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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

平成20年度の新政策について

平成20年4月24日 アバローム紀の国/和歌山市

はじめに

 皆さん、こんばんは。おなじみの方もたくさんいらっしゃる中で、1時間しゃべると思うと、これは大変だと思っているのですけれども、頑張ってしゃべらせていただきます。今、お話がありましたけれども、もうちょっと短く自分ではしたいと思っております。質問がありましたら時間内にお答えすることにして、なければ早く懇親会に行く方がいいんじゃないかなというふうに思っております。
 今日は、「新政策」の話を、と言われましたので、新政策の話をさせていただきます。ただし、「新行財政改革推進プラン」の話もちょっとしようと思っておりまして、お手元に資料を配らせていただいております。順番としては、まず、新行財政改革推進プランの話をさせてもらって、それから新政策ということにしたいと思います。中身に入る前に、若干今、世の中がどういうことになっているかということを簡単に申し上げたいと思います。

第1部 行財政改革

汚職事件の総括

 一言でいうと、私が知事にならせていただきましてから、いろいろな制度のやり替えとか、それから枠組みを変えるとか、そういうことを1つ1つやらせていただきました。その結果、だいたい、3月の末をもっていろんなものの形が整ってきたというような状態でございます。その1つが新政策であり、「新長期総合計画」であり、新行財政改革推進プランであり、それから前知事の汚職事件の総括でありというようなことであったかなというふうに思います。
 まず、最後のところから申し上げますと、私が知事にならせていただいたときに、すぐにやらなきゃいけないこと、これは選挙公約でありましたけれども、談合といいますか、あんな不祥事が二度と起こらないようにしますと。それは、自分はそのつもりですけれども、それだけじゃなくて、制度的にもそんなふうにしますと申し上げました。それで、公共調達の新しい制度を作り、倫理規則を作ったり、再就職のルールを作ったり、それから監察査察監という制度を作ったり、そんなことを、制度でいろいろな議論をきちっと固めました。
 そうすると、自分が公私混同をしないということも含めて考えますと、同じような事件は起こらないということに論理的になるんですけれども、それだけだと、満足しない人がいっぱいいるわけで、あの事件の総括はどうしたんだとか、お前は県庁の職員をかばって過去のことは頬被りしようとしているんじゃないかとか、そんなことをいっぱい言われるわけです。いや、そんなことはありませんと。ただ、今は、新しい再発防止の制度を先に作ったり、あるいは別のことにちゃんと全力を傾倒しなきゃいけないときだから。それに、検事のまねごとを一所懸命やっても、検事さんが捜査権限を持ってやっていること以上のことができるわけありませんと。したがって、いろんな検察の取り調べ結果など、裁判記録から出てくるので、そういうことも見て、それからヒアリングもして、ちゃんとけじめはつけることにしますが、そんなに慌ててもとか何とか言うと、隠しているとか、そういうふうになるのですね。
 私は立派な行政官かどうかわかりませんが、ちゃんとしたリーダーというのは、文句を言うんじゃなくて、文句の解決策を示すということじゃないかと思います。ここには、社長さんがたくさんいらっしゃいますが、それから町長さんとか市長さんもたくさんいらっしゃいますが、そういう方々、みんな、そういう解決策を示すということに一所懸命やっておられるはずであります。そうでなきゃ会社はつぶれてるし、市町村もむちゃくちゃになっているはずであります。そういう意味で、解決策がきちんと示されればいいじゃないかと思うんですけども、文句のところも何とかしないといけないということで、裁判記録も公開されたので、総括をやりました。
 3月にそれを公表しました。公表したことを申し上げますと、簡単に3つであります。県庁は、木村前知事時代以前から官製談合をしておりました。それから2番目は、県庁は昔から公私混同で知事を大事にしておりました。それから3番目は、県庁は地方紙を中心とするようなマスコミにお金を配って、時には黙らせようとしたりしておりました。これが結論であります。
 ところが、自分でも、これは事実ですからそう申し上げたのですが、その結果、それにいやいや従った人とか、それから進んで少し従った人とか、県庁の中の何が問題であったかとか、いろいろ分析をして、結論的に行った処分というのがあるんです。これは、能動的に行った人は、職務専念義務違反だから、ちょっと重く処分をしますということで減給にしました。それから、そうでない人、黙って従わざるを得なかったような人については、これは戒告とか訓告としました。
 ところが新聞には、その処分のところばっかり出るわけですね。それで、世の中、あれはどうだったんだっていうから、こうだったんだって言ったんですが、それは無視されてしまって、そういうものかなと思っていました。
 ただ、一言だけ申し上げておきますと、処分をされた元秘書課長がいます。複数いるのですが、そのうちの1人は、どちらかというと職務上従わざるを得なかったタイプだと思っています。その人は、「自分は責任者だから処罰されてもしょうがないし、それに値すると思う。だけど、自分の命令を受けて、部下はいいなりになってやったんだから。その部下の責任は問わないでおいてくれ」と監察査察監に言ったんですね。大したことやっていませんよ。木村前知事の政治資金的なお金の管理をしていただけなのです。そういうこともちゃんと分かってるわけです。そういうような人たちがやっていた。そういう悲劇だったっていうことも、ちゃんと、皆さん、ぜひ分かっていただきたいと、私は思っております。

