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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

道路特定財源の暫定税率についての対話集会知事提言概要

 

女性と知事の対話「ガソリン税と暮らし」(平成20年2月10日 東急イン/和歌山市)
青年と語る「道路特定財源と和歌山の将来」(平成20年2月11日 和歌山県民文化会館/和歌山市)
知事との対話集会「ガソリン税と暮らし」(平成20年2月16日 ガーデンホテルハナヨ/田辺市)
知事との対話「ガソリン税と暮らし」(平成20年2月23日 新宮商工会議所/新宮市)

 皆さんこんにちは。お忙しいところありがとうございます。
 今日、皆さんにお集まりいただいたのは、何も一方的に私が考えていることを押し付けて、結論はこうだ、わかったか、とか言うつもりではありません。道路特定財源暫定税率の問題は、色々人生観にも結びつくような話でもあります。それから、我々の心の中で矛盾している色んなことを刺激されるような、大変難しい話だと思ってます。そういう難しい話であるからこそ、簡単に話を進めて何とかしようというのはいけないのではないかと私は思っていますので、そういうことを皆さんに色々お話しさせてもらいたいと思っています。
 聞いていただいた上で、ディスカッションの時間がありますので、あんた間違っているとか、違うじゃないかとか、それはもうガンガン質問したり、意見を言ったりしていただければと思います。そうすると、だんだん考えの焦点が合ってきて、それでいいと思いますので、皆さん遠慮される部分もあるかもしれませんが言ってください。意地悪な質問がいっぱい出た方がこの会が盛り上がる。私はそう思っています。

 そういうことで今日はまず私の方からしゃべらせていただきます。言いたいことは2つです。1つ目は、どんどん議論してそれで結論を出す。それが民主主義ではないかと。いいこと、悪いことみんな言おうやないかというのが私の考え方であります。そういう観点からすると、ガソリンが25円安くなるということだけでなく、その影響も含めてみんなで議論しましょう、ということです。
 その次のメッセージは、「私たちにチャンスを下さい」です。これは道路懇談会以来一貫した政策、考え方です。なぜかと言うことを申し上げたいと思います。
 2つの例を挙げます。
 1つは、工場の立地件数です。紀伊半島南部は、高速道路もなければ、企業立地もありません。なぜかというと、高速道路の通っているところに、工場って立地するんです。あたりまえですよね。便利になったら運べますから。
 日本の企業は、世界を相手に商売してます。早く運んで、ジャストインタイムで届けるとか、あるいは外国に早く持っていって勝負するとか、そういうことをすることによって生存競争に勝ってるわけですね。それが、届くのがいつかわかりませんというようなことでは立地できないわけです。
 それで、高速道路がついていない秋田県など東北の日本海側、紀伊半島、山陰、それから四国、特に高知県、東九州はどうなっているかというと、人口減少率(平成12年と平成17年の比較)のワースト県が秋田県、和歌山県、青森県、島根県、また、県税減少率(平成12年と平成17年の比較)のワースト県が高知県、島根県、和歌山県、鳥取県と、みんなここに含まれてます。
 どうせダメなところでなにをやってもダメだという人がいるかもしれませんが、決してそんなことはなくて、この1つ前の時代というのは鉄道の時代です。そのときに紀伊半島一周の紀勢本線(旧国鉄)、南の方は単線ですけれども、一応国が造ってくれました。それから和歌山線(旧国鉄)のところです。今、京奈和自動車道を一生懸命造ろうとしてくれてますけれども、昔から和歌山線(旧国鉄)がありました。そのときに和歌山県の人口がこんなに減少してるかというと、そんなことはありません。ちょっと紀南から紀北に移っている人がいたかもしれないけれど、和歌山県全体では人口は減少していません。減少するようになったのは、この高速道路の時代でです。高速空白地域ということから、あっという間にこういうふうになったわけです。もっと前を言いますと、廻船が高速道路のようなものであった時代、和歌山県がダメだったかというと、決してそんなことはありません。
 次に、田舎なんか道路を造ってもしょうがないだろうと言う人もいますね。これはちょっと待ってくださいと。まず第一に、さっき言ったように、道路がなければ、繋がっていなければチャンスがそもそもない。高速道路を造る際には、開通したらこのくらいの交通量があるだろうと推計します。そして、このくらいの交通量に対して、いくらくらいの費用がかかるから、この道路を造るべきかというB/C(費用対効果)とかコストバイベネフィット計算というのですけれども、利益とそれから費用分析ですね。しかし、現在の交通量で計ったら、道のついていないところの交通量は少ないに決まっています。都会の交通量は多いに決まっています。多いところに将来便益があるだろうと言って道路を造るから、都会ばかり道路を造るということになるんです。
 田舎、あえて言うと和歌山県は田舎です。そういうところでは、交通量の少ない地域では、開通した後の実績の方が大きくなるのです。道ができると、車が来る。車が来ると次の展開がある。土産物で一発勝負しようかとか、あるいは繋がっているんだったら魚を早く運んでやろうだとか、工場立地で頑張ろうかとか、次の展開を我々は考えます。初めからおまえとこ田舎やろうと決め付けられるのは我慢できない、というふうに私は思うのです。
 これから、たぶん道路が必要かどうかという議論が出てくると私は思います。値下げだけの話ではなくて、どこに道路をどうやって造るべきか、無駄が多いかどうか、こういう議論になると思います。そのときに田舎が切り捨てられないように、田舎だって造ったら我々がチャンスを生かせることになるんです、ということを是非言いたい。それでこういうメッセージを市町村の方とか、産業界の方と色んなことを考えて、地方のチャンスを奪わないでください、というようなことを言っています。東京で大会があって、東国原さんが演台に立って、「私は宮崎県の広告塔だと初め言われましたが、最近は道路の広告塔ではないかとみんなに言われるんです」と言ってみんなを笑わせてましたけれども、彼は、そう言われても真実は語らねばということを言っていました。私も、言うことはちゃんと言わないといけないと思っています。

