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寄稿・提言・訓辞・挨拶集

新聞・雑誌等への投稿や、各種行事での講演・挨拶、政府への政策提言等を通じて、知事の考え方や政策を紹介します。

新規採用職員研修知事講話

2007年4月16日 和歌山県職員研修所/和歌山市

 皆さん、おはようございます。
 皆さん、入庁以来いろんなことを勉強して、日々新しい考えにひたっておられると思います。今日は研修所の合同研修の第1日目ということで、栄えある第1コマ目を持たせていただいて、大変光栄であります。
 私は、経済産業省、つまり昔の通産省で秘書課研修班長をやったことがあります。東村山にあった研修所で教務課長をしており、皆さんが持っておられる研修プロクラムをつくったり、講師を選定したりしていました。それだけに、今度は私がここでしゃべらせていただくというのは胸がワクワクする思いです。
 どうぞ1時間少し付き合ってください。

 今日、お話させていただくことは以下の4点です。

  • 知事の県政の方針(清潔な県政)
  • これからの地方行政(地方分権の推進等)
  • 県政の課題、重要施策(雇用創出、安心安全の確保等)
  • 求められる県職員(新しい発想で意欲的に県政に取り組める等)

知事の県政の方針

 知事の県政の方針ですが、私が選挙に出た時、次のような5つの政策目標と2つの政策態度、つまり方法論を申し上げました。
1)「和歌山県に職場をつくりたい。経済的な発展を和歌山県にもたらしたい」
 特に雇用という観点から職場をもたらしたい。そのためには産業を発展させ、企業誘致を行う。それは人づくりにつながり、人づくりができないと産業の発展もありません。つまり、人づくりは職づくり、職づくりはまちづくりにもなるということです。

2)「清潔な県政を実現しよう」
 清潔な県政を実現するために考えたのが「公共調達制度」です。贈収賄は論外ですが、官製談合などに県庁の職員が関わったらすぐに分かり、直ちに処罰されるという制度で、7月1日から施行されます。現在、この分野では日本で第一人者の郷原さんを中心に、彼の仲間である元県警本部長や弁護士、ジャーナリズムのトップにいる方々からなる「公共調達検討委員会」で詳しい内容を話し合っているところです。
 これに先立ち、県庁の中身をきれいにする『監察査察監の制度』をつくり7月1日から施行します。監察査察監は外部から現職の検察関係者をトップに迎えます。そして、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメント、同僚などによるモラルハラスメントなど、知事はもちろん、職員に少しでも怪しげな様子があればすぐに外部の組織が調査するというものです。あるいは、県民からいつもさぼっているように見られる部署があった場合などにも、きちんと外部組織を交えて査察、監察します。
 さらに、一定のルールに従って、民間の人達と堂々と付き合う『倫理規則』をつくるとともに、同時に天下りや一般の物資調達のルールなども全部キレイにしました。

3)「安心安全を絶対におろそかにしない」
 今、和歌山県は深刻な経済問題を抱えていますが、経済政策ばかりに予算を重点化して、福祉や障害者、教育、医療などをおろそかにすると、みんなの心が不安になってしまいます。そこで、今年は少子化対策や防災について、かなり重点的に打ち出しました。

4)「観光」
 沖縄などの観光のキャンペーンはテレビや雑誌などでもよく目にしますが、和歌山県はほとんど見ることはありません。和歌山は観光資源がたくさんあるので、内々で楽しむのではなく、これを県外の方々に十分アピールしなくてはなりません。和歌山県の農産物や水産物、林産物のPRも同様です。

5)「楽しい和歌山」
 私も和歌山生まれですが、もともと和歌山県の文化的な水準は、他府県に比べてもかなり高かったと思います。篤志家がたくさんおり、文化を支えてきました。今でも県民の間では、短歌や和歌の会、新しくは踊りの会など、様々な習い事やレクリエーションをみんなで見い出して楽しもうという気風はたくさんあります。それらを官が強制するというのではなく、少し後ろで押してあげるというのは大事なことだと思います。