和歌山県の財政状況

 それで、今度は、行財政改革をしなければいけないと、こういうのが次の課題としてあるわけです。これは、私が県知事にならせていただいてすぐ、ちょうど去年の1月から稼動です。1月っていうのは、ご存じのように、予算の知事査定のある時期です。そのときに、前知事のもとに、最後は機能不全でしたけども、ちゃんと予算の詰めなんかをしてくれているわけですね。形ができているそれを、じゃあどうしますかということになりました。
 今はらはらしながら見ているのは、まさに橋下大阪府知事です。ちょうど、橋下さんの1年前に、私は同じような目にあったわけです。それで、そのときに、どうしようかなと思いました。県のそのときの予算というのはどうなっていたかというと、実は単年度で150億円ぐらい赤字が出るということでした。行政の方が多いので言わずもがななんですが、県庁の予算、地方公共団体の予算というのはキャッシュフローだけです。したがって、バランスシート的なセンスはいらない。それから、借金もキャッシュフローですから現金収入として考えていいわけですね。そのかわり、赤字になったときに、つなぎの赤字県債を出してファイナンスするっていうことは一切できません。それは繰延をして、1年足らずくらいでもう行き詰まりますから、夕張みたいになるということであります。そういう観点からどうなるかというと、県の予算は2年半ぐらいでパンクをすると。つまり、貯えを食いつぶして、それでにっちもさっちもいかなくなるということでありました。
 19年度の予算は組める。20年度の予算も組めるが、21年度の予算は組めないということであったわけです。これはいかんなと思ったんですが、実は、そのときの県庁というのは、すでに行財政改革を進めていました。それで、私も知事になるより前から、その大変さっていうのはみんなから聞いていたのですけども、何と、県庁の職員を10%ぐらい、医科大学がありますから、形式的には20%なんですけど、実質10%、ここ4年間ぐらいの間に切るんだというむちゃくちゃな計画だと県庁の人が言ってるのを聞いたことがあるんです。この状態で、さらに150億円マイナスになり、2年半でパンクするというのが県の現状だったのです。
 じゃあ、何でそんな中途半端なことでやめておいたのかというと、三位一体の改革が、このままでもつわけがないので、あと1、2年経ったらきっと国が助けてくれるに相違ないということで、4年後の話は、まあ、いいじゃないかということで、とりあえずやったということではないかと思います。そのとき、従事された人もこの場にいるので、違っていたら「違うぞ」とか何か言ってくれたらいいと思うのですが、大きくいうと、そういうことではないかと思っています。
 したがって、これは決して放漫でも何でもなくて、その行財政改革をやる前に比べれば、うんと切り詰めているし、それから整理もし始めている。その前も放漫であったかというと、わたしは違うと思っています。ただ、世の中が変わってきて、それで経済の調子が悪いことに加えて、三位一体の改革で国から回ってくる額が減ってきた。それが地方分権の名のもとに行われてしまったので、県庁としても、もうこのままで、普通の切り詰めじゃだめだ。それで行財政改革を行ってきた。しかし、大胆なことはできないので、ほどほどにしておいたら、私が来て、新しい行財政改革の作戦を立てようということになりました。

行財政改革の概要

 わたしは、1年目は、総額として、これは以前の行財政改革プランの上に乗っていた話だから、そのまま踏襲しますというふうに言いました。それで、ネットワーク道路とか少子化対策とか、それから防災対策とかちょっと強化をし、残りのところを少し削って、少しだけ査定を入れてそのままやりました。だから、初めから、このままでいくと今から2年半後に赤字団体になるので、すぐに新しい行財政改革の作戦を立てますと表明しました。これを1年かけて作りまして、来年2月の県議会に出しますから皆さんよろしくと予告をしておきました。
 それで9月になり、このままいくと、つまり、以前の行財政改革プランでいくと県はどうなるかということを発表しました。そのときも、こんなことを発表して、私はクビになるんじゃないかなと思ったんですけど、そんなものかとみんな思ってくださったのか意外と反応が現れませんでした。それがどれかというと、この資料(新行財政改革推進プラン(概要版))6ページの上の方にある資料です。申し上げたのは、19年度予算額は151億円の赤字で、191億円の基金残高になります。20年度は156億円の赤字を出したら79億円しか残りません。そのままでいくと3年目は基金もパンクします。実は、21年度までが行財政改革期間だったので、22年度以降、それを緩めちゃうともっとひどくなって、それでどんどんと赤字ができて、もう天文学的な数字になって。それで、この22年度ぐらいから和歌山県は破綻しますと、こういうふうになるわけであります。
 これではだめなので、頑張っていろいろ考えたのが、その下に書いてある「行財政改革の断行」というところです。これを見ていただきますと、これを2月に発表したのですが、収支不足額がだんだん減ってきて、一直線にはいかないのですが、20年度62億円、21年度67億円、22年度39億円、23年度で23億円、5年後にはゼロになると。基金についても一応22億円ぐらいのところで、首の皮一枚で止まるということになるわけです。今、よくいわれている財政健全化判断の4指標について見ても、実は、和歌山県は、そのままでいくと、将来負担比率だけはいいのですけれども、ほとんど、アウトになるところだったのですけれども、本プラン実施後は、当然大丈夫ということになります。
 これをどういうふうにして作ったかというと、基本方針というのが1ページの真ん中にあります。平成24年度までに、基金の大幅な取崩しに頼ることなく財政収支が均衡する状態を実現する。それから、財政健全化判断4指標をクリアするということです。
 どうするかというと、2ページの「厳しい財政収支見通し」というのは、今申し上げたプラン策定前の案から次のように是正いたします。まず、人件費総額を258億円削ります。削減率は、一般行政、公営企業の職員を480人さらに削って、これは削減率にすると12%ぐらいになります。それから事務事業の見直しを150億円。投資的経費は、毎年3%ずつ公共事業を抑制していきます。公債費負担の軽減は182億円ですが、主としてこれは県債の償還期間を延長するということです。それから、収入の確保は、県税収入の確保や未収金対策を実施します。これに加えて、県債の活用で、退職手当債、あるいは行政改革等推進債、こういうものを活用して何とか食いつなぎます。それから、未利用県有財産の処分をして、少しお金も稼ぎます。
 「借金頼みやないか」と、皆さんおっしゃるのではないかと思います。例えば、財源対策のための県債の活用で、借金をして食いつなぐだけじゃないか。それから、公債費負担の軽減で償還期間を20年を30年にして食いつなぐだけじゃないかと。そのとおりなのですが、償還期間が20年から30年になると、少しずつ将来に負担は及びます。だけど、公債が借り替えという形でできるとすれば、それは、パンクするという事態が避けられ、そんなに不健全ではありません。和歌山県は、実は繰延(先送り一括償還)という形はとっておりません。県債は、少しずつ返していくというやり方をとっています。例えば、2、3年は据え置くんですけども、3年目か4年目ぐらいから均等で払っていくわけです。したがって、これからずっと考えたときに、突如として昔の負担が急に表面に出てきて、これは、サブマリン型というんですけども、そうなってにっちもさっちもいかなくなる。つまり、先送りにして、今はごまかしてるということでは決してありません。だから、毎年毎年、払い続けて借り替えをしていかないといけませんけれども、それが耐えられないような形にはなっていません。