 この暫定税率の問題を考える根っこのところの議論をちょっとさせていただきます。
 道路特定財源によって、国が3.3兆円、地方が、2.1兆円、全体で5.4兆円の税収があります。その道路特定財源には、本則と暫定があります。租税特別措置法という法律で、期限付きの税金が決められていて、これが、暫定税率と言われるものです。これがずっと続いているのもまた事実です。
 国の税収3.3兆円のうちの、1.6兆円が本則分で、残り1.7兆円が暫定分です。そのうちの0.7兆円は地方道路整備臨時交付金と言いまして、特に和歌山県のような、収入が低いところに重点的に配分されます。これも3月で期限が切れます。
 地方の税収2.1兆円は、本則が1.2兆円で暫定が0.9兆円です。
 暫定税率が無くなるとどうなるかというと、国は1.7兆円が無くなりますが、もともとこのうち0.7兆円は地方道路整備臨時交付金で地方の財源になっていますので、実質的に減る国の歳入は1兆円ということになります。地方は暫定分と臨時交付金とを合わせて1.6兆円が無くなってしまうということになります。
 そうすると、和歌山はどうだということになりますが、和歌山県の道路の全体事業費は764億円です。このお金をどうやって調達しているのかというと、一般財源を234億円投入しています。それから、道路特定財源の本則で57億円、暫定分で42億円、地方道路整備臨時交付金で77億円。そして、一つひとつの県の事業に対して補助金をもらうというものがあって、それを合計すると78億円です。ただ、これでは足りないので地方債を出します。この地方債というのは、国と違って、何か事業をして固定資産を造るような場合でないと出せません。
 暫定税率や臨時交付金が無くなった場合、このうち42億円と77億円の119億円がポンと消えます。「764億円から約120億円だからまあいいか」と、こういうふうに皆さんお考えになると思います。ところが、事業をする場合、もともとの県の自前のお金がないと事業はできません。地方債や補助金だけでは事業ができませんし、まず自分のところの予算からお金を出して、後で地方債にするとか、交付税で国から後でもらうとか、そういうことによって事業ができるんです。
 自前のお金になる暫定税率などの分119億円が無くなった状態で、できるお金を全部を計算しますと、316億円になります。そこから、地方債の償還金227億円と、最低限の道路の維持補修費34億円を引きますと、実は55億円しか残りません。地方債の償還金と維持費を除いて、503億円あった道路整備の投資的な事業が、55億円しかできなくなってしまいます。これはもうどうしようもないということになります。

 それでも、道路のお金はそうだけど、どこか別のところから持ってきたらどうよと皆さんおっしゃると思います。和歌山県が貯金がたくさんあるという状況であれば、ある程度、私はそうすると思います。けれども和歌山県の財政は、貯金(財政調整基金)を食いながらこのところきています。今年度、すなわち去年の4月に、151億円の貯金を遣う予算を私は作りました。これで残りの貯金は191億円です。これはダメに決まってます。なぜならば、この次に同じことをすれば、平成20年度は持つけれど、平成21年度はパンクです。ここで破局になります。したがって、破局にならないように、経営者としてはその仕組みを考えないといけない。
 和歌山県はそういう事態です。ここ(貯金・・財政調整基金)から、119億円なんかどうやって生み出せるのかというふうに皆さんもお思いになりませんか。ここ(財政調整基金)からは出せません。そうすると、どこかから出さないといけないとなります。そうなると、次は福祉も切らないといけない。でも、そんなことはできないと思っているので、ついつい言葉がきつくなります。そういう事態です。

