立派な意見だったと思います。私も賛成です。では、今のようなことを行政的にやるにはどうしたらいいか。そういうことを考えるのが、プロとしての和歌山県知事以下の行政の仕事です。例えば、今、テレビなんかで中国産の餃子がむちゃくちゃだとか、とんでもない贋物がいっぱい出てるとか言われていますが、それは、そういう世界になってはいかんと、皆さんが正義感で思っているからだと私は信じます。
 それならば、行政としてはどうしたらいいかというと、まず第1にそんなことはしないようにしよう。我々供給側としてはそんなことはしないようにしよう。それから2番目に消費者を守るために、そういうことがないように徹底的に検査をしていこう。3番目に、和歌山はせっかく果樹などを作っているんだから、和歌山のものだけは絶対に安心だということを、自分でもきちんと自信のある所まで突き詰めて、それでそれを証明して、全国にアピールしようということです。そしたらどうなるかというと、和歌山のものは安全だというふうに、よその県の人も含めて思ってくれるかもしれない。そうすると、和歌山のものだけは安全だから、安全料を足してでも買ってくれるようになるかもしれない。そういうことを狙って、安全をアピールしながら、我々の行政を展開して行こうというのが、1つの方向だと思うんですね。ありがとうございました。

 それから、ここでもう1つ。今、農業の話を言われました。農業以外に商工業の振興のところで、面白いなあと思うようなことがあったら言ってください。

 (生徒)産業です。機械のことに興味があるからです。面白いからです。

 ありがとうございました。非常に素朴な気持ちのような気がしました。皆さんにっこり笑っているかもしれませんが、その面白いからというのが一番大事ですよね。面白いからということで、興味が湧いてくる。どこが大事ですか、どこが面白かったですかと問われたら、面白いところを言えばいい、自分の好きなところを言えばいいというのが正しいと思います。その次に、じゃあ、行政のプロとして付け加えれば、先ほど言いましたように、機械の分野っていうのはまさに日本の心臓部になっているわけで、この心臓部のところが和歌山には少ないということです。そうすれば、この心臓部のところをどうやって増やしていくかということを、行政としては考えていかないといけないということです。もちろん和歌山にも、例えば島精機とか、ノーリツ鋼機とか、あるいは中小企業のいろんな企業とか、もの凄く立派な企業がたくさんあります。だけど、他県に比べ、まだその数が少ない。それで、面白いところをどんどん伸ばしていこうと考えて、戦略を立ててやっていきます。その戦略の一端がこの本文の中に書いてありますので、興味があって面白いと思ったら、本文を読んで、さらにもっと考えを深めてしまうということもまた大事じゃないかなと思います。

 次は『癒しと感動を与える誇れる郷土和歌山』(資料1 11ページ12ページ)。これは、観光と、地域づくりと、環境保全、こういうことが書いてあります。これについて、一番興味を持ったという所はどこでしょう。

 (生徒)和歌山はやっぱり、高野山とか、熊野古道とか、白浜とか観光資源がいっぱいあ
 るので、さっき言っていた農業、みかんとかのことを全国に発信して、いっぱい観光客を呼び寄せたらいいと思います。