大阪府との比較

 これを大阪府の橋下さんはどうしているかというと、この公債費に頼る比率とか、あるいは交付税に頼る比率は大阪府はもっと低いんですけれども、一気にこれを公債費に頼らない、収入として公債費を計上しないぐらいの行革をやりたいということで今やっておられるんじゃないかと思います。
 赤字になったら誰も助けてくれないし、和歌山県は体力もありません。体力がないというところが大事でありまして、和歌山県で大阪府のようなことをやるという勇気は私は、もちろんありませんけれども、それをもしやったら、県民の生活がぐちゃぐちゃになるというふうに思います。なぜならば、和歌山県は大阪に比べたら自立的な経済力というのは、残念ながらありません。したがって、大阪のような処方せんを書くということは、わたしは和歌山においては、間違っていると思います。したがって、これしかないなというので、悩みに悩みながら、右から見たり、左から見たり、もうちょっと何とかならないのかなっていうようなことを議論しながら、最終的にはこういう方向に決めました。
 もう1つ、大阪府と違うところ。これは何かというと、まず、橋下さんは、今、個々の外郭団体等を整理にかかっています。それで大騒ぎになったりしているわけです。和歌山県では、そういう問題を全部検証しているのですけど、実は、目標だけ決めて、先送りにしています。事務経費で年間で圧縮する規模が決まっている。それから、人件費や公共事業のカットしていく規模も全部決まっています。ただ、Aという財団を整理するかどうかということについては、あえて決めないでおいています。例えば管理なんかも切り詰めて一所懸命やっているのだけれども、まだ県から補助金を出していかないと存続ができないというような団体もいくつかあります。同じような団体が他にもあるので、これは、もう、整理した方がいいかなと内心思っている団体がいろいろあります。それは、いきなりというわけにはいかないので、今年の実行計画の検討プロセスの中で、どの財団をいつから廃止するかというようなことは、じわじわっとこれからやるわけです。だから、橋下さんが半年でやろうとしていることを、わたしは、2年ちょっとかけてやってるというぐらいの感じかなと思っています。幸い、和歌山県には立派な友好的な市町村長さんたちが、いらっしゃるので、こちらの事情もわかってくださって、ひどいじゃないかとあまりおっしゃられないんですが、内心、心配されているかもしれません。そこは、議論をしながらやっていくというのが和歌山県のやり方であります。

特別会計

 もう1つは特別会計です。一般会計について今申し上げました。一般会計は、実は一番大事なところであるし、皆さんの目に見えるところであります。しかし、和歌山県だけじゃなく、いろんなところに特別会計というのがあります。それから、基金というのがあって、よく国では、「埋蔵金」というものがあって、「この埋蔵金を出せば、まあいけるんじゃないか」という議論があります。一般会計だけじゃなくて一般会計の基金、それから特別会計、特別会計の基金、それから公営企業会計、県が責任を持っているような公社とか、そういうのがあります。これについても、全部検討しました。その結果、ここに(4~5ページ)書いてあるようなことで、突如、知らないところから爆発が起こって、県庁が吹っ飛ぶということはありません。かといって、埋蔵金が隠されていて、使えるということでもありません。全部明らかにしてあります。これは概要版ですから書いていませんが、全部一覧になっています。また、それぞれの処方せんを書いています。
 昨年、包括外部監査があって、公認会計士の方が、監査してくださいました。その対象は主に、和歌山県土地開発公社、露骨なことを言えば、コスモパーク加太でありますが、それとわかやま森林(もり)と緑の公社であります。これについては、こんな状態を続けていったら、和歌山県がもたないからさっさと処分しろと、こういうふうにおっしゃったわけであります。しかし、一度に処分をすると和歌山県はつぶれます。それから、処分をすると、森林と緑の公社については国の責任が問えなくなります。「そういうことをちゃんとわかってやっているんですよ、あなたは、この行財政改革推進プランを見て、他に案があったら言ってほしい」と言ったら、ありませんと言っていました。何でもぶつぶつ言うのは、誰でもできる。だけど、ぶつぶつ言うんじゃなくて、解を示して、これしかないんじゃないのというのに耐えられるような解を示すというのは、そんなに簡単なことではありません。わたしは過去のコスモパーク加太の処理には異論がいっぱいあります。だけど、それはもう済んだことで、やってしまったことはしょうがありません。したがって、現状からどうやって県民や県の産業を救うかということを考えないといけないわけで、その結果、コスモパーク加太は、とりあえず今のままつないで、それで、塩漬けにしておくともったいないから、いい雇用の機会とかがあれば、県の全てを投げ打ってでもそれに飛び乗ろうという方針にしています。それから、少しずつ、ご理解をいただきながら、雇用に少しでも役立てるような土地の使い方をしていこうじゃないかと考えております。
 そういうことで、一応、和歌山県は、長嶋監督の言葉を借りれば、和歌山県は永遠です、安心してくださいということになっているのですが、その永遠は、決してぜいたくのできる永遠じゃなくて、つめに火をともすような形で、みんなで頑張ろうという永遠なわけであります。だけど、それは決してできないことでは全くありませんので、できる形でやっていこうと思っています。
 わたしは、この行財政改革と一緒に和歌山県の新政策を検討しました。新政策は行財政改革が邪魔をして実行できないということになってないのです。初めから、この計画と行財政改革の初年度はピタッと合っていて、それで両方がちゃんと満足できるように仕組んであります。