 そうすると、県内の道路整備は本当に必要なのかという議論になります。これをどうしたかというと、道路懇談会を作って議論をして2つのメッセージを作りました。「道路はチャンスを保障するものだ」、「選択と集中が必要だ」。そして、それを元に県版の道路整備中期計画を作りました。
 これによる試算では、今後10年間で19年分の予算が必要だということになりました。 これは、どんなふうに考えてそうなったかと言いますと、高速道路はやはり造ってもらわないといけない。京奈和自動車道と紀伊半島一周高速道路は造ってもらわなければいけない。その負担金ももちろん出さないといけない。それでも10年以上かかりますから、その間は、X軸のネットワーク(高速道路を補完する内陸部骨格道路)で主要道路を結ばなければけない。まだやれていないところもあるので、改修しないといけない。それから、府県間道路も造らねばいけない。大関西圏と和歌山が結びつかないと、我々は孤立してしまうから、府県間道路は造らないといけない。それから、残りの道はできるだけ節約をしながら造ろう。今もうできあがる寸前になっている道路は造るけれど、新しい道路はできるだけやめよう。それから、高速道路ができた瞬間に繋がっていないといけないから、60分ぐらいで行けるようなところを全県的に整備していこう。そういうことをガンガンやって、それでも10年間で従来の19年分の予算が必要なのです。これが和歌山県の現状です。
 暫定税率の問題を最終的にどう考えたらいいか。それをこれから議論したいと思います。
 日本のガソリン価格は高い?実は私ももう少し高いと思っていたんですけれど、最近では、ヨーロッパ、それから韓国なんかも、環境のことを配慮してここからお金をたくさん取ろうという流れになっています。日本を155円台とすると、日本の価格はアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに続いて、安い方から6番目(OECD加盟国中)に今あります。OECD諸国の中では(30カ国中)23カ国ぐらい日本より高いところがあるということが現状です。
 私は何も高いから、あるいは日本が相対的に安いからいいじゃないかとは決して言いません。これは安い方がいいに決まっています。だけどこの問題を解決するには、基本的には国際的なマーケットにどう順応していくかということを考えるしかないと思います。なぜならば、物価が上がったときに消費税を下げるか、そんなことを誰か発想するかと言ったら、誰もそんなことを発想する人はいません。だから本当は税の理論から考えれば、物価が上がったり下がったりするときに税金を小さくしたり上げたりするというのはちょっと間違った政策だと思います。
 ただ、原油高騰対策として、県では昨年(平成19年)の12月に他県に先駆けて対応を考えました。それは、自由経済と言いますかマーケットで決まる価格ですから無理なことはできないし、財源も限られているんですけれども、相談窓口を作りました。中小企業向けの融資の支援対象も広げました。これまでは売上げが減少して、それで経営がおかしくなったときはお金を貸しますという制度はありましたが、コストが上がって経営がおかしくなるというような場合の制度がなかったんです。制度を急いで作りまして、それで今、受付を開始しているところです。その他、国の制度もありますからそれも利用しながらやろうと。これは何かと言いますと、灯油が買えないで犠牲者が出たら大変ですから、県からお願いして民生委員の方々などにケアを今まで以上に注意深くやっていただいています。それから公共工事に関しても、鉄やプラスチックなども(価格が)上がっていますから、その資材の単価を見直す期間を短縮することによって、実勢価格に合わせているということです。
 もちろんこれで全てが救われるわけじゃないと思っていますが、原油価格が上がってもどうでもいいのかとか、ガソリン価格が上がってもどうでもいいのかと言われたら、それは違うと私はいつも思っています。
 暫定税率が無くなることに賛成の人には、大きく分けると4つの考えの人があると思っています。
 「暫定税率が無くなると道路が造れなくなるんですよ」ということは、今申し上げたとおりですが、まず「え、知らなかった」という方。そういう方が以前はたくさんおられたと思いますが、今はだんだん減ってきたかなと思っています。
 次は、「道路は、国や県や市町村が何とかしてくれらよ」、「値下げはとにかくしてもらおらよ。で、後は県とかで何とかつじつま合わせてもらって、それで両方とも得じゃないか」とこう言う方。先ほどから説明してきましたように、県の方は全く何ともなりません。だからこうやってワイワイ言ってるわけです。
 それから次は、「道路より今のお金だ」という方、それから「道路がなくてもあんまり関係ないわ」と言っておられる方もおられると思います。そういう方には、「和歌山県の歴史とかそういうことから考えると、高速道路がないから我々は大いに損をしていませんか、それから道路が繋がらないとこんな弊害が出てきていませんか、あんまり関係ないことないですよ」と言いたい。
 それから4番目は、「道路はいらない。あんた偉そうなこと言うけどもういいんや。自分は子供や孫もどっかに行ってしまったし、ここで生を終えればいいんだから、チャンスなんかもうなくていい。ただ、やっぱり月に何百円か何千円か助かるんだったらその方がいいんやけどなぁ」と思っておられる方。こういう方には論理的に説得することはできません。これは人生観の問題です。だけど論理的には説得できないけれども、「まぁそう言わないで、和歌山県をせっかく元気にしようとみんなで言っているので仲間になってくださいよ」とそういうふうに言いたいな、というのが私の考えでございます。

 ということで結論を申しますと、道路の問題はこれほど大事な和歌山県を元気にするために大事な要素です。大事な要素であるが故に、みんなで色んなことを考えて、やっぱり値下げも大事だけれども、こういうこともあるなというようなことをみんなで考えていただきたい。そういうことで、今日はどんどん反論していただいて、あるいは意見を言っていただいて、みんなでもっともっと勉強を深めたいと思います。

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