 次に二つの方法論をお話しします。
1)「みんなが自分自身を和歌山県にかけよう」
 私が最も嫌いなのは、自分のポジションを利用して、和歌山県と関係のないところでいい格好をすることです。私は、県民から和歌山県を良くするために選ばれているので、「和歌山県のために全身全霊を捧げる覚悟です」という気持ちです。皆さんも和歌山県民に期待されています。自分の生活も大事ですが、できるだけ和歌山県のために頑張ってください。期待しています。

2)「人の意見をよく聞こう」
 私も含め県職員は、できるだけ県民の意見を聞きながらやっていかないと、独りよがりではいけません。以前、私はこの気持ちを皆さんに、「書を捨てないで野に出よう」という言葉で表現したことがあります。これは、かなり前に亡くなられた寺山修司氏の言葉を言い換えたものです。この言葉は、少し元気のない人達へ、家にこもっていないで外に出てみようという、応援の意味が込められています。
 県職員の場合、例えば、『子ども未来課』なら、子ども達の未来がどうやったら一番よくなるかということをいつも考えなければなりません。そのためには、時には保育園や幼稚園、小学校などに足を運び、直接、先生や保護者の方々と話してみることも必要だということです。ただし、野にばかり出て書を読まないと、今の制度がどうなっているかや、そのバックグラウンドにどういう事情があるかなどわかりません。これが「書を捨てないで野に出よう」ということなのです。

これからの地方行政について

 現在、中途半端な感じで地方分権が進んでおり、本来なら責任が一元化される必要があります。例えば、国道と名が付いていれば、国だけでなく県も市町村もみんなが盛り立ててやっていくというのが今の制度。しかも補助金は少しずつ相対的に減ってきています。地方の財源は増えても財政収入が増えたわけではありません。地方税収の大きなところは法人事業税であり、法人活動のそれほど盛んでない和歌山県ではなかなか増えません。一方、東京などは1兆円ぐらい増えたので何でもできるわけです。和歌山県はそういう点で、どうも中途半端になってしまったなあと思うのです。
 私の立場では、和歌山県に有利になるよう発言することも1つですが、現在の状況を考えると、まずは今のポジションで再建するべく、協力を国に頼みに行くのが仕事だと。それこそ県民の利益になるのだと思っています。

県政の課題、重要施策

 重要なのは雇用の拡大と安心安全です。雇用を増やすためには、和歌山県に働きに来てもらうということ。そのためには、賃金の引き上げを図ることも一考ですが、まずは民間の産業を盛んにして働く機会を増やすこと。また、和歌山県がもともと持っている農産物や水産物、林産物などの販売拡大をすれば、自ずと働く余地も生まれてきます。
 もう1つは、和歌山県を魅力のあるところにすることです。かといって、地方の政策一本槍だと都会派の人はみんな逃げてしまうかもしれないので、教育や医療もきちんと整えなければなりません。経済は生き物だから、人口を増やしたい、若い人を増やしたいと思うだけでは決して発展しません。それが労働需給の中でどう動いているかを考えることが必要なのです。

求められる県職員

(1)県民のために仕事をする。
 理想の県庁職員像は、いつも県民のためにというところから発想できる人間です。そして、今、何かしたくても自分の権限がここまでしかないとすれば、権限を変えればいい、あるいは権限のある人に頼みに行けばいいのです。常に「県民のためになること」を考えている心があるのとないのとでは、仕事をする上で大いに違うと思いますね。

(2)黒衣にならない。
 どんな仕事でも、その中身に興味を持っていると黒衣になりにくいものです。どうしても黒衣を強制される場合もありますが、もしかしたらそれは上司が悪いということだってあり得ます。そこで皆さんが、自分には権限がないから無理だとあきらめて横の方に隠れよう、隠れようとしたら、人としての成長はなく、県庁の勢いもなくなるので、自分の意見をどんどん言ってください。
 ただし、そこで必要なのは『ホウレンソウ(報告、連絡、相談)』です。一職員の軽はずみな言動が県全体のものとして誤解されて県民に届くこともあります。上司や先輩、同僚、部下との情報確認を怠ることなく、自分の言動には十分気を付けてください。
 また、皆さんはこれから振興局へも行かれると思います。振興局に行くとより住民に近くなるのですが、県政の中心的な政策や意思決定から少し遠のきます。反対に皆さんが県民から得た情報をそこで止めてしまうと県政には届かないので、情報は必ず共有しておかなくてはなりません。
 とはいえ、記者会見の内容がリアルタイムで振興局に行かない時もあります。そこで、発表事項は振興局をはじめ、各部署にFAXやメールなどで流すように指示しています。その反対も然りで、県と市町村、県会議員、国会議員などとの素早い意思疎通が大切です。すると自然に県民からも様々な情報が届くようになると思いますので、皆さん、よろしくお願いします。
 これらは先程の「書を捨てないで野に出よう」にも通じます。