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第2部 新政策

縦割り行政

 去年から新政策の検討を始めました。この問題意識をちょっと申し上げますと、皆さん、縦割り行政ということをよく言います。例えば、農業部門の人と、それから観光部門の人が全然話が合ってなくて、みんなばらばらになっている。
 わたしが見つけたのは、熊野古道がありますが、ありとあらゆるところから熊野古道の予算要求がくる。教育委員会文化遺産課が要求、それから、企画部地域づくり課、観光局からの要求があります。それから商工部門、最後は福祉保健部、健康と関連づけて来たり。いっぱい来るのですけど、みんな横の連絡を取ってないから、私はこれをやりたいと言って、やっていることを県庁全体で宣伝することを考えないわけですね。
 それで、何を考えたかというと、ヘッドクオーターというのを作って、ある局長に、あなたは、他の部局のことを聞く権利を与えるから、そのかわり、知らなくて、調整がとれなくて、ふらふらみんな勝手なこと言ってきたらあなたの責任になるとか言いながら、局長さんクラスの人を、テーマ別に全庁に7、8人ヘッドクオーターとして任命しました。
 それから、もっと壮大な縦割り行政があると思ったわけです。例えば、予算を作るときに、予算のプロセスというのがあって、だいたい11月ぐらいから、みんなで考えて、いろいろ詰めて、12月いっぱいぐらいで財政課が詰めて、ある程度のところまで仕上げて、知事に良いものと悪いものを判断してくださいといって持ってくるわけですね。これが予算の流れです。
 条例というのがあって、これは担当する課が考えて、それで県議会にかける。2月の県議会にだいたいかけるわけですが。総務学事課と相談をして、整える。
 それから、政府要望というものがあって、就任早々、12月の末に、霞ヶ関へ行って政府要望してくださいというのです。「えっ?」と言ったら、それが毎年の慣例でありますと。それから、マスコミが、知事が一所懸命に働いてるところを撮りたいというので、ぜひやってくださいと、こういうふうに言うわけです。
 だけど、国の予算はそんな時期に議論しておりません。予算のだいたいのことは、和歌山県が要望するような話は、12月の時には、もうカチッと決まっていて、予算の時に徹夜してやっているのは、計数合わせぐらいです。もしくは、政治プロセスでちょっとやってるふりをしているというのが、12月の終わり頃の予算のプロセスです。それよりも、財務省と各省のやり取りは、9月から11月ぐらいにかけてゴリゴリやっているわけですね。
 また、要望する各省の態度は、形式的にも8月の末には全部決まっているわけですね。それが彼らのスケジュールであって、そこから和歌山県が、そんなこと言わないでもっとやってよと言っても、もう全然だめなわけです。これは形式的にも明らかです。
 彼らは、8月末にどうやって決めるかというと、8月末にパタパタと決めるわけじゃないですね。実は、5月ぐらいからずっと議論していて、7月の初めぐらいに金額が入ってない骨格を決めて、それで、そのプロセスでは、例えば官房総務課とか官房企画課とか会計課とかいう人たちが、政策部門から上がってきたやつを庁内でもんでいるわけですね。これが5~7月ぐらい。7、8月は、お金をつけて、だいたいつじつま合わせをしているわけです。そういった中で12月の末に国土交通省などへ行って、よろしくと言ったって、全くナンセンスなんですね。したがって、やろうと思ったら何をしなければならないかというと、少なくとも5、6月ぐらいには、原局ですね、例えば厚生労働省医政局とか、国土交通省何とか局とか、そういうところへ行って、これをやってくださいとか、これいいでしょうとか、ワーワー言わないといけないんです。そういうことを、去年も今年も、もうがんがんやってきました。
 じゃあ、その政府に対する要望というのと、自分たちが考え、自分たちがやることっていうのは関係ないのかというと、あるんですね。政府が決めたから自分たちがやるっていうのは、それは完全に受け身であって、自分たちもこういうことを仕組んでおいて、政府にやらせておいて、うまく言えば合体して予算化して議会に出すというのが一番いいわけですね。したがって、4月ぐらいから、おれたちは、来年度、何をしようかとそういうことを考えておかないと、これは壮大な縦割り行政になってしまうわけであります。メカニズム的にです。そこで、新政策のプロセスという統合システムを作りました。4月ぐらいから企画部を中心にして議論をしてもらう。県知事も入る。それで、政府要望は先発させないといけないから、だいたい決めたところで、これはやっておこうというのをあらかじめ政府要望に書いて、それで5月ぐらいに知事が原局に要望に行きます。そこで、「これやってよ、あなたの政策に入れてくれませんか」と。一例をあげますと、住宅の太陽光発電。皆さん、見ていただくとわかるのですけれども、経済産業省にやらそうと思ったら、環境省がやってくれるってことになったんです。
 もともと2つに要望していましたけど。そういうのをぜひやってくださいと。それをもとにして、県のお金も足して、われわれはやる準備をしながらずっとどうなるかなと見ていたわけですね。それで、うまくいったので、新政策だと、こういって叫んでいるのです。このようにずっと準備をしているわけです。初めからずっと仕組んでいかないとできないので、先に要望を出して、さらにゴリゴリゴリと詰めます。去年は慣れないことだから、みんなで七転八倒して、知事も苦しみましたが、職員も大変な目にあわされて、つらい思いをしたと思います。慣れないことを、いきなり、ものすごいスピードで、タイムスケジュールで追っていかないといけないわけですから。だけど、今年はだいぶん慣れたので、私がちょっと手抜きをしても、だいぶんうまくいくようになっています。
 夏の間、財務省要求っていうのはありませんから、夏の間ずっと議論して、9月初めぐらいに、だいたい金額の入ってない目標を決めました。それで、この目標でみんなに予算化をするときどうしたらいいかを考えろと言いました。それで、11月ぐらいにそれを入れて、あとは財政上の全体上のつじつまを合わせ、また、行財政改革から入ってくる話がありますから、それを全部加味して決めたということでございます。
 逆に、どんどん整理していく方の話も同時進行でやっているわけです。これはむだだからもうやめたとか、この補助金はもうやめようとか、そういうのを、今、大阪府ではプロセスを公開でやっていますけれども、われわれは、公開いたしません。なぜならば、やっぱり思い切ったことを言えなくなると思うからです。結果は県民にちゃんと説明するということで十分ではないかと、私は思っているんです。活発な議論が、私も含めて行われて、それで残った事業もあるし、なくなってしまったものもあります。

6つの柱と20項目

 そうして、たくさんの新政策が出てまいりました。1ページの左下に書いてありますが、6つの柱と20項目。これについては、9月ぐらいからもう決めていた項目です。それで、643億円というのは、それにつけた金額で、ものすごいシーリングをかけて予算編成したのですが、この新政策は、少しシーリングから外れても要望を聞いてあげようじゃないかということでやってきました。
 ただ、本当にお金がないわけです。平成19年度の収支不足額が151億円であったものを今年は62億円まで削りました。そうすると、ただでさえ削らなければいけないときに、1年かけてみんなに検討してもらった立派な事業が続々とくるわけですね。これを削らないといけないわけです。財政課や企画総務課も大変なんですが、わたしも大変で。「それはわかるけど」と、言ったのがいっぱいありまして、つらい思いもしながら作りました。
 2ページでは、先ほどからずっとご説明していた厳しい財政状況というのがありまして、今年の行財政改革は人件費で27億円を削減、事業評価による見直しは21億円、収入確保に向けた取り組みで10億円。さっき、もっと大きい金額で申し上げたのは5年間ですが、1年目もこういうふうになっています。それから、国の関係で、さっきの要望の中に入っている結果が、地方交付税として約30億円という形で出てきたので、30億円こちらに乗せて、いろいろやりくりをしています。

