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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

在京和歌山県人会懇談会

平成19年10月5日 虎ノ門パストラル/東京都

 皆さん本当にありがとうございます。こうやって一緒に食卓を囲むことができまして大変光栄でございます。さっき根来大先輩(根来泰周 在京和歌山県人会会長)が「高い席から」とおっしゃいましたが、私こそあの辺に座りたいなあと思うような感じがいたしますけれども、お膳立てをしてくださった方々のお考えでございましょうからここへ座らせていただきます。ありがとうございます。
 私はかねがね思っておるんでございますけれども、和歌山県のご出身の方で、今日並んでおられる方はもちろんのこと、立派な方がせっかくいらっしゃるので、そういう方のいろんなお話をまず聞いてですね、我々の行政にも活かしたいなあと。
 現に多くの方からですね、ものすごく助けていただいているわけでございまして、そういう方のお助けに対してちゃんと報いることはしとるかなあということもまた思うことしきりであります。
 それから和歌山県民にも「こうやって和歌山から輩出された方が、こんなに活躍してんのやぞ」というのをですね、やっぱりもっと検証したいし、沢山知ってもらいたい。それによってまた次の世代に勇気が出てくるんじゃないかと思っておりまして、こういうような所に集まっておられる方々、あるいは和歌山のことを思って下さる人、それから中央官庁から和歌山県に来られてそれで一生懸命尽くして下さった方(現在も沢山いるんですけど一生懸命やってくれてます)、そういう方々がお帰りになった後もですね、「ちゃんと後輩はこうやってまた頑張ってます」ということをやっぱりご報告せないかんなあと。どういうようなやり方でやろうかなあと、今ちょっと考えているところでございまして、もうちょっと皆さんにこちら側のお話もさせていただくというふうに今後していきたいと思っております。従いましてそういうことでございますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは現在やっていることと、それから知事になりました後の感想をですね、いくつか時間の許す限り申し上げたいと思っております。
 まず、五つの公約を掲げました。これはまあ「汚職追放」というか「談合防止」と柔らかい言葉で、それから「働く場所を拡大する」、「安心・安全」、「観光」、最後は「楽しい生活をしましょう」という五つを掲げたんですが、実は正確に分類しますと三つなんです。
 一つめは「きれいな行政をしよう」ということと、二番目は「経済的な利益をもう一回取り戻そう」ということと、三番目は「安心・安全」ということだと実は思っているんです。

