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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

関西経済連合会知事講演

2007年10月15日 関西経済連合会大会議室/大阪府

 紹介をいただきました仁坂でございます。
 本日はかくも大勢の関西を代表される企業の方々にお集まりいただきまして、和歌山県を代表して心から感謝申し上げます。
 それから、こういう催しをするということについてご協力をいただきました関経連の皆様には、本当に心からお礼を申し上げたいと思います。今日は40分、時間をいただきましたけども、20分くらいで終わりまして、皆様から何かご質問があったり感想を問われたり、いろんなことを言われるような気もしますので、少し時間を空けておいて状況を見ながらやらせていただきたいと思っています。

 和歌山県のこの「『企業の森』のすすめ」というパンフレットを元にして、あるいは同じものがここに出ますが、それでもってこれからご説明をさせていただきます。この「すすめ」というところに、我々の万感の思いが込められておりまして、どうぞ皆様よろしくお願い申し上げます。

 まず、和歌山県は県土の77%ぐらい、約36万haが森林であります。もともと木の国でありまして、温暖多雨な気候条件、それから昔から特に常緑広葉樹を中心とするような多種多様な木々が和歌山の森に埋まっておりました。全国でも有数の蓄積量が、昔もそうだし、今でもそうだと思っています。例えばヒノキをとりますと、和歌山県のヒノキの蓄積量は日本一であります。スギもそうかなと思ったら、スギは他の県もたくさんあるらしく、実は僅差ですが15位であります。

 和歌山県の77%が森林であると申し上げましたが、和歌山県は昔から林業が盛んなところで、逆に言うと、ほとんどが民有林で、そのうちの人工林が61%、天然林が38%ぐらいであります。6:4で人工林が多くなっている。
 これはどういうことでそうなったかと言いますと、特に戦後、かなりの勢いで林業が盛んになって、逆に言うと、今までの天然林も含めてどんどんと伐採をして、当時は林業に力があったものですから、新しい資源もまた造ろうということで、ほとんど全部といっていいくらい、きちんと植林をしました。従って、和歌山の山は、完全にハゲ山とか何もないとかそういうところは殆どないといってもいいと思います。

 関西空港に東京の方から飛んでくると、和歌山の山の上をグルッと回ってきます。その時に下を見ると、非常に緑豊かな山々がずーっと繋がっていて、これはなんと言うことかというくらいの状況であります。
 ところが中に入ると、実は非常に暗い林で、スギ、ヒノキの純林みたいになっていて、しかも間伐が進んでいないので、それがなかなか大きくならない、ひょろひょろひょろっとして栄養失調みたいな木がいっぱい密に生えているというのが、和歌山県の、すべてではありませんが、一つの問題として指摘されるところであります。

 じゃあどうしてそういうことになったかということですが、林業が大変厳しい現状にある。一つは木材価格がどんどん低下しました。安い輸入材が入ってきました。それから社会構造が変化して、従来みたいに、無垢の木を使わなければ家が建たないということでなくなってしまった。

 それからどっちが原因がわかりませんが、山村が過疎化し、高齢化して、従来のように力のある山林従事者が減ってきた。それで今言いましたような荒廃森林が増大して、外から見ると立派な林に見えるけれども、中に行くと成長の悪い林があって、これだとずーっと置いておいてもなかなか売れない。本当は長く置いておけば太って、ある時期になったらまた切って、また次植えて、というような循環ができるのであればいいが、価格が安いというのと、今言ったように、なかなか人手なんかもうまくいかなくて、それが手入れができない状態で放ったらかされているということになる訳であります。
 これを何とかしなきゃいかんということで考えたのが、我々の森林・林業行政であります。和歌山県の森林について、ここに出ておりますような形になっているということを今申し上げたところですが、この残っているスギ、ヒノキはどういうものかというと、いわゆる「紀州材」と言われまして、自分で言うのも変ですが、全国的には割合評価の高い木であります。林業が盛んであった時に、もちろん関西もそうですけれども、丸太で挽いて、東京の市場なんかでもどんどん売れて、紀州材の床柱とか、そういうものは割合有名でした。緻密な構造になっていて強度が高いというのが紀州材の特色でした。従ってそれを今でも大事にしながら、衰えたりといえども頑張っている林業家とか製材所もある訳です。

 ところが、そういうところは我々として頑張っているんだけれども、さきほど言いましたひょろひょろっとした木々をきちんと手入れをして次の時代に林業資源を確保するというところまでなかなかいかない。じゃあどうしたらいいかというと、やることは二つしかありません。