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第3部 新政策の概要

初等・中等教育における和歌山モデルの確立

 さて、いよいよ新政策の中味の話をします。新政策の6つの柱と20項目についての概要は、5ページにございます。
 「何かどこかで見たことのあるタイトルだな」と思われる方がいらっしゃると思いますが、実は、この1~6の柱というのは、この間、できました長期総合計画のタイトルと同じなのです。長計の目標に沿って、長計の初年度である20年度は、何をするのかということがそれぞれ書いてあると、こういうことになるわけであります。
 まず、初等・中等教育における和歌山モデル。これは、教育とか人づくりのところのお話であります。これについては、特に思い入れがあります。
 まず、道徳性や社会性を育成しようと。ちゃんと学校でやろうというふうに言いまして、それで教育長のお言葉で、市民性の育成ということにしました。それで、きちんとした教科でもやるけれども、「きのくに共育コミュニティ」といって、学校、家庭、地域が連携、協力し、子どもを幸せにするために、地域ぐるみで子どもをきちんと育てようということをやっていきます。
 また、職業人の育成というのが大事ですから、人材を育てるために産学官連携して、職業に対するモチベーションのある人を育てる。
 それから、学科ですね。普通科以外の中等教育の学科を考えて、それで高校教育をやり直す。
 ふるさと学習というのは、皆さん、よくおわかりと思いますが、和歌山は、ものすごくいいものがいっぱいありますね。これを子どもたちにきちんと教えていないような気がするものですから、これを教えていくようにしようと考えています。
 ことばの力、読書活動。これは、全国学力学習状況調査の結果が思わしくなかったんですね。点取り虫である必要はないんだけども、どこが悪いかと教育委員会でいろいろ考えると、やっぱり考える力っていうのが大切。特に、英語にしても、根っこは国語なんですけど、ある意味では、国語というのは論理学であるんですね。それは読書をしたり、ものを考えたり、論理的に考えたりすることによって鍛えられるのだから、そういうことについてきちっとやっていこうと考えたわけです。
 外部人材の積極活用。和歌山にいて、ちょっと不満を感じるところは、刺激が少ない。今日は県知事がしゃべっておりますが、もっといろんな人、内外情勢調査会みたいな形で、ちょっと有名な人なんかを呼んできて、そして子どもと対峙させようと。去年、試しにやりましたのは、宇宙飛行士の毛利さんを招きました。大変良かったと思います。もうすぐ、串本でやりますが、奥本大三郎さんです。それぞれテレビの向こうの人なんですけれども、こっちへ連れてきて、子どもたちと一緒に語らせようということを、これから他の分野でも、例えばスポーツなんかも含めてやっていこうかなと思っております。
 また、公立と私立をもっといい関係にしよう。張り合っているばかりが能じゃないぞというふうに私は思います。同じことを「よし、こっちもやるぞ」なんて言っていると、結局どこかにしわが出る。それならば、両方協力して両方でたたえ合うようにしようじゃないかということで、今年からちょっと仕組みを変えて頑張っていこうと思っております。

国体開催を視野に入れた青少年の体力・競技力の向上

 次は、国体開催を視野に入れた体力づくり、あるいはスポーツ力の向上であります。(7ページ)平成27年に開催予定の第70回国民体育大会の準備をしていく必要があります。一所懸命やっております。どの市町村でどういう競技をするか。それから、どこにどういう施設を造らなければならないのか、お金があまりありませんから、そういうことを一所懸命考えなければならない。国体の施設を造ったら、その分だけひょっとしたら河川や道路に回すお金を削らないといけないかもしれません。そうやっていかないと財政がもたない。しかし、そういうことも、財政計画の中にちゃんと初めから書いてあるわけです。道路は本当に必要ですから、予算を削らないためには、どうやって今の施設をうまく使いながら効率的にやっていくかなのですが、全くぼろぼろの施設でやっていくというなら夢も希望もないわけです。少しは夢を語りたい。どの辺に線を引くか、市町村の方と今相談しているというところであります。国体を契機にして、スポーツを通じたまちづくりをしていくということを考えていこうじゃないかと思っております。
 競技力の向上。和歌山の国体では、ぜひ、1位になりたいと思っております。
 今のままだとなれません。若い力を引き上げることも必要ですし、企業にもお願いをして、県庁自身も考えて、選手を強化していかないと1位にはなれません。とりあえず、今年に関して言えば、まず指導者を連れてくるということを考えたいと思っております。

少子化対策の強化

 その次は、少子化対策(8ページ)。これについては、ぜひ頑張りたいと思います。究極の子育て対策は2つあります。1つは、社会増。これは、企業誘致とか産業の活性化とかで雇用を増やすというしかないんですね。もう1つは、増やした上で、たくさんお子さんを産んでいただくと、育てていただくということが大事。かけ声だけじゃいけないから、そのための条件を良くしていくということで、紀州3人っ子施策をさらに拡充しまして、なけなしのお金をはたいて、所得制限なしで第3子以降の3歳未満児の保育料は無料にしますというようなことも考えました。従来から、健診の費用を無料化するとかやってきましたので、これでだいたい似たような県の中ではトップクラスになるというふうに思っています。まだ追随していただけない市町村が多いのですけれども、ぜひお考えいただいて、それぞれの事情はあるんでしょうけど、賛同してもらいたいと思っております。
 また、地域における子育てを和歌山の良さを活かしてぜひ頑張っていこうと。
 子育てと仕事の両立。だんだん共稼ぎの方が増えていますから、そういう方のための手段をきちっと整備するという意味で、保育のてこ入れなどもやっていこうと思っています。

医師の確保や地域医療の充実

 次は、いつも言っている医師の確保(9ページ)です。これは、大きく分けて2つあります。1つは、抜本対策としては県立医科大学の入学定員を増やす。そのための施設も造ります。それに加えて、応急対策として、いろんな修学資金制度などを使って、人集めをしてまいります。もう1つは、開業医と病院の勤務の方々と協力体制を作っていただこうということを頑張ってやっていきたいと思っております。

健康長寿・がん対策の推進

 その次の健康長寿・がん対策(10ページ)ですが、今、和歌山県で2つ、健康上の問題があります。お年寄りの問題として、病気で長寿というよりも、元気で長寿の方がずっといい。そのためには、やはり生活習慣病の予防、啓発、そういうものは大事です。もう1つは、がんです。これだけいいお医者さんがたくさんいる和歌山県なのですが、残念ながら、がんの死亡率は高いんです。今、どうして高いのか徹底的に勉強していますが、どうも、やっぱり検診率が低いと考えます。早期発見すると、がんは、最近、治るんですね。ところが、末期になってから発見されることがやっぱり多いというので、検診を積極的に勧める。それと、検診従事者の技能向上ということをやっていくことが必要だということで、それにも力を入れていこうと思っております。