 まったくそのとおりです。「そういうことをやるぞ」と書いてありまして、諸君がそういうふうにやったらいいんだと言って頑張れと言ってくれたら、県庁の諸君が頑張って、私も一生懸命知恵を出して頑張るんです。そのために、農水産物のアクションプログラム、販売促進のアクションプログラムを作っています。いつどこでこういうプロモーションを打つか、いつどこでこんな宣伝をするか、いつどこで何をするか、そのためにこんな仕掛けを作る、というのがこと細かく具体的に書いてある。それを一つひとつ実行していって、それで和歌山県の評価を高める。それによって同じおいしいものでも、高く売るということが大事じゃないかと思います。
 観光も全く同じで、和歌山県の観光振興アクションプログラムというのを作っていて、毎年毎年、目標を決めて、それを少しずつやっていくわけです。皆さん、パンダが6頭和歌山にいるというのを知っている人?(生徒が数人手を挙げる)それだけしかいないのですか?これは大変だ。皆さん、8月の末になると松竹系の映画館で「パンダフルライフ」というのが上映されますから、是非観てください。和歌山の白浜にいたパンダが中国へ帰ってどうなったか、そんなドキュメンタリーなんです。白浜の宣伝になると思って、私は松竹の社長さんに頼みこんで、和歌山県も是非宣伝に貢献したいというようなことを言うと、それならば、よし、黒柳徹子さんと対談させてやろうというので、実は昨日、その収録をしてきました。黒柳さんはパンダが大好きですから。8月の末ぐらいに、たぶん東京の新聞に出ます。私は何を考えているかというと「パンダフルライフ」という映画を流行らせ、それによって、和歌山県にパンダがいるということをみんなに認識させるようにする。それを有名人にPRしていただくと、マスコミも追っかけてくるから、これは宣伝になる。日本国内にパンダが6頭もいる所はないですからね。それから芝生の上でコロコロとパンダが歩いている所なんてないです。子パンダがどんどん産まれている所なんかないです。したがって、パンダを見に来るなら和歌山。みんな見においで。そしたら、あなたがおっしゃったようにね、観光振興の目的も少しは達成できるのではないかと思います。

 後ろで手を挙げた人いらっしゃいましたね。どうぞ。

 (生徒)自然環境の保全について書いているんですけれども、南の方の珊瑚では、ヒト
 デ問題などで自然環境がどんどんつぶれていっていると思います。それの保全に対してかけるお金は和歌山県にあるのでしょうか。

 わかりました。お座りください。非常に立派な質問で、さすがに高学年の方という感じがしました。今の問題は三つの問題が含まれていますね。一つは和歌山県には珊瑚という自然資源がある。これは、たぶん沖縄を除いて、日本では一番立派な所だと思います。ラムサール条約という、湿地、水の環境を大事にするような、そういう条約があるんですけれども、それの指定地になってます。串本の海というのは、そういう意味では世界的にも立派な有名な所なんです。その時に、海を守るというのは、2つのやり方があります。1つは、海の環境を守る、あるいは、海の景観を守る。海を毀損しないということです。例えば、テトラポッドを放り込んで、珊瑚の海を駄目にしてはいけない、海水を汚染させてはいけない、こういう問題に対しては県の方で100%手を打つことができます。それで、そのようにやって行きたい。そのために、例えば、景観条例というのを作って、無制限に開発をできないようにして、地域地域の持っている雰囲気を守ってやっていこうというようなことを考えています。
 もう1つは地球環境の問題です。これは県だけではできません。県だけでやろうとするのは間違いかもしれない。例えば、皆さん、これから地球環境が大変だ、CO2の排出を止めようとします。CO2というのは6割が産業から、2割が自動車から、2割が家庭から出てきます。これを止めるためにはどうしたらいいかというと、6割のところ(産業)をやっつけたらいいと、すぐ思います。だけど6割のところ(産業)は世界中でどうなっているかというと、実は日本の生産効率は世界一です。CO2の問題を解決しようと思ったら、極端なことを言えば全部日本で作ればいい。鉄を全部住金和歌山で作れば、鉄に関してCO2はほとんど半分になります。そうすると世界中でものすごい勢いでCO2量が下がる。そういう計算です。だけど一方で、途上国は、生産効率は悪いかもしれないけれど、鉄を作ってこれから経済発展をしたいと思っているかもしれないわけです。この地球環境問題というのは、こういう難しい問題を抱えています。しかも、これは世界中で解決するしかなくて、日本だけ、和歌山だけで、「あなた、ちょっと操業止めなさい」と言ったらどうなるかというと、CO2は世界中で増えます。そういう問題があるんだなあということを、将来、あなたは是非勉強してもらいたい。技術で解決できるところもたくさんあると思うので、そういう問題を技術で解決しようと思う。あるいは、政治で国際的に説得して解決しようと思う。いろんな問題を考えていく、非常に重要なヒントになったと思います。
 もう一つは、さっき言った、2割の自動車、2割の家庭、これだって軽視してはいけません。全体で4割もあるんだから、少しでも我々はCO2の排出を止めるために、省エネをやっていきましょう。これは、我々だってできるんだから、大いにやっていきましょう。県庁は今、クールビズをやっています。私の部屋は、ほとんどの時間はクーラーを止めています。このあいだ歌手の坂本冬美さんがお見えになりました。和服を着て、汗をいっぱいかいておられる。こりゃいかんというので、クーラーを入れさせてもらいました。しかし私は、ちょっと暑いなあと思う環境で、地球環境に貢献をしていこうと思っています。ありがとうございました。