 一つは、低コスト林業を我が和歌山県で何とか定着させること。従来は、林業に大変な保護をしている訳ですけれども、保護と言いますと、大きな林道をどかんと造るとかかなり派手なことをやっていました。ところがその林道がついても、そのそばで必ずしも林業家が間伐材を切るというようなところまでいっていない。そうするとどうしたらいいかと言うと、そんなどーんとした林道なんて別にいらないのだから、作業道みたいなものを造ったり、あるいは若干お年寄りでもちゃんと木々を運び出せるような、それをしかも低コストでできるような生産体系を作りあげて、それを残った林業家に普及させて、何とか低コストで下まで運べるというようなことをやっていこうじゃないかと、特に間伐材も含めてそういうことができるようにやっていこうじゃないかと。そういうことが一つの目標です。

 もう一つは、間伐材というところに着目して言うと、木材需要が間伐材のところでなかなか発生しない。例えば、山から運び出すにはある程度コストがかかります。もちろん切るときもコストがかかります。切って運び出すというコストを間伐材ではなかなか吸収できません。例えばチップにして卸そうとしても、チップにする工場まで持ってくるのが逆有償みたいな形でないとビジネスにならない。ということになると、なかなか馬鹿馬鹿しくて林業家も体力がありませんからそれができない。できないとなかなか木が太らないという悪循環になっている訳です。従って例えば集成材、和歌山の林業に我々は誇りを持っていますから、床柱でがんばろうと思っておったんだけども、プレハブ住宅なんか見ると殆ど集成材の塊ですよね。その集成材を和歌山がちゃんとできるようにするというのも一つだし、あるいはバイオマスの原料としてこれを利用して、何とか電力を商業ベースに近いくらいの形で取れないのかとか、あるいはいろんな林産加工物を作って売れないかとか、ありとあらゆることを七転八倒してやっとるというのが和歌山の現状であります。

 ただ、残念ながら今は我々が誇ることができるようなところまでいっていない。しからば、どうしようかということで、実は皆さんにお願いをして、この「企業の森」という事業で何とか助けていただけないかということを申し上げたくて今日まかり越した次第です。

 森林のもつ機能、これはよく森林の多面的機能とか言われます。再生可能な資源である木材ですから、石油のように、人類の歴史を考えると使ってしまったら終わりというものではないと。山に木が埋まってるということで、どれほど災害が防止されたり、あるいは洪水が止まったりということがあるかというようなことも考えないといけない。

 それから、山の緑というのは、大阪のような都会人を含め、我々の心の故郷であります。そうすると保養・レクリエーションの場としてもう一度見直すべきなんであろうと思います。

 それから生物の多様性の現場であるということだろうと思います。スギ、ヒノキの純林になってしまうとなかなか十分ではありませんが、そういう生物多様性の現場として森林は見直されるべきかもしれません。

 最後に、地球環境問題に対する決め手の一つとして、森林というのがもう一度脚光を浴びていると思っています。二酸化炭素の吸収機能がある。いったん木を切っても空中に必ずしもCO2が瞬時に出て行くわけではない。それが循環的な資源になって、木の中に蓄積されるCO2ができていけば、地球にとってはプラスの方向への貯金ができる訳で、そういうことが是非見直されるべきではないかというふうに思います。

 そういうような森を守り、それから和歌山県としてなかなか辛いところを皆さんにお助けいただくために、「企業の森」というのを、ピンチヒッターというよりもDH(指名打者)としてお願いをしたいと我々は思っている次第であります。

 4つぐらい私たちはセールスポイントを持っております。これは我々が考えたセールスポイントでありますので、皆さんにとっては負担になるようなものかもしれません。 しかし、敢えて申し上げたいと思います。

 一つは、都会生活者の田舎暮らし体験。それから企業の環境貢献。つまりこれは名前が空想かもしれませんが、森林を保全するという意味で企業が何とか助けていただけませんかと、それは環境を守るということに役立つのでありませんかということです。それから、林業従事者の就労確保にはこれはものすごく機能しますので、是非将来の山を守ることも含めてお願いをしたいと思う訳です。それから地球環境という大きな視野で考えた時も、森林を増やすということを、森林の中にCO2を蓄積するという営みを皆様にやっていただくということでありますので、是非お願いをしたいと、この4つの大きな目標があると考えています。

 現在30の企業、あるいは労働組合、あるいは産業別の組合、こういう方々がこの「企業の森」活動に和歌山県で従事していただいているということであります。
 どういうものかと言いますと、次のページに30社があります。どこでやっているかというと、次のところでやっていただいておりまして、和歌山県全域が正に候補地といってもいいと思っております。

