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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

「時評」6月号 「談合防止はシステムで」

八幡:公選になって小野さんが六期つとめられた。そのあと、県庁幹部経験者が四代続いた後の6代目ですか、どんな歴史的役割を果たすべきだと考えられているでしょうか?

知事:これまで、和歌山県の知事が求められてきた事は、立派な家父長であることだったと思います。県庁は県民の中心ですしね。皆、平等に仲良くという事を考えて、いろんな事をする。和歌山は豊かだったし、財政もまだ余裕がありました。
 ところが、昭和50年から直近までを見ると、県民所得の伸びが最下位なんです。
鉱工業生産の伸びは下から2番目です。最下位はどこかというと工業再配置で追い出した東京だったので、事実上(和歌山が)最下位です。しかし、余裕も少しあって預貯金額は4位なんです。
 私は、何をしなければならないかと言うと、今までの家父長ではなくて、ちゃんとセールスの出来る、−物を売るだけではないですよ−販売、企画、管理というテクニックを持っている知事として機能しないとダメだと思います。

八幡: 今後の和歌山についてですが、21世紀の半ばくらいまでをみた時、どうお考えですか?

知事:大きなビジョンでいうと、和歌山で生活している人が元気であればいいのです。そのためには働き場所が必要です。人の数と仕事の量がつりあっていないといけません。
 人口が減ること自体をあまり懸念する事はないと思いますが、十分な仕事がなくて減らざるを得ないというのは困ります。
 むしろ、一番の理想は和歌山らしく美しい自然と文化を守りながら、今よりもう少し少ない人が拠点に住んできっちり仕事ができているのが良いと思います。その為には、和歌山の自然や文化・伝統を生かした産業をきちっと定着させないといけません。これは観光もそうだし、水産業、農林業もそうです。地域性によるので、観光で頑張るところ、農業で頑張るところなどあって良いし、製造業は、たとえば関空に近いといった利点を活かしてやっていけばいいと思います。
 しかし、今までは外にアピールするより、内向きに満足して和歌山は良いところのはずだという考えが強すぎたのではないでしょうか。外から認知されないので、観光客も来足りない、製造業も来足りない、伸び足りない、足りないづくしで、人口が減っていくという事でありました。
 そこで、農林水産物も積極的に売って行こう、製造業ももっと戦略的に伸ばし、新しい血も導入して行こう、それで、働く場所を増やしていけばもっと良くなるのではないか、というのが基本戦略です。

八幡:道州制、市町村合併についてはどうでしょうか?

知事:市町村合併は基本的に自分で決めれば良いと思います。住民の人が。いろんな特色がありますから、何も大きいことが良い事かどうかはわからないと思います。
 しかし、「心地よいか」というのと、「持続できるか」というのがあります。サービスも高度化してきます。そうすると分業も必要ですね。しかし、小さいままだと分業できる容量があるか、行財政が持続できるかという問題になります。その中で県がやるべきことは、意思決定をする住民の方々に情報を提供することです。中央の流れもきっちりと把握したうえで、住民に伝えていくことが県の仕事だと思います。
 道州制については効率性の観点からいうと、進んで行くんだろうなと思っています。しかし、地方分権としての観点からは、もっと日本の国の構造のあり方や人々の幸せなどとの関係で議論しなくてはなりません。
 そうしたなかで、ふたつの条件を考えておかねばなりません。ひとつは、道州内の水平調整の議論です。今は和歌山県も市町村間の水平調整の機能を果たしています。これが一重になった時、今、過疎地域で生活している人たちが、関西中心部から山間部なんてどうでもいいではないかと言われれば辛いなと思います。そこがちゃんとできるということでないと、安心して賛成できません。これが知事としての意見です。
 もうひとつは道州間の水平調整の問題です。元経済産業省の官僚、あるいは元ブルネイ大使としていうと、「内政は基本的に道州」というのは幻想だと思います。実現できっこない、むしろしてはいけないと思います。例えば基準認証は、それぞれの道州で別々でもいいんだとなると、途端に企業は日本からいなくなります。世界は基準の統一をめざして動いています。EUもそうです。今までは日本1億2000万の市場があって経済も伸びました。しかし、これからはそれでは不十分です。アジア諸国と進めている経済統合協定の意味は、この延長線上にあるのです。
 ヨーロッパと中国が先に制度の統合をされたら大変だ、こういう議論をしている時に、日本は道州間で制度をバラバラにするというわけにはいかない。日本は滅びると思います。そういう事を分っている分権論者が少ない。
 ナショナル・ミニマムも考えなくてはなりません。たとえば最低限の教育や医療の問題、幹線道路の整備などは、地域の財政にどんな事情があれ、これらを守ることは国の責務だと思います。

八幡:談合問題ですが、よそと同じような議論になっていくのでしょうか?それとも少し知恵を働かせないといけないとお考えか、どうですか?

知事:この問題を考えるとき、皆、談合防止のことしか考えません。話しはもっと複雑です。まず、和歌山にとって何が一番良いのかを考えなければなりません。目標は4点、一部の建設業者が談合で儲けるのをやめさせないといけない。かといって、安かろう悪かろうでもいけません。さらに、知事や関係者が談合に巻き込まれる芽をいかにして摘むかです。そして、建設業界は重要な雇用の場なので、どう育てるかも大事です。
 次に、あちこちで真似されているのですが、私は「談合防止はシステムで」と言っています。これは私が言い出しました。皆、自分は不正をしないと言いますが、その立派な人がいつまでいるかはわからない。人間はインセンティブで動きます。不正をはたらくインセンティブをなくせばいいのです。談合は割に合わない、談合をするより仕事に励もうというインセンティブを与える制度を作ればよいのです。それで、和歌山県では公共調達検討委員会にそういう議論をお願いしたんです。5月10日に、たぶん日本の公共調達方式のこれからのモデルになると思われる報告書をもらいました。これをもとにした新制度を7月1日からスタートさせます。一方、県の監察査察監に検察関係者を入れます。捜査が得意な人に徹底的にやってもらい、日常的に不正を排除していきます。知事すら、おかしなことが二度と出来なくなります。
 このようなシステムを整えていくのが、私の「談合防止はシステムで」という意味です。

聞き手 八幡和郎

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