元気企業の誘致・育成支援

 元気企業の誘致・育成(11ページ)であります。誘致のことばかり、よく人口に膾炙(かいしゃ)されますけども、やっぱり基本は育成なんですね。そのために、いろんなことを考えました。中小企業中核人材導入支援として、参謀を呼んでこようというのがあります。経営者の方も、すごい優れているけれども、いろんな要素が必要なときに、ある要素を欠いているならば、その要素を補ってくれる人を雇えればいい。そのためにお雇いするお世話を県庁がします、というのがこの事業です。それから、もちろん企業誘致についても頑張っていきます。

農林水産物の販売促進

 その次、農林水産物(12ページ)であります。これは、もうずいぶん弾みがついています。先日、「FOODEX JAPAN」(フーデックス ジャパン)に25社30小間、全国一のブースをもって和歌山県は初参加をいたしました。このフーデックスというのは、アジア地域で、食品について取り引きしようという場合は、みんなそこへ来て考えるというふうに今なりつつある、そういう大組織でありまして、10万人のバイヤーが来ます。バイヤーってどんな人かなというと、例えばレストランの店主や小売店の人も来るし、大商社の人も来るし、それから、同業者の人も来ます。そのど真ん中に和歌山県のブースをドカーンと作りましたところ、ものすごく商談ができたというような企業もありました。まだ、全般的には、最終的なトレースが終わっていませんけれども、たまたま経営コンサルタントの人がある企業に聞いたら、40ぐらいの契約ができましたと言っていたそうです。そんなに供給できるのかと、私は言ったんですけど、そのぐらいの迫力がありました。来年は、さらに皆さんにPRして規模を2倍にしたいなというふうに思っております。もちろん、皆さんにも費用は払っていただかないといけないので、その分はリスクがあるんですけれども、リスクを恐れていて閉じこもっていたら、絶対に売れないと、そういう時代じゃないかと思っています。
 輸出もどんどん手がけていきたい。アドバイザーもいっぱい用意して頑張ろうと思っております。

農業王国わかやまの創造

 農業(13ページ)については、やっぱり販売だけじゃなくて、生産の方のてこ入れも必要と思います。遊休農地がいっぱい出たり、それから選果場単位でばらばらになったりしてはいけないということで、それも頑張ろうということであります。

紀州林業の復権

 14ページは林業であります。林業については、一番上に書いてあります紀州材生産販売プランで、どんどんと刺激をしております。企業の森も頑張っておりますし、それから需要の拡大のための方策も県庁をあげて駆け回ってやっています。民間の方々にも推していただいて、何とか紀州林業を復興させたいというふうに思っています。そのためには、1つはコスト。これは、低コスト林業の導入を図る。そのための予算措置をしました。それから、もう1つは需要。間伐材をどうやって有償で売るか。1つはバイオ燃料系で使えないか。もう1つは、集成材で使えないか。バイオ燃料系の方は、まだ目途がついておりませんけれども、合板の方は、県外ですけれども、少し目途が立ったんで、増産に入れるなというところまでようやくきております。

観光資源の売り出し促進

 次は観光。15ページであります。これも一所懸命やっておりますが、おかげさまで、昨年は入込客と、それから宿泊客が5%ずつ増えました。宿泊客は、まだ過去の栄光の時代まで至っていませんが、入込客は、ついに史上最高になりました。あとは、どうやってお金を使っていただくか。そういうことも考えないといけない。入込客も、今で十分とわたしは思っておりませんので、もっと多くの人にこの和歌山、この立派なところを見ていただくということのために頑張りたいと思います。海外もターゲットであります。アジアだけじゃなくて、ヨーロッパ、アメリカもあるということで、それぞれターゲットを絞って、それぞれの人の琴線に触れるようなPRをしていきたいというふうに思っております。

世界遺産の戦略的・総合的な整備

 16ページは世界遺産であります。これをもう一度大々的にやるぞと。そのためには、まず保全もしなければならない。はやりだすとむちゃくちゃになるというのは、各地の観光地で多いところであります。そうすると、資産価値がなくなり、どうしようもなくなる。資産価値を保全しながらやらないといけないから、景観条例と県立自然公園条例をうまく使って、環境を保全しながら、ある意味では規制をしながら、どんどん打っていきます。そのために、観光客が来やすいようにする。道標を整理したり、それから、パンフレットを整備する、外国語も併記する、また、スタンプラリーをするとか、いろんなことをいろいろ考えております。
 ホスピタリティ。これも大事だと思っております。対応の良くないタクシーの運転手の話をよく聞きます。悪気はないと私は思っているんですけれども。だけど、外部不経済効果って、著しいものがあるわけであります。それから、対応の良くない旅館の接客係の話もよく聞くわけであります。和歌山の成果のためには、もう一度その人にその話を、からくりをわかっていただいて、ホスピタリティに努めていただこうと。ふんぞり返っていると、和歌山はみんながだめになるということで、これから頑張りたいと思っているわけです。

健全なマリンレジャーの推進

 健全なマリンレジャー(17ページ)、特に、これをターゲットとしてやっていきたい。そのためには、マリーナシティのナショナルトレーニングセンターというのも、これはヨットですね、大事なのですけども、それだけじゃなくて、漁港を使ったマリンレジャーを進めていこうと。和歌山が誇る海の男が全国の人の面倒を見て、それでお金をいただこうと、こういうのがいいなと考えています。
 放置艇対策、これもきちんとやる。やるけれども、追い出すんじゃなくて、そこに定着していただくような形でうまくやっていきたいと思っています。
 18ページは、もう一度出てきますが、景観と自然環境を適切に保全するということです。

わかやま田舎暮らしの支援

 19ページのわかやま田舎暮らしの支援というのは、都会から人を呼んでくる。特に、限界集落になりかねないようなところにどんどん人に来てもらおうということで、UJIターン、あるいは二地域居住、それから都市と農山漁村の交流拡大をどんどんやろうということであります。
 和歌山は、2つの面で大変成功しています。1つは、体験観光。「ほんまもん体験」というプロジェクトがあって、何と、このプロジェクトだけで29万人の人が来てくれています。こんな県は、ほかにはありません。大変成功しているのですが、もうちょっと、てこ入れもしようと思っています。もう1つは移住です。本当に来てもらう、住居を移してもらう、それはそんなにたくさんありません。100人の単位が達成できたらいいとしなきゃいけないぐらいです。しかし、これについては、和歌山はとってもいいやり方でやっています。地元の人と新しく来た人が協議会を作って、みんなが仲良くして交流するようにして。決して、よそ者はよそ者、元からいた人は、元からいた人というようにはなっていない。だから、それをもっとPRして、全県に広げて、それで、この心の温かい和歌山にみんなきていただくことをやっていきたい。