(3)「健康」について
 健康は一番大事かも知れないと思っています。皆さんは、これから責任ある社会人として緊張感を持ってやっていくわけですが、緊張感に耐えかねて健康を害してしまってはいけないと思うのです。外見的なことだけ注意をしておきますと、「倒れかけたら倒れてしまえ」ということです。
 私が通産省で入省の採用を担当した時に入った職員の話です。彼は、大変有能だったにも拘らず仕事が忙し過ぎて休まず、倒れたあげく亡くなってしまったんです。誰でも倒れる前には、必ず体のどこかに変調を来すなどの兆候が現れるはずです。ちょっとおかしいと気付いたら、絶対に休まなければいけません。
 県庁の仕事がどれほど激しいか部署によっても違いますが、「忙しくて私はもう死にそうだ」という時は遠慮なく言ってください。

 これで求められる県職員の話は終わりますが、皆さんはこれから30年、40年、県庁で県民のために働かれると思います。その基礎になるようなものが研修中にできるといいなと思います。そして今回は、皆さんが顔を合わせる良い機会なので、互いに仲良くなり、これから夢や悩みなどを語り合える仲間をつくっていただけたらいいなあと思います。それでは頑張ってください。

 後10分弱時間があるので、皆さんの質問にお答えしたいと思います。

和歌山県知事に立候補したきっかけは

 私も和歌山県出身なので、前知事の汚職について気になっていました。私が知事になる前は、自分のやりたい仕事をずっとやってきました。でも、前知事の汚職が発覚した時、みんなに「お前。和歌山に帰ってこい」と言われ、こういう状況の悪い時に逃げたら、自分の人生で目をつぶった、逃げたというふうになったらいけないと思い、自分みたいに長い間和歌山県にいなかった者でも受け入れてもらえるならやらせてもらおうと思って手を挙げました。

企業誘致のための100億円奨励金があるが、どうすれば効果がでるのか

 大きな工場を誘致しようとしても、お金だけで進出するようなものではありません。例えば、住友金属が今、和歌山県で設備投資をしてくれていますが、これも一種の企業誘致かもしれません。住友金属は和歌山県にずっといる企業ですからね。そのレベルが1000億円か2000億円です。新しい工場を稼動するにはそのくらいの設備投資が必要ということです。
 その時、100億円の工場誘致で、和歌山県に進出したら100億円補助してあげるよなんて言ってもそんなもので来るわけがないのです。進出する要素は2つあります。1つは立地条件、例えば和歌山県の高速道路はどこまでつながっているか? 孤立していたら企業活動はできません。だから立地条件は、企業誘致だけでなく、自生的に和歌山県が発展する大きな要素になると思います。
 2つ目は教育や医療関係、住環境。さらに時の利もありますね。和歌山県にとって失われた10年は結構大きいと思います。不況の時でもありましたが、あの時、企業は生産システムのやり換えをしていたのです。今まで国内で成り立っていた総合電機メーカーが、国内の工場をどんどんと閉鎖し中国に発注するというように。
 現在、経済の拡張期です。みんなで力を合わせて和歌山県としての受け入れの条件をよくして、時の利に乗り遅れないよう、いろいろと手段を講じ始めたのは昨年からだと思います。昨年ぐらいから、私が来る前ですよ、企業立地グループが、本当に一生懸命企業を回り始めて、情報もだいぶ取れるようになりました。これを10年前にやっておけば良かったのになあと思いますが、悔いることが私たちの仕事ではありません。だから、これからいいことを前向きにどんどんやって、ひょっとして企業誘致なんて千三つ(せんみつ)かもしれませんが、ちょっとでも可能性がある場合はすぐに引き寄せる。そのためには100億円も有効かもしれないので、制度としては準備しておく必要がありますね。

 それではちょうど時間になりましたので、これで終わります。

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