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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

森林環境保全による地球環境保護を考えるシンポジウム

2008年2月5日 日本経団連会館/東京都

 ご出席の皆様、大久保社長(積水化学工業株式会社代表取締役)はじめ経団連の皆様、日経BPの方々、宮林先生(東京農業大学教授)にはお世話になり、和歌山県民を代表してお礼を申し上げます。
 この経団連ホールで講演をさせていただくのは初めてで、大変光栄なことに思います。
 本日は、「企業の森」という興味深いプロジェクトをご紹介させていただきます。
 今日こうしてお願いをするきっかけとなったのは、大久保社長との関係もありますが、私がブルネイ大使の時に、一番最初に日本からお越しいただいたのが、大久保社長率いる経団連自然保護協議会の方々だったことです。
 本日の趣旨とは違いますが、スリロン島というマングローブの島があって、そこに全員で視察に来られ、それ以来、自然環境問題についてもご相談申し上げていて、和歌山に「企業の森」というのがあるので是非経団連の方々にもPRをしたいと申し上げたら、まずは行ってあげようということで、昨年7月、大久保社長と自然保護委員会の方々が和歌山にお見えになりました。
 先ほど、積水化学のコンセプトは森と水だと大久保社長がおっしゃいましたが、なるほどと思いました。森を見に来られたときに大雨が降り、二人ともびしょびしょになり、水がやはりコンセプトだから雨も降ったのかなあということでありました。
 先ほども話があったように、積水化学工業に新たに「企業の森」に加わっていただきます。今全体で、交渉中の企業も含めて、40社に少し足りないぐらいの企業の方に参加していただいております。
 私も森歩きが大好き人間で、蝶々を獲っています。人工林ではなく、天然林や、陽が良く射すところによく出かけます。ブルネイでも、日本人の最奥地制覇記録は少なくとも持っているのではないでしょうか。そういう人間ですが、和歌山の森は、私が子どもの頃はあまり好きではありませんでした。何故かというと、高度成長期にかなりの勢いで和歌山の森林が伐採されました。その前は大変おもしろい森で、例えば信州の高標高にあるような植物が和歌山では海岸のあたりに生えているとか、海岸にあって然るべき、例えばウバメガシのような木がかなり高標高の1000mぐらいのところに純林になって残っているとか、大変おもしろいいろんなものが混じっている森でありました。以前の和歌山本来の森は、光も入るが、みずみずしくてすばらしい森だったと思います。
 ただこの森を、和歌山県は、先ほど宮林先生のお話もあったように、かなり切ってしまい、和歌山の林業家は立派だったので、そのあとにきちっと植えた。植えてその後、林業家にとって苦難の時代がきた。この苦難の時代に、和歌山県は民有林の比率が大変高いので、皆さん経営をしていかなければいけませんでした。どんどん切った時に、和歌山県の林業家は再生産を考え、社会奉仕も考えてくれました。例えば、日本育英会よりも古い奨学資金を出しているような林業家の方も和歌山にはたくさんいて、和歌山の立派な文化の担い手です。
 しかし、採算が合わないと民間では事業にならないのですが、やればやるほど赤字になるので、林業は下火になっている。その結果、上からみると、ものすごい林です。特に黒々とした針葉樹の林が続いている。ただし、その中に入ると、宮林先生の先ほどの写真にあったように、非常に暗く、細い杉や檜が密集した林になっている。それでは生育も十分ではないし、環境問題にもあまりよろしくない。林業従事者もどんどん減ってくる。そういうことになると、これはいけないということで、林業を再生してそのみずみずしさが循環するような森を和歌山に造りたいと考えています。
 和歌山の林業の厳しい現状を、どういうふうに何とかしていくかということで、我々はいろんなことを考えました。一つ考えたのは、前任の知事が「緑の雇用」というものを始めたことです。これは都会の人に和歌山に来ていただいて、林業従事者として再教育していくというような事業です。
 ただこの人たちも、和歌山に折角来てくれても次の仕事がないと生きていけないので、私に課せられた仕事は、森林・林業の復興だと思っています。ようやく、七転八倒の苦しみでしたが、少し目途が付きつつあります。
 この度、紀州材の生産販売プランを発表して、何とか多少の補助金をつぎ込みながらも、この森林・林業を維持して、緑の雇用で来られた人たちにそこで働いてもらえる回転を作っていこうということに着手しています。ポイントは、間伐材の利用と低コスト林業であります。今日の主題ではないのでこれは省きますが、その時に私たちが頼りにするのは、そのつなぎとして、森林・林業が本格的に和歌山に再興されるまでの間、是非企業の方々に「企業の森」という活動を通じて助けてもらえないかということであります。
 「企業の森」の意義を私なりに考えると、都市生活者に田舎暮らしを体験していただくことができるということです。そろそろ森の中でたまには過ごしたいという方が沢山いらっしゃると思うので、企業の活動として是非田舎暮らしを皆さんに味わっていただきたい。
 もう一つは、企業の環境貢献で和歌山の森林が、実は外から見るほど良くない。中身は死の森かもしれない。それを、企業の活動を通じて本来のみずみずしい森に戻してもらいたいという意味で、環境貢献をしていただけないでしょうか。
 それから、今弱っている森林・林業を助けていただくことによって、和歌山でこれから山で働こうと思っていた人たちにも雇用の機会を提供していただきたい。