東南海・南海地震対策の充実

 次は、東南海・南海地震対策(21ページ)を充実していくということであります。皆さんのお家で古くて、ちょっと危ないかなと思っておられるお家があったら、診断を受けてください。ほとんど無料で受けられます。それから、家を建て替えるととっても大変なのですけれども、ちょっと筋交いを当てて、地震の第一撃から防ぐというぐらいでも補助金を出すようにいたしました。皆さんのまわりの人にも勧めていただきたいと思います。静岡県も同じような制度を作っていまして、結構、利用者が多いんです。残念ながら、和歌山県は、ほとんどありません。何かのんびりしているなと思うんですが。私は、ちょっと心配なので、自分の親の家や知人にも勧めてみたいと思っております。

犯罪・交通事故の撲滅

 犯罪・交通事故の撲滅(23ページ)。交通事故の死亡者が、去年に比べて今年は多いので心配をしているのですが、これを頑張りたい。治安については、どんどん良くなっていると思います。今年は、特に警察関係の頑張っていただいている人たちのための設備投資にかなりお金を割きました。ここに書いてあるとおりであります。

交通ネットワークの整備

 それから、交通ネットワークの整備(24、25ページ)。これは、もう言わずもがなであります。あなたは道路のことしか眼中にないのかとよその人に言われるのですが、決してそんなことはありません、道路がなければ話にならないので、整備のための財源は確保してもらいたいと、みんなで行進して訴えましょうと、こういうふうに言ってるわけであります。
 ちなみに、ここにいらっしゃる人はいろんな経済の仕組みとかを、よくわかっておられる人だと思うので、あえて言わずもがなだと思いますけれども、ガソリンの値段が下がると、うれしいだけじゃなくて、生活が楽になると、あるいは、減税した分だけ消費が伸びるので景気が良くなると、ここまでは正しいのです。
 けれども、財源がなくなるので、投資が下がる。本当は、県はその財源を元手に借金をして膨らまして工事していますから、もっと下がるのですけれども、仮に、減税した分と同額投資が下がるとすると、景気がどうなるかというと、乗数効果1っていうのですが、その分だけ景気が悪くなるのです。したがって、2.6兆円の暫定税率が1年間なくなって、投資がその分だけ減るとすると、もちろん、ガソリンが安くなりますから、消費は良くなると考えたとしても、実は、2.6兆円の投資の減額が成長のマイナス要因になるのです。したがって、2.6兆円っていうのは、500兆円ぐらいのGDPの0.5%に当たるので、だいたい、1人当たり1.5万円ぐらい所得が減ります。そうすると、もちろん、人によって違うんですけれども、直ちに影響の出る人がいると思います。1人当たり1.5万円。自分のうちに何人いるかなと、そういうふうに考えると、暮らしが良くなるぞと思ったら、絶対に悪くなるのですね。

情報基盤の充実

 その次に、情報基盤の充実(26ページ)も大事であります。わが県で産業を振興するために、絶対に必要なことは2つあると思います。交通インフラと、それから通信インフラ、これは絶対必要です。副次的に必要なのは、例えば医療とか教育とか住環境とか、そういうことも大事。それから、もっと大事なのは、実は企業風土なのです。つまり、われわれの心持ちだと思っています。そういうのが全部良くならないといけないのですが、最低限のところが欠けていると、いくら誘致しようと思ってもだめです。
 かつて、仮谷さんという知事がおられました。松下幸之助さんに、ぜひ松下電器も和歌山に工場を作ってくれとお願いしましたが断られた。その議事録を見ていると、一番松下
 幸之助さんが言っているのは、道路がないということでした。大阪の守口や門真から和歌山へ来ると、大変なところを走ってこないといけない。「高速道路もないようなところへ行けない」と。「高速道路の整備をやってもらわないと」と言っておられる。この間、ある大学院生の研究論文に接しました。松下さんは、やっぱりビジネスには厳しい人で、ちゃんとした計算をする人であったと書いてある。郷土に対する愛情というのと、自分が今、引き受けているビジネスに対する責任というのは、両方をごちゃごちゃにするわけにはいかない。寄付の方は自分でできるけれども、ビジネスは、会社にとって一番有利なところでせざるを得ない。そうすると、和歌山に道がないということを主たる要因として、やっぱり大きな工場は置けないというふうに言ってしまわれたと思います。仮谷さんは残念だったと思いますけども、そういうこともありました。
 松下正幸さん(松下幸之助さんの孫:松下電器副会長)とこの間お会いして、そのようなことをちょっと申し上げました。そうしましたら、「そのとおりだとわたしは思います」と言っておられました。しかし、「和歌山市の和佐に松下家のお墓がありますが、お墓参りに行くにもものすごく便利になりました。あの辺まではもう大丈夫です」と、こうおっしゃいました。けれども、紀南地方はどうだというと、松下幸之助さんが、お断りになったのと同じような状況がまだ続いています。それをつなげて、初めて、われわれは紀南地方に住んでいる人に対して、さあ頑張ろうと言えるんじゃないかなと思っています。ガリレオのような心境で、「それでも地球は回る」、「それでも道路は必要だ」と、幹線ネットワークが必要だと言っています。
 同じように、通信ネットワークも必要であります。それには3つの柱があります。産業にとって必要なのがブロードバンドと携帯。それから、生活にとって必要なのは、地上デジタルであります。それぞれ戦略は違うのですが、ここ数年の間に全部つながって、和歌山こそ通信の環境のいいところであるということになるように頑張っています。実は、この間も、モバイルフォンのカンパニーに行って、「もっとやってくれないと困る」と言ってお願いしてきました。
 そういうことを新政策として、今、県庁をあげてこれに取り組んでいる。と同時に、今度は新しい新政策、21年度へ向けてまた始めるという、このダブルの仕事をわたしたちは、今やっているという状況であります。