 それでは、その次の防災治安(資料1 13ページ14ページ)、それから公共インフラ(15ページ16ページ)、全部まとめでですね、次のページ、その次のページに書いてありますけれども、これについて、皆さん、思うところがあったら言ってください。

 (生徒)防犯対策について、きしゅう君の家とか、きしゅう君の車とかやっていると思うんですけれども、なんか普及率がちょっと少ないというか、あんまり無いような気がするんです。少なかったら、一本道をそれたら逃げ込めないとか、そういうことになりかねないんで、もうちょっと、きしゅう君の家とか、車とかを増やしてもらえないかなと思いました。

 大変いいことを言われました。今、言われたことについて、まず、きしゅう君の家というのを彼が知っているということは大変ありがたいことだと思います。こんな立派な試みをやっているのは、全国広しといえども和歌山ぐらいじゃないかな。和歌山というのは犯罪の多い所でした。特に、諸君のような若い人たちが狙われていた。それで、数年前に保護者の人とか、先生方とか、市民の人とかがみんなで守ろうと立ち上がった。警察も頑張るけれども、みんなで守ろう。そしてきしゅう君の家を作って、いつでも駆け込んで来いといって、送り迎えにも配慮した。そしたら、犯罪率が急激に減りました。だけど、制度というのは、一旦作ったら何とかなるという問題ではない。永久磁石みたいなもんではない。今おっしゃった方の意見というのは大変貴重で、それがちょっと廃れているんじゃないかということですが、それならば、どうしたらいいか。もう一度活性化するか、別のものを考えるか、そういうことを考えるのが行政の仕事であり、それらをまた、行政の外側から提言していくのが、諸君の仕事ではないか、そんなふうに思います。どうやったらもう一回活性化するか、具体的な方法があったら、意見があったら、どんどん寄せてください。それによって社会に参加できていく。そういうことではないかと思います。

 他にありますか。どうぞ。

 (生徒)地震対策とか、災害対策のことなんですけれども、ちょうど私が田辺に住んでいて、それで南海地震が30年以内にどれだけの確率で起こるとか、そういうことを前にニュースとかで聞いたことがあります。私も、住んでいる地域が海抜の低い地域で、あと海も近いので、津波対策とか、堤防を作ったりとかそういう対策があると思います。土砂災害の対策にしても、自分たちの生活を守るために、いろいろコンクリートで固めるとかする手立てはあるんですけれども、景観を守るだとか、自然を守るという観点からしたら、それはちょっとどうかと思うこともあって、自分たちの生活をとるか、それとも自然の保護をとるか、うまくバランスをとるのが難しいと思いました。