 それで順番に申し上げますと、第一番目は沢山の方に助けていただいてかなり制度的な基盤はできたと思います。単に自分自身、あるいは関連の人が「もう悪いことはいたしません」と宣言をして身辺をきれいにするというのが一つありますけれども、それだけじゃやっぱり後でいろんな問題が出てくるかも知れません。従って制度的にきれいに流れ、かつ業界が発展するような制度を作ろうと思いました。
 それで公共調達検討委員会というのを作りまして、郷原さんという検察出身でその分野では第一人者の方を中心に委員会を作って、それで4か月位ものすごく熱心に勉強してもらいました。実は結構意見をぶつけ合いながら委員会に報告してもらいまして、それで6月に「今後こういうふうにしてやっていきます」という発表をしました。一言で言うと「全部一般競争入札にする」ということです。
 それでもう一つ、実は和歌山県は入札に関しては全県一区ではなくて、九つの建設区から成り立ってるんですね。競争は基本的にはその中で行われる。そうするとやっぱり小さい世界の中で固まってしまうのであんまり大きくなれない。それもあんまり面白くなかろうというんで、それもじわじわ膨らませていく。こうやっていくと何かきついことばっかりなんですけれども、しかしながら実は業界の成長も考えながらやらないといけない。一方で、競争入札にして「誰でも入って良いよ」と言って不良業者が入ってくると困る訳ですから、それを排除するために初めから入学試験と格付けをもう一回やり直しますと。ただいまその格付け基準を一般公募にかけておりまして、パッと出して直ぐ意見を聞くんですね。「文句あったら言ってください」ということにして、(来年)6月から完全に実施できると思います。
 それからもう一つは県庁の中の制度を作りました。一つは倫理規定を作ったんですが、これは国家公務員倫理法にあるようなものでございます。それから監察査察監というのを作りました。これは外務省に似たような制度があります。私が外務省に出向していた時には監察査察監という制度ができていて、現職の検事さんが出向でその中心になっておられ、公益通報なんかそこで全部処理しておられて、しかも外務省の職員を率いて悪を正し、それから不効率を正すわけですね。和歌山県でもこの制度を作りました。ただし、県ですから現職の検事さんが出向というのは無理ですから、非常に有能な副検事さんに退職していただいて、それで和歌山県に来ていただいています。
 県庁の人達はですね、「自分達を信用しないのか」とか「嫌な奴だ」とかこういうような感じがあるんですけれども、実はさっきの倫理規定も含めて「ルールさえ守っていれば堂々とやったら良いじゃないか」というようなことでございますので、私は基本的にはこれは県庁の職員を守ることになるのではないかと実は思っているんですけど、まだ体感としてわかってくれているかどうかはわかりません。
 この間とうとう汚職事件が一つ起こりました。その時に実はその上司がですね、(こういうのは密告みたいなのがあるものですから)「お前やっていないか?」と言って確かめてるんですけども、本人に「そんな事は天地神明にかけてありません」と言われたら、やっぱりなかなかそれ以上追及できない。そうすると後になって上司まで巻き込んでしまうことになりかねない訳で、そういうことにならないようにしようと。弁護士の方もいらっしゃいますけども、それを外に置いたらですね、やっぱり徹底的にきれいにするというのはできないと思うんで、中に置いて部隊を一緒に付けてそれできちんとするというようなことをやっております。そういうのができたんでですね、まじめにやっとればちゃんと認められる県政ができるんじゃないかということで、これは大体一段落なんです。

 次に「元気にする、働く場所を増やす」ということでございますが、これは二つ方法があって、一つはその為の条件付けをすることと、もう一つはプロモーションとかそういうので頑張るということがあると思います。木村前知事の時代に補助金の制度を他県並みに頑張って作ってくれました。この誘致の補助金を最大限活用させてもらおうと思っておりますが、企業経営者やいろいろなセンスをよく知っている者として言えば、補助金だけで誘致するなんて大体不可能ですから、「補助金もありますよ」ということを言いながらですね、和歌山が多くの設備投資をするための場所として適合的かどうかを一生懸命PRせないかんと。例えば「関空に近い」とかですね、それから「道がもうじきできますよ」とかですね、「豊富な労働力があります」とかですね、「県庁は絶対裏切りません」とかですね。まあ、そういうようなことをあっちこっちで言いまくっておりまして、なかなかそう大きな効果がないんですが、頑張っていきたいと思っております。
 それから、他にもプロモーションの系統では農産物と観光というのがあります。これはですね、例えば「白浜は東京から日本で二番目に近い温泉地ですよ」とかですね、それから「パンダが8匹いるんですけど」とかですね。そういうような話がどうもちゃんと人々の間に入っていない感じがあると思います。先程の企業立地の話から言っても、例えば関空から30分、走ってみたら実感できますけど、大阪から関空は結構遠いんですね。和歌山から無茶苦茶近いわけです。この感じを本当はもっともっと世の中の人にわかってもらわないといけないんですけど、そういうスピークアウトというか大口を叩く努力をあんまりしていない感じがあるんで、これをおおいにやらないかんのですが、これもそれぞれ農産物の販売と観光のアクションプランを作って今やっておりますが、今日の朝もそれに沿って大田市場(東京都中央卸売市場)で売り込みしてきたんですけど、そういうこともじわじわやっていくしかないなあと思っております。
 もう一つは基盤整備です。和歌山の南の方まで最低限高速道路でちゃんと繋がっていないことは、やっぱり南の方の人にとっては死活問題であると。それから京奈和っていうのもちゃんと繋がってないとですね、「関西の外側の一角であるぞよ」ということをなかなか言えない。やっぱり財政は大変。それはわかるんです。「財政は大変でそろそろ一般財源にしたらどうか」と、これもわかるんですけど、和歌山県の人が生きる権利っていうんですかね、工夫する権利っていいますか、色々観光で生きていくとか農産物を売って生きていくとか、そういうことの基本な条件が今や昔と違って高速道路がそういう条件付けの一番大事な手段じゃないかと。そうすると生存権のチャンスといいますかね、結果としての平等性じゃなくてですね、チャンスとしての平等性も奪われていないかなと、「そういうことだけは何とかしてくれませんか」というようなことをですね、おおいに言わなきゃいかんと思います。
 いろんなハンディキャップがあって、この間テレビをみてムッとしたんですけども、テレビが地デジに完全に切り替わったら和歌山だけ4%の人が見えなくなるんですね。もちろん受像機をちゃんと替えてもですね。和歌山が断然トップで、2位が大体2パーセント位なんです。「こんなんで黙ってられませんよね」って、「国が政策を変えたんだからちゃんと面倒みて下さいよ」と総務省に言いに行くとかですね、そういう企業活動をするための基本的な条件作りをちゃんと役所としてやっておかないといけないのかなと思って頑張っております。