 最後に、なんと言っても地球環境問題です。一番我々に必要なのはCO2の吸収源を確保することであるとすれば、それこそ最も相応しいのは森林の造成ではないかと思っております。
 現在、どんどん増えていて多くの企業が参加してくださっています。
 和歌山県ではどこに行っても適地があるので、いろんな企業に活動していただいております。
 「企業の森」の仕組みを説明すると、まず企業と市町村、県との間で森林保全管理協定を結んで、「企業の森」に参加しますということです。それで、企業は森林所有者から土地を借りていただき、土地無償貸付契約を結んでいただく。企業の方も植えることができますが、普段は企業の方がそこで管理するということは無理なので、森林組合と植栽・森林保全委託契約を結んでいただいて、企業の一番望ましい時に来られて草刈りや植え付けとかをされることになります。それ以外の時は森林組合がみてくれます。
 この一連の契約を結んでいただいて、企業が活動していただくということになります。
 したがって、森林組合にいくらかのお金を払っていただくのと、何十年か経って森林が大きくなった時は、森林所有者にそのまま返していただくということになります。
 いろいろな意義がありますが、まず都市生活者の田舎暮らし体験からすると、レクリエーションもそうですし、ボランティア活動もしたい、ほんまもん体験の田舎暮らし、地元の人たちとの交流もできます。みんな大歓迎で、お弁当なども作ってくれたりもします。それから環境貢献というのもお願いできるのではないでしょうか。民泊もできるし、温泉もあるし、お祭りに参加してもらったらもっといいと思っております。
 企業の環境貢献としては、先ほど言いましたように、一見ものすごく立派に見える森が実は中で荒れているというものを、立派なみずみずしい森に再生いただくというのは、企業の力でやっていただけるのではないかと思っています。
 更に、林業雇用という意味で、先ほど言ったように「緑の雇用」の方々、或いは山の人たち、こういう人たちに森の管理を委託することによって、いくらかのお金を払っていただいて、山村後継者の育成を、いつか和歌山の森林・林業が自立できるような時まで皆さんに助けていただくことができるのではないかと思っています。
 CO2に関しては、昨年からどれぐらい企業のこの活動によってCO2を吸収していただいたかということを計算して、「認定書」と檜の「木製認証プレート」を差し上げることにしております。
 それで、どんなところに候補地があるのかと言うと、県内には候補地が沢山あるのでどこでも歓迎いたします。
 和歌山に活動に行っていただき、いろんな楽しみをしていただいたらいいのではないでしょうか。
 対象の地域は、世界遺産、高野熊野の「紀伊山地の霊場と参詣道」に近いような地域にいろんな森林があり、そういうところで植栽作業などをやられるとともに、少し歩いていただいたり、或いはリピーターで行かれて周りの山々を歩かれたり、自分の企業の山はあそこだというのを、峠の方から観ていただいたり、そういういろんなことができるのではないかと思います。
 和歌山は、そのほかにも楽しいところが沢山ありますので、そういうところを観ていただきながらお楽しみいただければいかがでしょうか。
 最後に、和歌山はほかにも幾つかおもしろいことをやっています。一つは「ほんまもん体験観光」です。パンフレットのイラストのほんわかとしたおじさんは、「ほんま もんぞう」と言いますが、この「ほんま もんぞう」さんが招いているものです。山や海やいろんなところで、例えば魚を獲ったり、藍染めをしたり、炭を焼いたりといったことを2泊3日とか3泊4日でいろんな体験観光ができます。これを県がまとめてPRしています。
 これが結構流行っていて、一番新しいデータで、一昨年ですが、26万人の方々がこれだけで和歌山にお見えになっていて、みんなそれぞれお楽しみをいただいています。
 さらに、そこから進んで、和歌山に住みついてあげようかというような方も出てきています。和歌山はあまり人工的なことは、これに関してはしません。山の中で、或いは農村で、みんなとともに過ごしていただくというのが一番良いやり方だと思っているからです。
 例えば、大規模な別荘地を造って、ここにあなたがただけの住まいを造ったからというのはあまりやりたくないと思っています。
 このやり方でやっていますが、重点地域を決めて、そこには既に都会から移住された方や元々お住まいの村人の方々が協議会という形のコミュニティを作っていて、新しく来た人に良いことも悪いこともみんな教えてくれます。それで納得されてお住まいになっているという方が、そんなに人数は多くないですが、毎年100人弱ぐらいあると思います。これについては、ホームページのヒット数が宮崎県に次いで多いそうです。
 こういうふうに、和歌山は田舎ではありますが、田舎なりにこれからは暖かく過ごしていきたいと思います。
 その中でも一番核になるのは、和歌山の持っている最大の資源である森林ですが、この森林が今ちょっと元気がない。しかしこれからは森林はきっと復活すると思います。何故なら、私はボルネオ島におりましたが、ブルネイなどの一部、国立公園などを除くと、殆どハゲ山に近くなりつつあるというのが南洋の島の現状ではないでしょうか。
 また北洋材もそんなにままならない、相対価格もだんだん変わってきている。中国やインドという大需要がどんどん勃興している。
 和歌山の林業も、再興の日はそう遠くないと思っています。ただ、現在は独り立ちができないので、企業の方々に是非お助けいただいて、もちろん独り立ちをした後でも、企業の方と一緒に楽しく過ごしたいと、私たちが思っていることをお伝え申し上げ、是非皆さんご検討いただくようお願い申し上げます。

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