 それでどうやってやるかということですが、「企業の森」の仕組みというところに、企業、市町村、県の森林保全・管理協定と、これは私どもが入って、それから当該市町村の市長さん、町長さんと企業の方々で森林保全・管理協定というのを結んでもらいます。これは基本的には今から申し上げます枠組みについて合意をするということであります。

 それから、森林所有者と企業の土地無償貸付契約を結んでいただくと。所有者は企業に対して土地は無償で提供します。「どうぞ」ということです。その代わり、10年たった時木が生えてきますが、俺のもんだといわないでそのまま所有者に返していただくということであります。もちろんそれは延長してもかまわないと思います。

 それから、企業と森林組合の植栽森林保全委託契約ということなんですが、企業の方々はここに例えば土地を借りて、山の斜面になると思いますが、そこにいろいろお植えになる。ところが企業の方はお忙しい。そんなに毎日そこで草刈りをできません。従って、地元の森林組合との間で、下草は当分刈ってくれよとか鹿の害は防いでちょうだいねとか、そういうことをいろいろ頼む訳です。大きくなってくると、あるところまで下枝は打っといてくださいねとか、今度企業の人が行くからそのためにある程度残しておいてねとか、そういうプロに管理をしてもらうということを契約で結びます。これは森林組合の人たちの雇用にもなる訳であります。

 「企業の森」4つの意義を申し上げましたが、もう一度おさらいをさせていただきたいと思います。

 第1の都市生活者の田舎暮らし体験であります。まずこれはレクリエーションになると思います。都会のこういう生活の中で一生懸命仕事をしておられる人が山の中に行って、汗をかいて山の斜面を上がって、掘って、植えて、あるいは下枝を打って、そういうことだけで、ちょっとしたレクリエーションになるのではないかな。
 それからボランティア活動として最も好適な対象だと思います。
 それからほんまもん体験とありますが、これは和歌山県がこういう田舎暮らしをして遊びませんかという一種の観光プロモーションをしています。これで、例えば植え付けのほんまもん体験とか。「ほんまもん」て昔テレビでありましたね。田舎暮らしをしている人たちの。NHKの朝のドラマのタイトルがほんまもんなんです。和歌山県はほんまもんというのが大好きなので、こういうことを使っているのですが、要するに田舎暮らし体験です。その観光で地元の人たちとプログラムを作って、それをいろんなところにまいて宣伝をしています。去年はこのほんまもん田舎暮らし体験観光で26万人の人たちが和歌山にお見えになりました。これはわざわざお金を払ってこのために来られる人がそれだけいるということなんです。したがってこの「企業の森」では、このほんまもん体験の最もいいところが、別に新たに追加費用がなくてもできるということではないかと私たちは思っています。つまり都市の人たちが求めているということなんじゃないかなということであります。

 それから、地元の人たちとの交流。これもほんまもん体験の一つのメリットなんですけれども、後で松下電工さんからお話があると思いますけれども、地元の人も大喜びで、一緒に遊ぼうかとかお弁当を作って一緒に食べようかとか、そういうような話が続々と出てきます。これもいい話ではないのかというふうに私たちは思っています。

 それから企業の環境貢献、荒廃森林の保全。左側の図は元々熊野あるいは紀伊山地にあった森林です。これそのものをこの活動によって戻せるかというとよくわかりませんが、いろんな木を植えます。針葉樹の純林にする訳ではありません。従ってこれに近いような森が復活していくだろうと私たちは思っています。特に広葉樹等の植栽、保育による森林再生ができていけば、今まで純林であったスギ、ヒノキの林の一角にこういう広葉樹の林ができていって、それで全体として和歌山の紀伊山地の環境というのがだんだんと元に近づいていくんじゃないかなあと思っています。そのお手伝いをまさに企業の方がしていただくということであります。

 それから林業従事者の就業確保ですけれども、森林組合に森の管理を委託していただきます。実は、緑の雇用という事業があります。これは和歌山県が数年前に提唱して作った事業です。数年前というとまだ日本は大不況でした。大阪でも働く場所がなくて困っているという人が沢山いた。そういう人たちに農林水産省の補助金で山の従事者として、つまり緑の雇用の担い手として田舎に行って、林業従事者として一人前になるための研修をやってみようじゃないかと。そのために結構巨額のお金を国からいただいて、和歌山県をはじめいろんなところでこの緑の雇用というのをやっています。和歌山県は2百数十名来ていただいて、家族まで含めると300人から一時500人の多くの方が定着してくれた。非常に高学歴な人とかいろんな人がいらっしゃいます。若い人もいらっしゃいます。