 ありがとうございました。今ねえ、もの凄くいい感動的なことを言ってくれましたね。おじさんの言葉で整理をすると「政策間のトレードオフ」と言うんですね。トレードオフというのは二者択一ですね。こっちを立てればこっちが引っ込む。例えば、防災で、完璧を期そうと思ってコンクリートで固めようと思ったら、景観の雰囲気が悪くなる。景観を守ろうと思ったら、津波がどーんと来てみんな死んでしまう。どうしよう。こういう感じですね。こういう問題は、今の話だけじゃなくて、この本の中に書いてあることすべてに当てはまると思います。防災、災害を防ごう。言うのは簡単です。でも、実行するのは難しい。それから、景観を守れと言うのは簡単です。だけど、景観と防災を両方守れと言うと、とっても難しい。その時に、2つのことが考えられる。どちらかを選択しなきゃいけない。苦渋の選択になるというのが1つ。もう1つは、実は、最後は選択かもしれないけれども、両方を立てるということは、100%はできないけれど、技術的にはある程度できます。例えば、景観を守りながら景観上問題の無いような形で防災対策をしていくとかね。それは技術の進歩もあるし、手段をうまく選択することによって、あるいは程度をほどほどにすることによって、両方の目的を達成することもできないわけではありません。そのために、我々は勉強しなきゃいけない。行政も勉強しなきゃいけないし、それの予備軍である皆さんもです。どのぐらいやったら丁度いい調子になるかなあ。最後は選択かもしれないけれども、選択のぎりぎりまでは両立します。両立することを考えながら、どんどん詰めていく。そういうことを、皆さん訓練されると、世の中でもの凄く立派な人になると思います。ありがとうございました。

 それでは最後に、締めくくりであります。この長期総合計画を作りました。皆さん、もう一度中身をじっくり読んでください。皆さんにはこのピンク色の、本文がカラー刷りされる前の資料を配ってあります。その後、本文がかっこいい紙(資料2)でできました。中にはマンガなんかも描いてあって、なんとなくかっこいい。だけど、印刷費が高い。みんなには簡単にあげられない。本当に欲しい人は県庁に来て、もらうなり、借りるなり、図書館にはいっぱいあると思うから、そういうふうにして、こっちを利用していただいてもいいと思います。
 そういうことをすることによって、まさに今お話があったように、いろいろ考える。その考えることによって、たぶん私は勉強の刺激も出てくるんじゃないかと思います。我々もまた考えなければいけない。どう考えるかというと、これを実行しなくてはいけない。実はこれを作る時に、本当に実行できるかどうかきちんとテストしました。それがお手元にある、行革(行財政改革)の紙です。和歌山県が破産してしまったら、いくらきれいなことが書いてあっても、そんなことはできない。破産しないようにテストをしながら、どのぐらいのことが可能かなということを県庁が必死になって考えて、これを作りました。したがって、これはやろうと思ったら実施できます。それを頑張って皆さんと一緒に実施をして、それによって要約のページの最後の17、18に書いてあるように、ほっとくと人口が10万人も減っていくところを、5万人減少ぐらいにとどめようじゃないかとか、あるいは全国よりずっと高い成長をここ10年続けようじゃないかとか、そのためにはこの長期総合計画に書いてあることを守っていかなきゃいけない。苦労しながら、行革の苦しさも味わいながらみんなでやっていこうよというのが、今県庁が考えていることです。
 もう1つは、毎年毎年県庁は今年の政策、それから来年の政策を新政策と称して考えています。来年何を実行するか、毎年毎年考えるんです。さっきアクションプログラムの話をしました。そういうことを、毎年毎年考えていく時に、その元になる発想の原点になるのが、この和歌山県の長期総合計画なわけです。長期総合計画に何て書いてあったのだろうというのを、議論の時にいつもみんなで確認しあいながら、その目標のために、毎年、具体的な政策を考えていくというのが今の県庁のやり方であります。

 皆さん、これから先は長い。今日言われたことをどこかで覚えていて、私のようにお友達のお父さんやったなあということだけではなくて、まあ、3年か5年ぐらいはですね、1つぐらい覚えておいていただくと、私としては知事冥利に尽きるわけです。

 以上で、私の講演を終わらせていただきます。皆さん、ご静聴ありがとうございました。

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