現在表示しているページ
ホーム > ようこそ知事室へ > 寄稿・提言・訓辞・挨拶集 > 第18回南方熊楠賞授賞式

メニューをとばす

寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

第18回南方熊楠賞授賞式

平成20年5月10日 紀南文化会館/田辺市

 皆さんこんにちは。それから伊藤先生(伊藤幹治さん/国立民族学博物館名誉教授)おめでとうございます。また、主催されました関係者の皆様、本当にありがとうございます。
 私は幼少のみぎりから昆虫少年でありまして、今も昆虫中年でありますが、文化人類学や歴史学といったものも大好きであります。行政の勉強よりもこちらの勉強の方が好きなくらいです。ただ、仕事もありますので先生のようには熱心に勉強できませんが、勉強されている方については心から尊敬申し上げています。
 郷土が生んだ、田辺がお育てになった南方熊楠さんの業績は、田辺、和歌山そして日本の誇りであると思っています。私は生の文献には触れてはいませんが、主として神坂次郎先生(作家、小説家)の本を読むなどして、いつも感心しているわけであります。
 感心しているところが4つあります。1つは南方熊楠さんは、若い頃、よその家で漢籍を読ませてもらい、何十ページか読んで、それから家に帰ってから小さな字で写本をしたという。これはものすごいなぁと。私なんかは部下の名前もすぐに忘れてしまうような大変なことになっているんですが、熊楠さんはその後もその天才ぶりをロンドン時代もアメリカ時代も、それから日本へ帰ってきてからも顕現されていると思っております。
 2番目には田辺市において、熊楠さんと多くの市民が立派な関係を持っていることです。熊楠さんの偉さをちゃんと理解して、あの人は大先生だからと庇護した方がたくさんいる。それは田辺の誇りであると思うことであります。
 3番目は、柳田国男(民俗学者)との親交を結ばれたこと、田辺であれこれ言っているだけではなかなか届かなかった、神社合祀令への反対という立派な運動が、柳田国男さんの業績を通じて身を結ぶことになった。その結果、田辺市においても、残っていて良かったなぁというものがあります。そういうことで、現在から考えてもその親交は我々にとっても大変ありがたいことだと思います。お二人とも巨人でありますから、互いにその偉さを認め合って肝胆相照らす(※)仲になった、お互いに高め合われたのではないかと思います。
 4番目には、南方熊楠さんは、天衣無縫な飲みっぷりなど、いろんな逸話がいっぱいあるんですね。それに、あれほどの存在でありながら日本学士院会長なんかになったりしない。それがまた和歌山のいいところだというふうに思っているところであります。そのDNAをひく我らといたしましては、それもまた良しかなと。認めてくれる人は認めてくれる。昭和天皇の心をいつまでも動かし続けましたし、柳田国男にもそうですし、また大英博物館の中心人物になったわけです。見る人は見ているわけですね。立派なことだと思います。
 本日は晴の授賞式にお呼びいただき、この上なく喜んでいます。そしてその場所が田辺であり、ご受賞された方が日本を代表する伊藤幹治先生であること、その伊藤先生を選ばれたのが日本を代表する佐々木高明先生(民族学者)であるということ。南方熊楠さんの故事といってはなんですが、由来に最も忠実に基づくものだと思っております。田辺市のような地方の都市が、郷土の偉人にならって表彰制度を作ったりするというようなことは往々にしてあることですが、南方熊楠さんがそうであったように、今日選ばれた方、お選びになった方が日本を代表する立派な人である、この田辺から日本で今一番素晴らしい人を選んでいる、そういう喜びをこの席から感じているところです。また、市長をはじめとする田辺市民の方々の心意気に感銘を新たにしているところでございます。
 このようなことを申し上げまして、私の来賓のご挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。

※ 互いに心の底まで打ち明けて親しくつきあうこと。

このページのトップに戻る