 それから3番目に「安心・安全」でございますけれども、私が就任して一番初めに嫌というほど思い知らされたのが医療の問題でありました。私は知事になる前はですね、(お医者さんはいらっしゃいますけど)「無医村の人は大変やね。だけど田辺とか新宮とかがそこの川沿を支えたらええやん」と甘いことを考えていたんですが、その田辺や新宮が崩壊寸前というのは初めて知りましてですね、客観情勢からすると崩壊寸前だと。詳しくは言いませんけど、それで一人ひとりのお医者さんのことで、知事が自ら「お願いできませんか」とか「このお医者さんをこっちへ回してください」とかですね、そんなことをして崩壊を食い止めてきました。
 和医大は60名しか定員がありませんが、最後は頼りになっているのは和医大しかないんですね。他の医大は全部自分ところが大変だから皆引き上げにかかってますんで、そうすると60人定員ではやっぱり最後にものすごく深刻になるから、お医者さんが増えて医療費が高騰するというのはわからんでもないんですが、80人にせめてしてください。ただし開業医になるとやっぱりそういう問題が起こるから、開業医にならないようなお医者さんとしてやってくださいと。(開業医にならないと)誓う人を多くしようということでですね新しい制度の提案をさせてもらって、それで幸い国が認めてくださることになりまして、和歌山は、他が5人増えるところを、和歌山だけ20人プラス5人で25人増えると。但しみんな条件が付いていて、「地域医療に自ら献身してくれる人」というようなことでやっていこうと思いました。
 おかげさまで医者だけはですね、8年後の医者だけは何とかした。ところが養成まで8年かかりますので、その間さっき言いましたちょっとした奨学金を付けて即戦力を呼んでくるとかですね、あるいはドクターバンクで立派なお医者さんに「ちょっとこっちへ来てくれませんか」と言ったりですね、そういうことをしながら何とか凌いでいくということかなあというふうに思っております。
 それからやっぱり福祉とかそういうところをこれからどういうふうに考えていくかというのも問題ですが、和歌山は特に高齢化比率が高くて、人口減少率が高い。そうすると子どもを増やして高齢者を幸せにするという二つのことを一生懸命やっていかないといけないと思うんですね。だけど一方で今度は財政を見ますとですね、和歌山だけ無茶苦茶悪いわけじゃないんですが、中位ぐらいに悪くて、しかもかつてちょっと調子良くて今調子悪いという状態ですから、財政規模って結構大きいんですね。奈良なんかより実は大きいんです。そういうところにソフトランディング(不況などを招かないように徐々に低下させる経済政策)するシナリオを未だ書けてないんで、これを書いていかないといけない。
 それと和歌山県は長計10年計画というのをこれから作っていくんですけど、その中で夢を語りながらもそれが実現可能でないといけないので、財政の再建とですね、実は木村前知事の時代にものすごく厳しい短期の再建計画をやってるんです。だけどそれだと2年半しかあと持たないんで、これを10年とか20年とか持たせるような計画にしながら、夢もちょっと与えて、しかも8年後は国体なもんですから、国体を賄って全部充たすようなことをこれからひいひい言って考えないかんというのが現状であります。
 まだ一つひとつのことを長く深く考えて「これで大丈夫ですから」というふうな自信のある状態になってないので、少し焦る気持ちもあるんですが、少なくとも目の前に出てきたやつは急いで処理をして、それでまあ凌いでいるというような感じで、凌ぎながらさっき言ったみたいに10年計画、財政再建それから長期的な道路の問題とかそういうことを全部解決しなければいけないというのが現状の課題です。