 以上。また20分もオーバーいたしまして、申し訳ありませんでした。ご質問があればお答えいたします。

質問に答えて

司会:知事、会員の方から1つ質問がございまして。企業誘致も大切ですが、本社が和歌山県にある企業をどう伸ばしていくのか。もし、そこに具体的な施策があればお聞きしたいという質問があります。

仁坂:先ほども申し上げましたが、雇用というのが一番大事だと思っています。したがって、雇用のためには企業も誘致しないといけないし、それから県内企業にも発展してもらわないといけないということだと思います。そのために、ここの新政策にありますように、いろんな政策を講じています。既存の制度もいっぱいありますので、どんどん利用していただいて頑張っていただきたいと思います。
 また、県庁は、県内企業と連携を深めるため、産業ごとの担当者や企業ごとの担当者を決めて、社長さんとか工場長さんのところへ行って、御用聞きをしています。どうか、「何しに来た」、「用事もないのに来るな」とか言わないでください。最近の業績はどうなっているのかとか、県庁のあの体たらくは何だとか、何でもいいから、とにかくどんどん言ってください。それを、われわれは吸収して、直すところは直したり、その問題解決を図っていきます。そういうことをちゃんとやっていかないと、企業の情報は和歌山県に入らないし、企業は欲求不満になってしまいます。すると、企業は、和歌山県の良くないところをあっちこっちにしゃべります。そうすると、「ああいうとこへ二度と行けるものか」ということになり、誰も来なくなります。また、県内企業の方も、「こんなところでいたくない」といって、県外へ行かれてしまう可能性がある。そういうことは、いつも危機感を持って考えなければなりません。したがって、今、担当者を決めて、全員で企業の話を聞きに行こうとしています。これは当たり前のように申し上げていますが、47都道府県で、ちゃんとできているところは1つもありません。これを和歌山県ができたら、きっと評判は一番良くなるはずなんです。ただ、ものすごく難しいですね。何の権限もない者が企業に行って、いろんな話をしてくるわけですから。県庁の職員もたまったもんじゃないと思います。しかし、それができるようになったら、和歌山県はものすごく評判のいい県になるはずであります。そのために、集めてきた情報をもとにして、知事を中心にしてその問題解決のために必死になって頑張っていく、それを縦割りじゃなくて、全体を動員しながらやっていこうというのが県庁の今の仕組みです。
 唯一、ちょっといいかなと聞いているのが、神戸市です。神戸市には、今、バイオ系とか研究機関系とか、みんな進出しているというんです。神戸市は評判がよくて、ちゃんと企業の言うことを聞いてくれると。知らないとか言われない。そういうことになっているそうです。県庁では、商工観光労働部長が作戦総本部長で、その下に、例えば融資担当が、化学とか、機械を担当するダブルでミッションになっています。機械担当の中で、何々企業担当とか、こういうふうになっているということです。あまり行けないかもしれませんが、皆さん、ぜひ県庁の人が訪ねてきたときに、「おお、よく来た」とい言って、いろいろ苦情などを話していただきたいと、そんなふうに思っています。
 そういう意味で、県内企業優先というのは絶対そうなんです。雇用という点では、県外企業もきてもらわないといけない、みんなが和歌山で栄えるようになるといいなということではないかと思っております。

司会:あと2つ質問があります。県当局から見た紀中、御坊地域の位置づけはどうですかという質問です。

仁坂:経済の話ですね。今、紀北、紀ノ川エリアについては、産業発展モデル、企業立地促進法に基づく計画を作りました。今日4月24日、田辺で第1回の計画策定のための協議会を開催し、残りのエリアを全部対象にして、もう1つの産業モデルを作ろうと思っています。
 御坊地域はどうかと言われると、これは私の直感なんですけれど、もうちょっとでものすごく立派なところになるんじゃないかなというふうに思っています。なぜならば、あそこは広いですよね。広い土地があるのが、紀ノ川平野と御坊平野ぐらいじゃないかなと思うんですね。だから、そういう意味ではものすごく潜在性のあるとこじゃないかと思っています。問題は、有田地域に比べるとまだ道の整備が弱いですね。有田地域は、もうすぐ、先ほど申し上げた松下正幸さんの言葉で一人前になります。今、高速道路を4車線化していただいていますから。有田地域まで整備されると、車の渋滞が少なくなります。そういうことを考えて立地したり、企業戦略を立てたりしているような企業がずいぶんたくさん出てきています。
 御坊地域がそれに入ってくれば、ポテンシャリティーはもっと強いかもしれない。
 あとは、それぞれの地域で特色を出していけばよい。地域がそれぞれ持っている、例えば果樹とかどんどん生かしていけば、そこで発信できる産業の髄になると思います。
 それから観光と一緒になるということだと思います。

司会:もう1つは、少しご意見が書かれています。紀北筋で柑橘類の農家、手広く農家をされている方からの意見なのですが、わが県は大消費地に近く、農産物流通で非常に優位性を持っています。生活者の皆様に、和歌山産品をご利用いただくことが、フードマイレージ上と低エネルギー、低炭素社会実現の一助となることを積極的にPRし、他県のまねのできない流通イノベーションを起こしていきたいと思います。つまり、頑張りますという決意表明の意見をいただきました。

仁坂:今の話は、地産地消ですね。地産地消の話を言われたと思います。例えば、県庁主催の会議では、地産地消型の飲物なんかほとんど出してないんですね。南アルプスの水か何か出てくるわけです。それなら、「大師の水」か何か出したらいいじゃないかというふうに思いませんか?それを、わたしは言っているわけです。だんだん変わってきてくれているような気がしますが、それだけじゃなくて、安全とか、そんな問題もありますから、やっぱり地産地消っていうのは、ものすごく大事だと思います。
 ただ、県民の方にあまり地産地消だけ言うのもちょっと考えものです。というのは、我が県の弱点は、外にアピールしないということがあるのでは、と思っているのです。特に農水産物については。いいものを作って流通に任せて終わってしまう。その流通は全部他県ということが多いですね。そうすると、やっぱり高くは売れない。高く売る工夫をするということをわれわれも考えないと、子々孫々が、そこで跡継ぎになっていきにくいのではないかと思うのです。したがって、地産地消も100パーセント追求していこう。と同時に、他県にも売っていくということを考えないと、きっとものすごい発展はないと考え、両方頑張りたいと思います。

司会:ありがとうございます。時間がまいりました。これをもちまして知事の「平成20年度の新政策」と題したご講演を終わらせていただきます。知事、長い時間ありがとうございました。

仁坂:どうもありがとうございました。

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