 ところが、ただでさえ林業従事者の雇用が難しくなっている。そこへこういう方に来ていただいて、訓練期間中は国が補助金を出してくれる。県も出してますからいいんですが、この人たちを何とか山の中に定着できるようにしてさしあげたいと私たちは本当に思っています。あれだけ志を高くして来てくれたのですが、残念ながらその時の政策の設計は、緑の雇用で訓練はするけれども、恒久的にこういう仕事でここに定着させるというところまで設計ができていない。これだと仕事がなくなったら仕方ないから帰らないといけない。こんなことになったら、私はそのときいませんでしたが、和歌山県としては本当に申し訳ないと思うわけであります。従って森林組合を通じて、そういう方々の仕事も作ってさしあげて、それでその森林の管理をしてもらって、企業と一緒に生きてもらうということができないものかと、そういうことを思っている次第なんであります。

 それからCO2吸収であります。これはもう皆さん一番関心の高い環境問題だと思っています。和歌山県では、「企業の森」に参加してくださった企業に対して100年このまま森を持ち続けていただくと、これだけ二酸化炭素を吸収してくださることになりますよという計算をして、ヒノキの板にあなたの「企業の森」から何トン吸収源として定着させてくれてますよという認定証を発行いたしまして、それで企業の方に差し上げています。

 まだまだ地球環境問題が、例えばキャップ付きの規制が入るということが良いか悪いかなんて議論しているわけですから、これがそのまま取引の材料になるかどうかわかりません。だけども、少なくともCDM(Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム/「京都議定書」で規定された、温室効果ガスの削減目標を達成するために導入された「柔軟性措置(京都メカニズム)」の一つ)とか、あるいは先進国同士のCO2の取引とか、そういうこととほとんど同じような意味は我々として持たせることはできるだろうというふうに思っています。従って、この企業の活動から、あなたはCO2を何トン定着させてくれたんですということを、和歌山県は一定の方式によって公正に計算をして交付するということにしています。27企業、これは最近3団体増えたものですから、その前の27企業ですが、41,800トンCO2吸収量を達成してくれているということが分かっております。

 次のページは「企業の森」の候補地であります。候補地は何もこれだけに限りません。もっといくらでもあります。県内どこでもできます。しかし、今のところ森林組合などと相談をして、ここどうですかと我々として一種のお店に並べているところがこういうふうにいろいろあります。いやいやあそこじゃなくて、その隣のもっと広大なところということであればいくらでも相談に乗らせていただきます。そいうようなところがこれだけありますのでご検討くださいということであります。

 なお、先ほどの地域の近くにじゃあ何があるのかと。例えば企業の人たちが一種のボランティア活動として大阪からバスで行っていただいて、植えるだけだと汗もかくよなあと。温泉はいっぱいあります。それから最後にちょっとお参りをしてということであれば、世界遺産・高野熊野のここは里であります。ちょっと最後に歩いて帰ろうかというようなこともまた可能であります。和歌山市にちょっと寄っていただければ、天下の名城、残念ながらコンクリート造りではありますが、姿、形は昔のままの和歌山城があります。それからマリーナシティのテーマパークの、大阪の方が沢山お見えになるのですが、そういうところもあります。それから例えば、名刹とかきれいな海岸線とかたくさんの温泉。日本三美人の湯・龍神温泉、これは松下電工さんの「ながきの森」に近いのですが、そういうものもあります。美人になるかどうかは現地に行って判断をしていただきたいと思います。

 それからパンダ8頭。中国を除くとパンダというのは世界に30頭いるのですが、8頭が白浜にいます。もうすぐ2頭返しますので6頭になります。8頭のうち6頭は和歌山県で生まれたのであります。中国とブリーディング(改良育種を意図した繁殖)の協定を結んで繁殖に貢献をしている。その結果8頭いるとこういうことなんであります。これもまだ子どもがおりまして、十分大きくなっていない。それがコロコロお母さんの周りで転がっていてとってもかわいい。こういうのを観て帰るということも、子どもさんなんかお連れになって行かれた時は可能であるということであります。

 我々はCSR(「企業の森」情報誌)の情報誌も作りました。その中は、8割9割がた「企業の森」の関係で満たされております。
 「企業の森」につきまして、もし何らかの意味でご関心がおありであれば、是非お申し込みだけじゃなくてご紹介も含めて、森林整備課の管理指導班にご連絡をいただければ、直ちに担当者がすっ飛んで参りまして皆様にPRをさせていただきたいと思います。
 どうぞそういう「企業の森」に、これは我々としてお願いをしたい。だけど別に無理矢理良からぬ寄付をしてくださいというようなことでお願いをしている訳ではないと信じております。
 そういう「企業の森」にご参加いただいて、企業の方も良いように、我々も良いように、そして自然と地球が良いようになるように是非ご協力をいただきたいと思います。

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