 それから、ちょっと長くなりましたが印象を申し上げますと、私は自分が故郷を出たとき(その後しょっちゅう里帰りはしておりますが)、その時の雰囲気と和歌山がどこがどう変わったかというようなことを思うところがありました。
 一つはですね、「企業を呼んでこい」と99%ぐらいの人が言うておることは、ちょっと驚きでした。昔はもっと自信があってですね、「自分達で賄えるよ」と、「濱口さん(ヤマサ醤油)ところみたいな和歌山にゆかりのある企業だったらまあ来てもらったらいいけどさ。よそもんなんていらないよ」という感じが(私の家も中小企業でしたが)、あったと思うんですが、もう全然ありません。とにかく「何でもいいから連れてこい。お前は経済産業省やから連れてこれるやろう」とまあこんな感じでありました。そんなに簡単なもんじゃあないんですけど、それが第1点目。まあいかにやっぱりこの30年ぐらいにですね、経済的に徐々に遅れてきたことに対して皆さんが自覚されている。「それじゃあいかん」ということを皆さん思っておられるということがよくわかったなあという感じがしました。
 二つ目はですね、ちょっと経済的な関係で言うとビジネスモデルが2極化しているなあと。一つはですね、現在、特に製造業で土着の企業が随分成長しておられるわけです。例えば島精機とかノーリツ鋼機とか、化学産業って元々ありましたけど、あれは完全に構造改革を自社でしておられて、元は染料を作っておられる会社だったのが、今や樹脂かなんかで世界のシェア何パーセントとかものすごくいいのがあるんですね、細い分野ですけど。ニッチ企業として世界一になっているようなところが沢山ある。こういうところを全部入れて結構伸びている企業がある。もう一つのビジネスモデルはやっぱり談合モデルというか、見返りモデルだったような気がするんですね。これをやってると、ゼロサムにしか当然世の中ならないんで、そういう意味でそれの元になるような知事としての自分の身だしなみとかですね、そういうところはとっても大事にしないと和歌山の経済発展はないんだなあというふうに思います。例えば「お金をあげたから返してちょうだい」とか、あるいは「選挙を手伝ったから返してちょうだい」と、そのモデルになったらやっぱりあんまり伸びないんだろうなと。現に伸びているような島(精機)さんなんてのは、直向きに企業を大きくすることを頑張ってこられた人ですよね。そういうことが大事なんだということがもっと一般的になってくると、すごい原動力になるなあと思ってます。
 三つ目はですね、それはさっき言った二番目のことと絡むんですけど、若い人達の気持ちを奮い立たせないといけないなと。そう言うとすぐに県民の人は「それじゃあみんな出て行ってしまって、(県外で活躍する)皆さんみたいになっちゃう」とこういうふうになるんですけど、「いいじゃないか」と。また何か帰ってくればいいしね、皆さんみたいになるような人が沢山出てくればですね、そしたらまた「その風土だ」っていうんで、今度は立地してくれる企業が出てきて、それでその人達がまた帰ってこれるということにもなるじゃないかと。みんなが元気を出さないといけないから、若者を奮い立たせるような、そういう心の教育とか、あるいは刺激とかですね、そういうことを是非今後やっていきたいなと、そんなふうに思っております。
 印象とやってきたことを簡単に申し上げました。

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